『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』横断車道(65)**<2011.9. Vol.70>

2011年09月06日 | 横断車道

東日本大震災から半年が過ぎたが、阪神淡路大震災からも、17年が過ぎようとしている。いたる所で倒壊した阪神高速の現場で、印象に残ることがあった。おびただしい黒い束になったケーブルが、落橋し残った桁から、切断されて垂れ下がっていることだ。この物体が今回の話題である▼高速道路の本体は、鉄とコンクリートの支柱と桁でできている。車を走らせる構造なのだが、それだけではない。情報通信網を支える、光ファイバーケーブルの通路でもある▼電光掲示板への信号伝達。各所に設置された、非常電話との回線。全線を撮影できる、無数の監視カメラとの通信。一定区間の全車線の上に、お皿を伏せたようなビーコンという機器。路面に電波を照射し、車が通過するのを感知する。高さや長さで、大型・小型の識別もし、速度で渋滞情報も検知する。トンネル内の安全情報放送。拡声器での警告放送。警察が管理する速度取締のオービスⅢや、ナンバー検知のNシステム。高速道路会社の各所との連絡網。高速道路の光ファイバーは、情報通信網でもあるのだ▼1983年に建設省(現;国土交通省)は『情報ハイウエー構想』を打ち出した。日本道路公団(当時)の3500kmにも及ぶ、光ファイバーの利用計画であった。1984年11月16日に『日本高速通信株式会社』を、公益財団法人道路施設協会とトヨタ自動車株式会社により設立した。しかし、急速に発達する電信事業の情勢を読み間違え、全国展開が遅れたことで赤字経営。1998年7月29日に、国際電信電話株式会社(現;KDDI)に吸収合併されることになり、同年12月1日に解散▼経過はともあれ、あなたのauの携帯電話の信号は、高速道路を通過しているのだ。世はインターネット時代で、高速道路を通行する車の量よりも、通過するネットや電話の通信信号の方が、遙かに膨大になってきている。人や車の移動と、電気信号の送信とは、比較できるものではない。が、高速道路の値打ちが後者にシフトしてゆくのは、時代の流れであろう▼阪神淡路大震災の後も、『道路マフィア』は代替道路の必要性を怒鳴り散らした。東日本大震災では、道路が津波を防止したとか、内陸の高速道路の必要性を、そそのかしている。極めて低次元の屁理屈で、『マフィア利益』の世論誘導を狙っている。阪神淡路大震災では、高速道路があった為に長田区の大火災被害が発生した。国道43号線沿道では、最も復旧復興が遅延してしまった。事実からの検証をしない、『マフィア』にも困ったものだ▼しかしながら、福島第一原発でもそうであるが、何が起こったのか、何が必要なのか? 情報の伝達が、災害時にも最も重要になってくる。そういう意味からは、高速道路網も震災に役立たない訳ではない。道路地下の共同溝や、道路わきのキャブシステム、はたまた電柱だけで事足りるのではあるが。(コラムX)

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