2009年の新春に当たり、今年を展望してみたい。我等が阪神間道路問題ネットワークとしては、道路行政が如何になるかが興味のあるところだ。戦後、一貫して自動車交通量は伸び続けてきたが、2008年度は減少に転じたことが明らかになった。既に自動車の保有台数は減少に転じていたのである。今後、自動車交通量は一貫して、減少傾向になることを、国土交通省も認めなければならなくなった▼日本の戦前は、鉄道主体の交通政策がとられていたが、戦後、GHQ主導で自動車交通主体に強引に転換させられた。歩行者対応型の日本の道路に、強引に自動車が導入されて、混乱が生じ今日にも続く社会問題になっている▼アメリカの貿易赤字解消策になると、大いなる錯覚があった為に、日米構造協議の場で日本の公共事業は、極端に膨大化させられることになる。また、大平内閣以後は国政の調整機能は消失し、「公共事業の7割は建設省(現、国土交通省の一部)所管、その内の4割は道路事業。公共事業の28%は道路事業。」と現在に至るも固定化されている。このような要素で、道路行政は肥大化を続けたのである▼高速道路計画は14000kmを造ると、目標を維持したままである。ところが、首都高速や阪神高速の『地方高規格道路』は、小泉内閣で2000kmから6000kmに計画が膨らみ、現在は7000kmに延長されている。首都高速新宿線に見られるように、1mにつき1億円もかかる、ベラボウな道路なのである。世間では全く知られていない、重大な事実だ▼かつて公共事業は経済活性化の旗頭であった。しかし、今日のゼネコンは不良債権の塊である。下請けには利益の出る仕事は回せない。ゼネコンの収益も100%、銀行に回収されてしまう。国民の税金投入で、銀行の不良債権は既に処理済であり、銀行にとってゼネコンからの回収は純利益となる。今日の公共事業は銀行だけが儲けるだけで、社会に還流する率が非常に少ない。つまり、経済効果は最低であり、経済活性化は期待できない▼国家財政の収縮で道路事業費も減少している。しかし、高速道路建設の縮小を防ぐ意図で、生活道路への配分は極端に減少している。自動車交通量が益々減少し、大型道路が不要になっているにもかかわらず。また、経済効果も期待できないにもかかわらず、道路行政の方向は変えられないのが日本の政治の現実▼道路公害に反対する住民運動は、70年代から経済的側面からも、道路行政の問題点を指摘し続けた。環境問題の改善や無駄な公共事業の抑制には、多少なりとも社会貢献をしてきたことに誇りを持っている▼この情勢になっても、脳梗塞状態にある道路行政は、自ら自浄する能力をも失っているのである。我々が止めを刺さなければ、事態の改善は期待できないというのが結論である。最後の頑張り時である。 (コラムX)
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