4月22日に東京地裁で画期的な判決がでた。圏央道(首都圏中央連絡自動車道)に反対する、東京都あきる野市の住民等が、道路建設の事業認定(国土交通省)と土地収用裁決(東京都収用委員会)の取消しを求めた訴訟である▼圏央道というのは、東京都新橋を中心に半径50kmに計画された環状高速道路だ。日本道路公団が財政破綻でも、税金を投入してでも造ろうというのである。総延長300kmの内、30kmのみ供用されている。「道路公害反対運動全国交流集会」の常連の組織である、「高尾山の自然を守る市民の会」等の首都圏の仲間が取組んでいる裁判の一つだ▼昨年秋の全国交流集会では、その直前(2003/10/3)に下った土地収用を停止する同地裁の仮処分決定は、行政の決定を覆す前例のない判断で、集会を多いに盛り上げた。(ただし、仮処分決定そのものは控訴審で覆ってしまった。)▼その仮処分決定を下した裁判長が、今回の判決を書いている。国と東京都は控訴するであろうし、高裁で住民側が勝っても、最高裁まで上告する筈である。最高裁で判決が確定しない限り、道路建設事業は停止させることが出来ない。とは言いながら、画期的な判決である事には違いない▼裁判には刑事訴訟と民事訴訟と行政訴訟がある。道路建設側と住民側が対峙する訴訟は、民事訴訟と行政訴訟である。民事訴訟においては住民側が、損害賠償や被害の差止めで勝訴する事は、今日では珍しい事ではなくなった。しかしながら、事業の停止を求める行政訴訟では、住民側が勝訴した為しがなかった。その意味で非常に画期的な判決といえよう▼今後、高裁(控訴審)の裁判が注目されるのであるが、高速道路建設に対する世論の動向と、道路公害・車社会の見直しが進めば、「瓢箪から駒」も夢ではなくなってくる。全国の仲間の支援が求められる所である。また、全国各地で道路問題を取組み、世論を盛り上げる事も重要になってくる▼これまでの所、道路建設差止めの訴訟をしても、勝てた為しがない。また、判決が確定する前に道路が供用されてしまい、和解が勧告されたり、(住民側にとって)判決の利益が喪失した事を理由に裁判を終結させられたりした。しかしアメリカでは、そのような行政訴訟の場合、住民側が勝訴した場合、道路を潰して原状回復の決定がなされるのが一般的である。日本において、そこまで裁判所の判断が進歩するかどうかは、想像が出来ないのが現状であろう。とはいえ、我々が頑張らねば、誰も何もしてはくれない▼考えてみれば、僅か30年前の60年代後半に、国にたてついて勝てるはずがないというのが、裁判というものの常識であった。それが四日市の大気汚染裁判の判決から、環境庁が設置され、3大公害訴訟で勝利し、民事訴訟で勝てるというのが当たり前になった▼21世紀の今日、出来た道路を潰して原状回復させる判決を、是非とも勝ち取ってみたいものである。そんな判決がでれば、全国の総ての道路運動が実質的に勝利するのは間違いない。(コラムX)
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