『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

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『みちしるべ』園田西武庫線の整備問題**<2008.9. Vol.54>

2008年09月03日 | 神崎敏則

園田西武庫線の整備問題
多くの住民と一緒にこの動きを止めたい

みちと環境の会 神崎敏則

 園田西武庫線は、塚口にある三菱電機で途切れていますが、この三菱電機の地下をトンネルで結ぶ整備を兵庫県は07年12月に174億円で予算化しました。

 三菱電機のさらに東の藻川に、いまは橋が架かっていないのですが、こちらにも新たに橋を架けて大阪の内環状線に結ぶ予定です。

 本当にこの整備事業が必要なのかどうか、多くの住民と考えるための資料を作成途中なので、ぜひみなさんのご意見ご指摘をお願いいたします。

クルマの通過が住環境を悪化

 園田西武庫線がつながる内環状線は豊中市を起点にして、江坂で国道423号線に、守口市で国道1号線にアクセスする4車線道路です。豊中市内の渋滞は極端に多くはありませんが、現在行き止まりになっている東園田や食満などの住宅地を、大型車をはじめとしたクルマが通過することになります。安全で環境の良い住宅地の雰囲気は一変するのではないでしょうか?

5分の迂回路で充分です

 実は、園田西武庫線としては途中が途切れていることになっていますが、同じ経路を県道606号西宮豊中線が重複しており、こちらは豊中から尼崎に入ると南に下り、聖トマス大学前を西に向かって通逓し、尼崎池田線に合流して北上するという迂回路でつながっています。

 確かに直線的な道をつくれば、この部分だけで5分程度の時間短縮は可能かもしれません。しかし、そのために174億もの税金をつぎ込むべきなのでしょうか。

 5分程度の時間短縮というメリットよりも、住環境の悪化というデメジットのほうが大きいのではないでしょうか。

三菱電機への補償費が82億円

 この工事で三菱電機への補償費は、当初見積もり28億円から82億円に引き上げられました。

 どうしてそんなに補償費がかかるのでしょうか?82億円の内訳をぜひ説明していただきたいものです。

土地の汚染は大文夫??

 工場の跡地を整備すると、重金属やPCBなどの有害物質が検出されたとの報道が後を絶ちません。今回の道路整備事業に際して、これらの調査は行ったのでしょうか?仮に危険物質が検出され,たら、余分にかかる処理費は三菱電機がきちんと負担する契約になっているのでしょうか。

 大事な問題なので、ぜひ事前に適切に処理していただきたいものです。この件についての情報の開示を求めます。

止まらない道路整備事業

 県道尼宝線は、中国自動車道・宝塚インターと阪神高速5号湾岸線末広ランプを結ぶ南北12.4kmの道路です。およそこの10年間に10の工区に分けて4車線に拡幅整備が進められています。そのうち武庫工区の拡幅整備は2011年度に工事が着手されます。この10の工区うち4工区の「事業認可申請書」によれば、それだけで107億9千万に予算額が達します。予算額が把握できていなぃ元浜工区。大浜エ区では、その9割以上を30m~33mの幅員に拡幅しますので、軒並み立ち退きなどが発生していますから、この二つの工区だけで相当の税金が投入されたと想像します。

 さらに、今度は阪急神戸線をまたぐ尼宝線の陸橋部分の整備事業が計画されようとしています。

 また、尼崎伊丹線は南北15.3kmの道路で、すでに4または6車線に拡幅され、総事業費は1015億円かかりました。

 山手幹線では、2010年に芦屋川トンネルが開通し、神戸から尼崎まで約30kmの区間が一直線に結ばれることになります。こちらは、住宅地を無理やり収用して、直線的な道路を新設した部分が多く、芦屋市部分だけで約407億9千万の事業費が計上され、県と国が47.5%を補助しています。西宮市域でもあまり変わらない事業費がかかったと想像します。さらに、山手幹線の東端である神崎・戸ノ内工区では、約151億4千万の事業費がかけられました。そして現在は大阪府との境界で終点となっていますが、将来は、豊中市の三国塚口線に結ばれ、豊中市内で176号線に接続する予定になっています。ここまでまっすぐに道路を延長させる必要があるのか、強い疑問を感じます。

自動車の減少傾向に反する動き

 全国の自動車保有台数は、07年9月をピークにして減少しています。減少要因は、人口減や若者のクルマ離れによるといわれ、自動車検査登録情報協会は「バブル期には年間約600万台の登録車があったが、ほぼ半分に落ち込んだ」と言います。国の道路整備事業は、自動車保有台数の伸び(推計値)が計画の「前提」になっていますので、減少に転じたことは、道路整備事業を見直すことに直結します。

 道路の延伸や車線拡幅などの新規事業ではなく、歩道の安全確保などのリニューアル事業に道路整備の軸足を移す時期を迎えています。道路整備事業も成熟社会に対応すべきです。

県も市も財政はひっ迫

 兵庫県は、2018年度までに見込まれる累積収支不足が1兆円を超すと予測して、新行革プランを立ち上げています。給与カットや定数削減、事務事業見直しなどを含む全体の財政フレームは1次プランで確定し、2次プランでは、定数削減などを達成するための県民局組織再編や外郭団体の見直しなどをテーマにしています。県立病院再編では、尼崎市にある尼崎、塚口の二病院を統合し、塚口病院を廃止する計画です。このような逼迫した財政状況なのになぜ174億円もの予算を計上したのでしようか。

 同じく財政問題を抱える尼崎市もこの園田西武庫線の整備のために、約40億円を負担することになります。

 福祉が次々に切り捨てられ、不安のるつぼに陥っている市民をよそに、道路整備だけが着々と進められている状況には、大きな疑問符がつきます。バランス感覚が悪すぎます。

 財政状況からいっても整備事業を中止すべきです。

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