「涸沢のネコの額みたいなとこで滑ってもオモロないで」、40年近く前、初めての穂高、涸沢は夕暮れ、テントサイトでの先輩のお言葉。
初ホンチャン:滝谷クライムの前日だったか、無事登った後だったか。同時所属していた登攀クラブの先輩達はどういう訳かスキーがお上手だった。
この時の記憶が強かったかどうか、この時期涸沢を滑りに来たことはない、槍沢は何度もあるのに。
しかし、よく考えれば槍沢同様、標高差で1000m以上滑れるのは当前、と言う事で恥ずかしながら、初涸沢山スキーへ行かせて頂きました。
最近のこのエリアではエキスパートとかエクストリーマーとか言われる方が、奥穂のテッペンから滑り降りられるらしい。「転んだらオワリ」とか「スリップしたら助からない」とかのコメントが書かれたサイト、よく見かける。
しかし、何かあったら大ケガするとか死ぬとか言った危険箇所では、ザイル確保すべきであって、ワタクシこのような人達の言う事よく判らない。
“よいこ”のみんなはマネしちゃダメよと言う事なン?
エキスパートでもエクストリーマーでもないワタクシ(当然“よいこ”でもありませんが)、マネせぇ、言われても出来ません。とりあえず白出のコルから滑れればオンの字です。
5/21、2:20神戸発。中央道・中津川IC~R19、木祖村経由で沢渡P着8:20、名神集中工事で渋滞もあったが6時間で着きました。
しかし、何かネムイ、シンドイ、ダルイ。こんなンで行けルンやろか。しかし、この駐車場でボケ~っとしてても仕方ない、遊び相手もおらへんし、とにかく行けるとこまで、と言う事で出発。
最近こんな出発パターンばっかり、トホホ。
上高地でザックにスキーとブーツ付けて9:25歩き始め。
梓川沿いの道、半分寝ながら歩いて横尾着12時。
穏やかな5月の晴天、草木の匂いを爽やかな風が運んでくる。
担いできたブーツに履き替え、スキーでシール登高。しかしそれもつかの間、すぐ雪割れで又スキーを担ぐ羽目に、涸沢出合い手前からシール登高再開。4~5人ののグループがかなりのスピードで登って来ます。ワタクシ、邪魔にならないようにトレースを外れデブリ帯をシール登高、ヒイヒイ、フウフウ。15:40涸沢ヒュッテ着、泊。
5/22、6:30発。
白出のコルへのトレースはザイテングラードの右に付いている。
ワタクシは緩い傾斜に沿ってシール登高。
ザイテングラート末端で7:30、アイゼンに切り替え。
アレ何?ザイテングラードの一番下のコルの処、何か数人が作業している。色んな色のジャケットが登ったり、下ったり。スコップで作業している人もいて、指揮をする人、それに答える人、それらの声が聞こえる。
後でこれは映画撮影と知った。マンガの映画化、そう言えばビックコミックで読んだ事ある。
こっちはそんな事に関係なく、ヒィヒィゼィゼィ、小豆沢はトレースなし。傾斜、中々キツイ。
雪面蹴り込んでも、アイゼンの前4本しか掛らない処もあれば、膝下辺りまで埋まる腐れ雪の処もあって、キツイ、キツイッ!! 段々白出コルが近づいて来て、ザイテン右のトレース登って来たスキー担いだシルエットが上に二つ。
ワタクシも何とか着きました9:45。フゥゥ~。
シール、アイゼン片づけて10:15滑り出し。
落石、かなりあって、避けるルート見ながら登ったがあまり関係なく、快適に滑降、ルンルン、ランラン。
ザイテングラートの撮影グループの所まで戻ると、テントが一張り。周り丁寧に整地されている。何と言うリアリティのなさ、アホっちゃう。
ここでスキー脱ぎました。無理にスキーで行って怪我したくないし。
本谷橋11:30、また板とブーツ担いで横尾着12:30。
「まだスキー出来るンですかぁ」と声掛けてきた年配のご夫妻。そう言えば往きでも同じ様なご夫婦に質問された。
今なら稜線3千mから標高差で千m以上滑れます、登り4時間以上、下り1時間以内、と説明。 「チョットずつ貯めた小銭、一瞬で使い果たす様なモンですワ、アハハ」、どちらのご夫妻にもこのジョーク受けましたネ。
横尾から梓川沿いの道、この時期、咲き誇るニリンソウ。
しかし、これはヒトリシズカ?
徳澤園13:40、ここでコーヒーブレーク、タバコを一服、1時間近く休憩。
曇りがちだった天候にしばし陽がさし、良い気分です。カミさん、ホトケさん、今回もアリガトさん。