3/11,12
バイクス広島
今度の航海はひたすら西へ、西へ。数々の思い出詰まる街、広島。
記憶はいつだって色褪せることなく綺麗なままだが・・
この2日間、それはそれはあたかも思い出の中にいるような贅沢なひと時。
季節外れの暖かさにこの時期にしてまさかの日焼け、ハノーバーには長年ぶれることなく乗り続けているベテラン勢。
広島勢曰くこちらが「本当の大会」と称する前夜祭は、恒例ロボ君のご両親が切り盛りする、酒膳小路 伊志井 にて夜更けまで続く。
前だけを見て乗り続けてはいるが、やはり寄る年波は正直か、昔話には火がつく一方。
田村君、潮君、ポッキー君、ケンシロウ君ネタを一晩でどれだけ暑苦しく語っただろうか・・
去年も今年も、結局田村君に会うことはできなかった。
もう忘れてしまったかな・・
20年近く前に新大阪駅に毎晩籠って乗り込んだ「合宿」の日々を。
俺達はまだまだ無名だけど、絶対にうまくなって世界を認めさせてやろうぜ!
そう同じ志を持つ者が各地から集まり、田村君もその中にいたひとり。
いつかまた一緒に乗りましょう!
また、あるタイミングでは血の気の多いライダー同士、互いに一触即発のひやひやする場面も。
・・でも、それも大事なこと。ぶつかり合うのはそれだけ考えている証拠。
スタンスや距離感は人それぞれ。
原点に則り、純粋に遊び心をキープする。
アスリートとして攻める。
どれにも間違いも正解もない。自由なBMXフリースタイル。
ライダーの宴だ。他愛もない話で冗長な時間を過ごすより、ずっといい。
弾丸スタイルの広島遠征、目が覚めればもう現実逃避にも着々とピリオドが迫って来ている。
そんな大会当日。
田村君の面影は去年に引き続き思いがけない所に表れており、バイクス名物?トロフィー代わりの杓文字に記された達筆、これこそが正に田村君の直筆なのだそうだ。
さあ、今日の運勢は如何に?
旅先でのジンクス、マシントラブルを極力避けるため、ワイヤーは全て交換済み、アクスルのスペアも前後持って来た。
矢継ぎ早にライダー達の出番は過ぎ各々が一喜一憂する中、早くもオープンクラス。
出走順はBグループの3番目、サタスマ君の次だ。
乗り出すなり、
こ、これは・・
広島絶好調神話。
予てより広島でのライディングにおいて、調子が悪かったことがない。
何だろう?様々な要素がある。ひとつはっきりわかるのは、昔ながらのライダーが多く、そんな方々から見守られている。
そんなほっとする雰囲気があり、アウェー感が少ない。
そして・・ある意味ちょっとずるい?いや、これも武器として捉えて良いのかギャラリーやオーディエンスがやけに自分びいきに思える(笑)
それに加え気持ちを更に後押ししてくれるのは、AV君&ユージ君のMC2トップ。
自分の出番がこんなにも気持ちいいのは久しぶりだ。
もうこれ以上考えないで。身体の赴くままにトリックを見せよう。
決勝は(待望の?)アノ時間。
初メークから丸2年以上経っても、未だに大会では陽の目を見ることのない背面ダブル。
決まらないどころかアプローチまでも届かない、あまつさえ姿勢すら見せられない、それが現実だったこれまで。
土曜日もハノーバーで乗ってはいたものの、一向にケリはつかず終い。
それが、初めて本番のあの場で2回転目のキャッチまで行ったのだ。
メークすることはできなかった。
それでも今回の「最低2回転は絶対に回る」ノルマは達成。
決勝バトルは一回戦目でサタスマ君に敗退。
1トリックに絞り、メークしていないので当然の結果だが、個人的には御の字だ。
この至福な場所に居られる時間もあと僅か。
残された刹那のひと時は、手応えと余韻に浸りつつじっくり観戦を楽しみ、心の底から応援する。
大会は終わった。
まだ陽は高いが、誰しもが帰路にそそくさと就いて行き、あっと言う間にハノーバーも閑散の様相を呈し始める。
ほんの少し前と今との対比がどこか切なく物悲しい。
それでも去って行く全国各地のライダーの背中が、また次への戦いを誓っているように映った。
帰り道はいつでも淋しいが、記憶はしっかりと刻み込んだ。
もっともっと上手くなって必ずまた来よう。
広島ローカル戦士のみなさん、お会いしたみなさん、ありがとうございました。