16日の午後、通信指令から『○○町○○で交通事故。車外へ出られないもよう。』という出動指令が入り、救助工作車で出動しました。
要救助者が3人いるとの先着隊から情報があり、救急車も同時出動しました。
現場に着くと大破した軽乗用車と普通乗用車があり、軽乗用車の運転席に高齢女性が右ひざを挟まれ、脱出できない状態です。
他の傷病者は車外にいて、呼びかけに反応し話ができる状態だったので、挟まれている運転者一人に集中して、救助活動を開始しました。
先ず、座席の後退を試みましたがフロントカバーがひざを圧迫し、痛がって動かせませんでした。
左上腕の骨折と腹部膨満を認め、緊急度は高いと判断しましたが、外に出さないことにはどうしようもないという状況は変わりません。
すぷれっダートカッターを使い、ドアのヒンジ切断など、先ずは救助活動をするスペースを造りました。
その後、事故車の回送に来た車両運搬車のワイヤーを使い、ハンドル部付近を広げようとしましたが、ひざを開放するほど、広がりませんでした。
次にもう一度、挟まった部分を詳細に観察をし、フロントカバーのプラスチックを切断すれば取れるのではと思い、金ノコで切断しました。
その後、運転席の女性が痛いといっていましたが、ひざの状態を観察していた隊員が『動きます。座席を後に動かしましょう。』といい、座席を移動し、ひざが外れ、バッグボードを使用し、救助完了しました。
救助開始から約30分でした。
救助の途中で隊員がDrへりを要請しましたが、ランデブーポイントの変更を指示し、現場までDrに来てもらいました。
救助完了と同時にDrへりが到着し、現場でDrに引き継ぐことができ、Jターンで搬送開始しました。
結果としては、今日の新聞で亡くなったという記事が出ていました。
残念な結果ではありますが、俺たちとしてはご冥福をお祈りするしかないのかなと思った1日でした。
俺たち消防は、助けて当たり前、助けることができなかったときは全身の力が脱力するように感じます。
伊豆大島の台風被害の行方不明者検索をやっている消防や警察、海上保安庁、地元消防団なども同じような気持ちでやっているのだろうと思います。
捜索隊の人たちは疲れていると思いますが、頑張って、一人でも多くの他人を1日でも早く見つけてもらうようにかげながら応援しています。