酎天おやじの人間風景

他人に合わせることが苦手な酎天おやじ。
酎天おやじがこれまで見た人間や風景、これから会うであろう人間や見る風景。

小児CPR

2007-09-30 16:40:15 | ひとりごと

S159 東京消防庁で『44分間、QQ車出動せず。』という報道がありました・・・通報場所が300mしか離れていないので、通信指令課員が『同一場所からの第2報』と勘違いしたというものでした。

実際問題としてQQ通報者からの通報場所(QQ現場)をモニター上で表示する地図の縮度によっては、近く見えるし、携帯電話での移動しながらの通報や地域不案内の人の通報など通報場所の特定はこれからも困難が予想され、これからも起こる可能性を示しているのではないかと思います。

携帯型GPSを使用しても正確な場所特定は難しいと思います・・・俺も地理不案内の人からの通報で、『○○橋と書いてあるところで交通事故です。』で出動準備中に、第2報で『△△の交差点で交通事故です。』という通報を受け、場所は近くだったのですが2ヶ所に同時出動したことがありました。

この事故は、道路上という第3者が見ることのできる場所だったので、出動途中で場所特定ができ、同じ場所という確認ができましたが、集合住宅内(アパート・マンション・分譲住宅地)からの同じような内容の通報では『同一場所と誤認』することもあるかもです。

子供の窒息や溺水など不慮の事故では、絶対に許されないことだと思っています・・・仕方ないでは済まされない、助かる確率が一番高いのですから。

昨日は、地元で子育て支援センター+大学病院小児科Drによる”小児科CPR講習会”がありました・・・小さな子供のいる親や保育園関係者など受講されていて関心の高さに感心しました。

7ブース準備してありましたが、受講者数が主催者側が想定していたより少しだけ多かったみたいで、『もう一つブースを準備していいですか?』といわれ、俺も30分くらい指導しました。

実技が最低2時間くらいはあるかなと思っていたのですが、挨拶やCPRの説明などで予定時間の半分くらいを使ったみたいで、実技が受講者が満足にできなかったみたいな感じでした。

今回のような小児のCPRだったら、不慮の事故を念頭において指導したほうがよかったのではと思いました・・・『講習会が終了しました、興味のある人は残ってください。』の後では、帰る人も多く、小児CPRで一番多いと思われる不慮の事故に備える”窒息+AED”を参加者全員に伝えることができなくて、残念なことだと感じました。

それでも、地元の市民の蘇生に関する興味が高いことは今回で十分分ったので、”一般市民によるCPR指導”もやる土台は出来つつあるのは収穫だったように感じました・・・行政主催では、挨拶などに時間を割かざるを得ない状況は仕方ないですから。

実技第一主義・・QQは現場で起きている

俺は”やってみること、やりながら疑問を見つけ、それをやりながら解決すれば、それが自分のものとなる。”という主義ですので、イザというときの状況を想定して実技をやりながらというスタンスで指導しています。

その場で起きているQQに対応した”生きた使える蘇生法”を地元で伝えていければと思っています・・・もちろん、G2005の基本は外さずにですが。


人工呼吸は不要?

2007-09-28 17:43:30 | ひとりごと

S167 日本救急医学会関東地方会の研究班から”救急蘇生に人工呼吸は不要”調査結果が発表があったという報道があり、G2005がやっと浸透しだしたこの時期にとチョットびっくりしました。

G2005が発表になったときに『将来、人工呼吸は不要』となるかもと聞いてはいましたが、次のG2010では救急蘇生法の主流となるのでしょうか・・・もちろん有効な胸骨圧迫がなされているということを前提としての研究だと思いますが、より簡単な”救急蘇生法”の確立と一般市民への普及が救命率向上につながるという意味では『簡単』というキーワードは大事なことだと思います。

胸骨圧迫(心臓マッサージ)の際の胸の動きで、空気が肺に送り込まれるという考え方は、『胸腔ポンプ説』と『心臓ポンプ説』、両方の説ともに胸骨を圧迫して血液を駆出するということで、広い意味では似ていると思います・・・今回の説は、胸腔内圧の上下がポンプ作用をするという『胸腔ポンプ説』に近いのかな。

今回の調査が全てのCPAではなく、18歳以上のCPAということ、関東の大都市での調査だと思うので、一概に田舎と同じとして受け入れることはできないと思いますが、参考となるデータであることは確かだと思います・・・あらためて数字としてデータが出てくれば、説得力はあります。

救急隊到着時にCPAの患者の回復率も『人工呼吸+胸骨圧迫』を受けた方が3%、『胸骨圧迫だけ』の場合が6%という結果だそうです・・・途中で人工呼吸に時間を使うより、”絶え間ない胸骨圧迫”が有効ということを示しているのでしょう。

30日後の介護なしの日常生活可能に回復率も『人工呼吸+胸骨圧迫』を受けた方が4%、『胸骨圧迫だけ』の場合が6%と回復率が高い結果だそうです。

現在、『人工呼吸(マウス ツウ マウス)』ができないとき、したくないときは『胸骨圧迫(心臓マッサージ)』だけでもしてくださいと指導しています・・・今までの『何もしないよりはいい。』ではなく、『胸骨圧迫だけでも十分に蘇生に貢献している。』ということを自信を持って市民に伝えていけると思います。

呼吸が止まっても12分位は血中酸素飽和度はそれほど下がらないということも、市民に伝えるには重要なキーワードだと思います。

もう一つ驚いたデータは、蘇生措置をした60%以上が一般市民、残りが通りかかったDrら医療関係者だということですが、効果に差がなかったということです・・・野次馬が救助者の変わっているのが分るいいデータではないかと思いますが、一見出来て当たり前と思われている人がもっと頑張らなければいけないという状況を示しているのではと思います。

今回の調査は少年までのデータは入っていないことも重要だと考えます・・・少年以下のCPAの原因が窒息などの不慮の事故が多いということを考えると、『気道確保+人工呼吸』だけで助けることができる可能性が多いと思います。

G2010では、幼児から少年まで窒息等を前提として『人工呼吸+胸骨圧迫+AED』と成人は突然の心停止を前提とした『胸骨圧迫+AED』というような2通りの指導方法がだされるのでしょうか・・・これはこれで大変かもですね。


敬天愛人

2007-09-26 18:06:10 | ひとりごと

Ojizou_6 24日が西郷隆盛が城山で没してから130年目の命日でした・・・県内各地でいろいろな行事が催されていて、一度は参加してみたいと思っています。

西郷隆盛の”敬天愛人”という言葉は、ほとんどの人は知っていると思います・・・『天とは、天地自然の道であり、人の道である天を敬い、人を愛する。』ことを教えとして伝えていますが、俺も同感です。

今、QQの現場では、力による暴力や言葉による暴力、”モンスターペアレント”といわれるような無理難題をいう患者が増えてきているのは現実です・・・全ての人ではありませんが、奉仕の精神『人のために何か出来ることはないか』という気持ちがなくなり、お金で全て解決というようなことが原因でしょうか。

俺も加害事故の関係者から『相手は包丁を持っていたかも。』などと後から聞いたらぞ~とするようなことをいわれたことや『お前らは何もしなくていいから、早く○○病院へ運べ。電話なんかしなくても俺が言うとおりにすればいいんだ。』などと仕事が嫌になるような言葉をかけられることもあります。

公僕として手を出すことも口を出すこともできず、黙々と仕事をし、『早く時間が過ぎろ。』と考えて耐えることも多々あります。

そんな行動をとらせないためには、周りの人に信用される隊員になることが重要だと考えています・・・市民との信頼関係を構築すること、現場引継ぎに関してバイスタンダーに対する感謝の意思表示、現場での情報収集と処置の経過を確実にするためのチームワークの訓練など、俺も意識とスキルを高く保持していくことが大変だけど大事だと思っています。

嬉しいことは、俺たちの仕事に協力してくれる人たちによる野次馬整理や『QQ隊が着てくれたのだからもう大丈夫、QQ隊に任せよう。』という言葉です。

『またか』と思う常連さんの出動もありますが、俺たちに助けを求める人を振り分けることはできないこと・・・QQの現場では”患者の119通報時のトリアージ”も話題になっていますが、現在の状況では、いくら常連さんでも今回も同じ症状だとは限らないから、『目で見て、口で聞いて』から搬送の有無は決めないとならないです。

人の命に重さの違いはないのですから・・・『天は人も我を、同一に愛し給うゆえ、我を愛する心を持って、人を愛するなり。』


火災下敷き事故

2007-09-25 23:02:37 | ひとりごと

S146_3 また、住宅火災の現場で2階が落下し、消防士の下敷き事故で4名が下敷きになり、重体1名、軽症3名が出ています。

今回は京都ですが、前にも同じように名古屋と神戸で2階が落下してきて、消防士が殉職している事故が報告されています。

名古屋の事故の後、2階建て火災に対しての対応が不十分だったのではということで、放水量減量のための消火薬剤活用や梁を下から支えて崩壊を防ぐ器具の使用などの対策を立てていたように記憶しています。

その時に一番印象に残っているのは、出動全体員に無線を持たせるということだったように記憶しています・・・確かに上からの落下物や崩壊の危険に対処したり、知らせたりするには有効のように見えますが、現場の隊員は携行品が多い上に現場は周りの声が聞こえないくらいうるさいです。

それよりも現場全体を見回せる位置に隊員を配置して、落下物や崩壊の危険を予知して知らせるというほうがより現実的ではないかと思っています。

予算が潤沢なところはいいと思うのですが、そうでないところでは、一人一人が知恵を出し合い対応していくしか、自分を守る手段はないでしょう。


CPR&AEDトレーニングキット

2007-09-24 17:27:43 | ひとりごと

P014_1 一昨日、QQ搬送した高齢者の葬儀を見かけました・・・以前も1日に2件の死亡に遭遇することがありましたが、今回のように、こちらからの呼びかけに反応した人が1日に2名亡くなってもう今はいないということは、つらいものです。

今回の老人はいろいろと既往があり、入退院を繰り返していたということで体力的にも限界に来ているような感じでした・・・だからといって、今のQQ隊にできることは限られているので、かかりつけ病院へ搬送することしかできないという自分の無力さを感じます。

処置として俺たちの手の出せない傷病者はどうすることもできないですが、今まで元気にしていた人の”突然の心停止”には、全力を挙げて取り組みたいです・・・一番助かる可能性があり、”命の天秤”がその場に居合わせた人やQQ隊のAEDにかかっているということです。

誰がどこで”命の現場に居合わせる”ということが、現実ではそう度々あることではないと思いますが、イザという時に対応できるかが命の天秤の傾きに関係してくると思います・・・そのためには、全ての人が”CPR+AED”のトレーニングを受講してくれたら、救命率も上がるのではと思いますが。

救命講習受講の『時間がない、機会がないという人』に押し付けることはできないと思っています・・・俺個人としては、救命処置のトレーニングは反復練習が大事だと思っていますので、講習を受けた個人や家族が家庭で練習するという状況は救命率UPに非常に有効ではないかと思います。

今回、講習を受けられない人のために”CPR&AEDパーソナルトレーニングキット”がレールダル・メディカル・ジャパンから発売されているようで、『個人向けの教材でどこでも短時間(40分位)で自己学習できる』というものみたいです・・・ついにトレーニングキットも『1家に1台』の時代が来たのかとびっくりしています。

キット内容もDVDに『小児CPR、気道異物除去、感染防御具』まで入っているみたいで、BLSの内容みたいです・・・価格も安価になっているみたいで、普及してくれたらと心から願っています。

倒れている人を見たら、『先ず、手を出すことが大事。』・・・”命の天秤”を生の方へ傾けましょう。