日光讃歌(64)信仰の地 「行者堂」
信仰の地・行者堂
滝尾神社へ到る少し手前に、「行者堂」という古風なお堂がポツンと一戸だけ建っている。
この行者堂は女峰山へ向かう登山口でもあり、役行者が非常に健脚であったので、足が丈夫になるようにとの信仰があり、草鞋の奉納が多い。
ここは「峰修行」の行者の拝所でもあったようで、 堂の創立年代は不明であるが、輪王寺の記録によると、天正三年(1575)桜本坊宗安によって再興されたと伝えられている。
その後幾度か修理を経て今日に至っているという。
堂内には「役小角」を祀り、前鬼、後鬼を配して守り神としている。
日光山の修験行のことを、総称して三峰五禅頂(さんぶごぜんじょう)といい、春・夏・冬の峰修行を三峰(さんぶ)と云い、秋の峰修行は五禅頂(ごぜんじょう)という。
行者達が、行者堂を経て女峰山に入山する峰修業といわれるものは、まず日光山域正面の四本龍寺に集合し、行者堂から入山、女峰山を目指し、さらに峰々を踏破しつつ男体山に至り二荒山神社中宮、中善寺(中禅寺)を経て、出発地である四本龍寺に戻ってくるという。
天下泰平・国土安泰など、山の頂にある小祠に祈願しながら修行を行うものである。
日光山の開山は、奈良後期の8世紀に勝道上人が開山したとされているが、男体山山頂からはさらに古い時代の遺物も発見されているという。
役小角が、日光に足跡を残したかどうかは定かでないが、奈良期の初期ごろには修験者が立ち入っていたことは確かで、勝道上人以前から日光は信仰の山であったと考えられるという。
その後、地元の修験道者・勝道上人が入山するのである。
次回、信仰の地 滝尾参道
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