マドリーでのオフ時間を利用して、プラド美術館へ。3年半ぶりにベラスケス、ゴヤ、ティントレット、ボッシュなど、大好きな作品と再会できた。
しかし今回はこうした常設展示よりも、企画展に重点を置いた。なぜかというと、ヴァージニア州の抽象画家サイ・トゥウォンブリの連作展《LEPANTO》(2001)を見るため。林道郎著『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』を読んで以来、トゥウォンブリは気になる画家だった。たっぷりと水を含ませた絵の具を立て掛けたキャンパスに貼り付ける。そこから下垂しつつさみだれ式に絵の具が落ちてくる。下降線とは衰弱であり、不可逆的な時間経過であり、アンナ・カリーナも歌う「私の短い運命線」でもあるのだが、そこにトゥウォンブリはあざやかな色彩を持ってくる。生の宿命的な下降線が色彩によって祝福さえされているように見える。
他にも企画展が2つ開催されていた。《ルネサンスの肖像: ピザネッロからルーベンスまで》は最も混雑している区画だったため、それなりのスピードで見るしかなかった。
もうひとつの企画展は、ロレーヌ出身のジャック・カヨ(1592-1635)とスペイン統治下のブリュッセルで活躍したピーテル・スナイエルス(1592-1667)という同時代の画家の作品を並列した《Battle Scenes》。戦争俯瞰図という面白いモチーフだ。常設展示の方にある有名なベラスケスの『ブレダの開城』に対する北方側からのバリエーションとして見ることができるのではないだろうか。
Museo Nacional del Prado 公式サイト
http://www.museodelprado.es/
しかし今回はこうした常設展示よりも、企画展に重点を置いた。なぜかというと、ヴァージニア州の抽象画家サイ・トゥウォンブリの連作展《LEPANTO》(2001)を見るため。林道郎著『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』を読んで以来、トゥウォンブリは気になる画家だった。たっぷりと水を含ませた絵の具を立て掛けたキャンパスに貼り付ける。そこから下垂しつつさみだれ式に絵の具が落ちてくる。下降線とは衰弱であり、不可逆的な時間経過であり、アンナ・カリーナも歌う「私の短い運命線」でもあるのだが、そこにトゥウォンブリはあざやかな色彩を持ってくる。生の宿命的な下降線が色彩によって祝福さえされているように見える。
他にも企画展が2つ開催されていた。《ルネサンスの肖像: ピザネッロからルーベンスまで》は最も混雑している区画だったため、それなりのスピードで見るしかなかった。
もうひとつの企画展は、ロレーヌ出身のジャック・カヨ(1592-1635)とスペイン統治下のブリュッセルで活躍したピーテル・スナイエルス(1592-1667)という同時代の画家の作品を並列した《Battle Scenes》。戦争俯瞰図という面白いモチーフだ。常設展示の方にある有名なベラスケスの『ブレダの開城』に対する北方側からのバリエーションとして見ることができるのではないだろうか。
Museo Nacional del Prado 公式サイト
http://www.museodelprado.es/
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