荻野洋一 映画等覚書ブログ

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遠感知という霊的体験

2019-11-15 20:43:57 | 身辺雑記
曽祖母死去の日の早朝に、母が見た夢のお話。

昭和時代の、ある冷え込んだ11月の未明。眠る母の枕頭(ちんとう)に曽祖母が現れた。
「あら、おばあちゃん、どうしたの?」
曽祖母は微笑んだまま座り、母の声に答えず、横たわる母(つまり自分の孫)を見つめるのみだったという。

するとその瞬間、近所の主婦が大声で我が家の二階に向かって「荻野さん!」とさかんに呼ぶ声。
不思議な夢を見ている最中、母は電話のベルに起きることができなかった。
連絡が取れずに困った母の実家の家人が、仕方なく我が家の近所に住むMさんというお宅に電話したのだ。
母の実家のアドレス帳に、幼い私がなぜだか悪戯まじりに私の仲良しであるM君の電話番号を書き込んでおいたのだ。
それが期せずして役に立った。
外からの呼び声に目を覚ました母は、二階窓を開け、道路に立つMさんの口から自分の祖母の死を知った。

忌引きが明け、久しぶりに登校した私は一学年上のAちゃんに、
曾祖母の死んだ朝に母の枕頭に曾祖母が現れた件、そしてM君のお母さんが呼び出して曽祖母の死を知らせてくれた件などを説明した。
当然、AちゃんもMさんのことは知っている。
Aちゃんが顔面蒼白となり、恐怖におののく。
それまで、これらの事象の非日常性に、私はなぜか気づいていなかった。
さもありなんと幼心に淡々と事態を受け止め、葬儀の一切合切にただただ疲れきったのみだった。

それにしても、あれは母の霊的遠感知というものなのだろうか?