泣ける笑える玉手箱   長崎沙織 

お笑い・ポエムなど
 

(日記) 誕生日の封筒  長崎沙織

2012-05-14 00:35:28 | 日記

長崎に住む姉と

時々メールのやり取りをしたり

電話を掛け合ったりしている。

お互いの近況報告・・

長期入院している母の様子・・

・・・・・・・

・・・・・・・・

そして 最後はいつも

元気だった頃の父や母の

思い出話になる。

 

「10月で お姉さんも69歳になるとやね~

 月日の過ぎるとは早かね~」

「ほんとね~。早かね~。

 そういえば まだお父さんもお母さんも

 元気やった頃ね~

 10年くらい前まで

 私の誕生日には 

 毎年 封筒の中に 

 一万円札と

 お母さんからの手紙を

 一緒に入れて

 渡してくれよったとよ。

 もう いい年の娘なのにね~。

「あら~・・ほんと? 

 知らんやった~。 」

 

兄と私は ずっと四国と東京暮らし。

長崎に住む姉夫婦が 

年老いた両親を

自宅の目の前のアパートに呼び寄せ

毎日 三度の食事を作り 

掃除や洗濯などもして

世話をしてきた。  

 

「お父さんとお母さんの喜ぶ顔が

 嬉しかったとよ~ 私も。」

さりげなく言ってのける姉は

私からすればスーパーウーマンだ。

 

そんな親孝行な姉に

毎年 毎年

両親からの

誕生日のプレゼント。

それが

封筒に入った一万円札と

母からの手紙だったそうだ。

 

「けいこちゃん。

いつも ひとかたならぬ 

お世話になっています。

ありがとう。ありがとう。

感謝しています。

いつまでも いつまでも

元気でいてください。」

 

そんな内容が書いてあったそうだ。

 

電話口で

その話を聞きながら

涙が ポロポロと こぼれた。

姉も 

電話の向こうで

泣いていた。

 

心を込めて

一生懸命

手紙を書いている

まだ元気な頃の

母の姿を思い浮かべた。

 

東京で 自分たちの暮らしに

あくせくとして

両親のことなど二の次だった私。

 

姉の優しさが

両親の生きがいでもあったのだろう。

 

父は亡くなり

今は 寝たきりになっている母。

 

10月の誕生日が近づくと

姉は いつも

封筒に入れられた一万円札と

同封された

母からの暖かな手紙を

思い出すそうだ。

                    end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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17 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お姉さん (ギャラン)
2012-04-27 14:20:21
お母様も きっとお姉さんの心遣いに感謝し 頼りにしてきたんだと思いますね

近くにいてくれて 何かあったらすぐ駆けつけ身の回りの世話をしてくれる お姉さんに頭も上がりませんね

寝たきりになっても きっと長崎さんの事を覚えているでしょう
母がたのおばあちゃんは 介護施設に入っていますが まだ少しの痴呆ですが顔を出すと嬉しそうにしてくれます
うちの子供(ひ孫)を嬉しそうにかまったりしてくれます

うちの 祖母も同じ年くらいですが お陰でまだ祖父母二人で元気に自分達でくらしています

母親というのは 娘にとって偉大な人物であり目標でもありますよね
長崎さんも お姉さんにまけない様に元気な笑顔で過ごしてくださいね

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泣けました。 (koumama)
2012-04-27 19:55:45
あのね・・
沙織さんのお姉さんの事を書いた記事を読むと
いつも自分を投影してしまうの。
この記事も
私 同じような事を母にされていたんだ。
私の誕生日・・母がくれた寸志をいれる小さな封筒?に けいこちゃんへって(同じ名前だね(笑))書いてあって・・
ありがとうって書いてあって 同じだよ、1万円入ってたの・・(笑)
読みながら想い出して涙が出ちゃったよ~

今もその寸志の封筒は私のお守り袋に使わない1万円札とお手紙とともに入っています。
絶対使わない(笑)
お姉さんの気持ちがわかる・・
沙織さんも お姉さんを想い 素敵な関係ですね。
お母さん 沙織さん達子供たちが自慢なんだろうなぁ。いつまでもお元気でいてほしいと心から思っていますので。
素敵なお姉さんによろしく(*^。^*)
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Unknown ()
2012-04-27 22:40:21
今日も、いいお話をありがとうございました。心に沁みました...。私も、その素敵なお話の知恵を戴きますね。私も、長男が二十歳になった時に、手書きの手紙を、大学を卒業した時にはメールで、「ありがとう」と「ごめんね」の気持ちを伝えました。これからも、ずっと、誕生日に思いを伝えていきたいと思います。沙織さんのお話は、本当に本当に、暖かい人柄が溢れていて、私の心に、いっぱい、栄養をくださいます。これからも、楽しみにしてます(*^_^*)
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Unknown (karin)
2012-04-27 23:49:09
長崎沙織さん こんばんは

優しいお姉様ですね。
お母様の優しさを受け継いでいらっしゃる
のでしょうねぇ。

そして沙織さんとお姉さまのお電話での会話
に涙し、、、、私もまたまた母のことを思い出
しています。お姉さまと私は一ヶ月違いの同い
年ですね!

実は私は三女ですが、父が急逝し、雪深い故郷
で一人暮らしができないという体の弱い母を
私の新潟市の家のすぐ近くに呼びよせて17年間
毎日世話しました。いや、世話をさせてもらい
ました。

苦労をした母だったから晩年は絶対に「生きて
いてよかった!」と思える日々にしてあげたい
と思ってがんばりました。

ああ、懐かしいですねぇ。恋しいですねぇ。
「ありがとう、ありがとう」といつも言っていま
したねぇ、、、。

私が36歳(未亡人になって5年目、娘が
小学校6年生でした)から53歳までの17年
間でした。母も高血圧症だったので最期は脳動
脈瘤の破裂で急逝しました。83歳でした。

ごめんなさいね、沙織さんの優しさに触れると
いつも私は気が付くと自分の懐かしい世界に帰
ってしまいますね。
返信する
思いやりですね。 (ベルママ)
2012-04-29 22:33:34
子供にとって親を看るという事は当たり前の事でしょうけれど
中々全部が全部できる事ではありません。

お隣に介護に来る姉妹もまた同じで
私には到底真似の出来ないような介護をしています。

沙織さんのお母さんとお姉さんも
お互いの思いやりで成り立っているのだと思います。
お姉さんの気持ちに、ご両親はいつも感謝していたんですね。
お姉さんもまた、育ててくれたご両親に感謝しているんだと思います。

今日もまた、素敵なお話をありがとう~。
返信する
Unknown (長崎沙織)
2012-04-30 04:30:36
ギャランさん
コメントありがとう!
koumamaさん
コメントありがとう!
凛ちゃん
コメントありがとう!
karinさん
コメントありがとう!
ベルママさん
コメントありがとう!

お返事も書けずごめんなさい。

4月29日、、、
母が亡くなりました。

母のことを
気にかけてくださった皆様
ほんとうにありがとうございました。
長崎にて。











返信する
沙織さん! (karin)
2012-04-30 08:34:18
今、パソコンを開いて、、、
涙がとまりません、、、、。



沙織さんのお母様へ

よき人生でしたね。
素敵なお子様たちに「いのち」をつなげて、
安心して旅立たれましたね。

あちらでもお母様をお待ちの皆様が大勢
いらっしゃいましょう。いつか私も参ります。
お会いできる日まで、、、、さようなら!
返信する
沙織さん、いつもありがとうございますm(__)m (bluetear)
2012-04-30 12:31:53
こんな素敵なお話を聞いたあと、コメントの最後の方に目をやったら・・・・・・

そんな素敵な心のお母さまがお亡くなりになったんですか?
昨日・・・・・・

溢れんばかりの思いやり溢れるお姉さんご夫婦が、いつも近くに居てお母さまを支えて下さった事。
遠くに居てもいつ、何時でも気にかけてくれる沙織さんが居てくれたこと、
心配しながらも、なかなか傍にいられなかったお兄さんの事も、
とても優しい子どもたちに恵まれたと、感謝されて旅立たれたと思います。
karinさんが書いてらっしゃる通り、私も同じように思います。
息子さん、娘さんたちに、優しい思いやりの『いのち』を繋げて旅立たれたと思います。

お母さまのご冥福をお祈りしますm(__)m
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Unknown ()
2012-04-30 18:10:32
沙織さん お大変でしたね...。親は幾つになっても、もうこれで満足ってことはないですよね、いつまでも生きててほしいですよね...。 日にちが経つと、また、新たな悲しみが湧いてくることでしょう...。でも、お母様はお父様に会えて、あちらでお父様がお酒を用意してくださって、久し振りのお酒を味わえてると思って、元気を出してくださいね。
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お悔やみ申し上げます (なつ)
2012-04-30 21:13:47
仕事柄(葬儀も法律事務も)、
人の幸せな最期について考えることが多いです。
葬儀をしていると、親がいくつであろうと、見送る子供の哀しみは同じなのだと思い知らされます。
ただ、故人ご本人のお気持ちを察するとき「この方は幸せな最期を迎えられてよかったな」と思える方が多いです。
沙織さんのお母様も、素晴らしい子供達に見送られ、感謝していらっしゃるんじゃないでしょうか?
若輩者が偉そうにすみません。

そして、記事を読ませていただいて、そばに居ながら何もできない、それどころかいまだに世話を焼いてもらっているダメ長女の自分を反省しました。
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