泣ける笑える玉手箱   長崎沙織 

お笑い・ポエムなど
 

(笑い)トメさん 冬眠から覚める? 長崎沙織

2013-03-29 17:36:44 | 笑えるトメさん

なんだか暑い・・・

ムニュムニュムニュ・・・・・

・・・パチクリ。

ふあ~・・・・よく寝た~。

あららら~。

テレビも付けっ放しで

うっかり爆睡してしもうとったんじゃね。

ギャッ! コタツの上が散乱!

あ いつものことか。

ええと・・・・今 なんどきなんだ?

・・・・・・・・・・・・・

20日の・・?9時30分?

・・・・・・・・・

エエ~~~~ッ

3月20日? さささ3月?

ウッソ~~~!!

どうなってんだ!!

2月じゃ・・ないんか!!

ありゃりゃりゃ~

テレビに桜の花が映っておる。

急に暖かくなって

上野公園の桜が咲き始めて?

お花見で大賑わい??

・・・・・・・・・・・・・

あたしゃ どんだけ眠っておったんじゃろ・・・

おそろしか~・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・

しっかりするんだ! トメ!

気を確かに持つんだ!

・・・・・・・・ゲホ。

寒い寒いとふるえながら

北国の大雪の映像を見て

数週間・・・・この四角いコタツん中で

眠りこけておったんじゃろか・・・

こげなことが・・・あるんじゃろか・・

・・・・・・

冬眠?? このトメが?

人類初めての?

 

・・・・・・・・

そういや・・・・たしか・・

鬼ヨメとオオバカ息子が

孫のみきちゃんのおるアメリカに

結婚の話もチラリンホラリンの

恋人のジョージ家族に挨拶にいく

そのついでにラスベガスにも寄ってくる

飛行機嫌いのお母さんはここに置いていく

金もかかるし 知ったこっちゃない

まるで邪魔な荷物のように言いやがって・・

浮かれまくって出かけたのが

たしか・・・2月の終わり・・

あの鬼ヨメの

「しばらく留守にしますから

ちゃんと戸締りしといてくださいよ!!

火の始末も気を付けてくださいよ!

お母さんは だらしないんだから!

あ それから

一階の冷蔵庫は空っぽにしてますから

開けても無駄ですよ!」

という相変わらずの血も涙もないお言葉。

「わかってるよ。あんたに言われなくても!

 うるさいね~~!文句ばかり言っておると

 ますます 眉間のシワが深くなるぞ~~~!!

さっさと 行きやがれ~~~!!」

 

すっかり自由の身となったトメくん

さっそく コンビニにて食料品をゲット!

コタツに寝そべりながら

から揚げ3個 

肉まん2個・・チョコレート1箱・・

おばあちゃんのぽたぽた焼き6枚・・

とどめのぺヤングソース焼きそば・・・

食って食って食いまくった・・・

もう 動けまへん 1ミリたりとも。

ふと 心によぎった・・・思い・・

(こんだけ食いだめしたら

 クマみたいに冬眠できるかもね ウホ。

 くまもん じゃなく トメもんになっちまうかもね エヘ。)

・・・・・・・・・・

・・・・・現実になっちまったんだねえ~~。

ほぼ 3週間・・・過ぎておった・・

やれば 出来るんだね~・・・

まだまだ 可能性を秘めた女なんだね~。

ギネスブックに登録申請せねばなるまいの~。

「3週間冬眠した!? 北区の美しき老女!

彼女は どうして生き延びたのか・・!

その謎と真実にせまる!」

取材が殺到するな。

・・・・・ただね~・・・

証明してくれる人物がいないのがね~・・

申請に手間取るかもね~・・・。

・・・・・・・

ところで

あいつらは どうしたんじゃろか。

アメリカから帰って来たんじゃろか・・。

ばあさまをほったらかして

アメリカなどという

横文字の国に行きやがって

・・・・・・・

ちょっくら 下に降りて部屋を覗いてみるか・・

ヨイコラショット。ああ・・足元がふらつく・・・

冬眠は体力を消耗するもんだな・・

・・・・トン・・トコ・・・トン・・トコ・・

ドスン。イテテ。

・・・・チロリ。

・・・・・シ~ン・・・・。

誰もおらん。

まさか・・・・まだ あいつら アメリカに・・・・

・・・・おや?

ありゃ なんだ?

テーブルの上に・・・

どれどれ・・・・

横文字ばかりの箱だな。

チョコレートの写真・・・

・・・hawai・・makademia・・ハワイ?

あいつら 

帰って来てやがったのか・・・。

しか~も! ハワイにまで立ち寄った?

このか弱きばあさまを置き去りにして?

あいつら 人類を超えておる。

帰ってきて

2階に冬眠するトメを見て

いつものうたた寝と思い

声を掛けることもなく

普通の暮らしに戻ったのか・・・・

そして又お出かけ?

我が家族ながら・・凄すぎる奴らだ・・

・・・・・・・・

・・・・・・・

さすがに・・・足がふらつく・・

冬眠は かなりの体力を奪ったらしい。

ちょっくら 鬼嫁支配の

この大型冷蔵庫を開けてみるか。

空っぽにしたと言っておったが

帰国してから 何か買っただろ。

カシャリ。

ウワッ!

刺身・・・チーズ・・・ロースハム・・

ケーキに饅頭・・・・・

山ほど食料品が・・・・どうなってんだ!!

こりゃあ 帰国して数日は経っておるな。

なんて奴らだ!

「お母さん 久しぶりに晩御飯一緒に食べましょうか。

 降りてきてくださいね。」

という声かけもなく・・・・今日に至るのか・・・ググググ~グヤシイ。

あの夫婦は 北極の氷よりも冷たい・・・・。

いったい 誰が育てたのか・・・・あ・・一名は・・このトメか・・。

 

とにかくね

生ものは痛みやすい・・

あの子たちがお腹でもこわしたら大変!

そんな優しい気分盛り沢山で

まずは刺身を処分しちまうか。

ううううまい・・・!!

こりゃあ トロじゃないの?

「となりのトロ」 の味は格別だね~。

チーズも食っちゃえ!

ケーキもひとつもらうか。

ハムもちょっとかじってと・・・。

ああ・・・水分補給に

お茶・お茶と・・・

ない・・・・どうなってんだ!

お茶ぐらい冷やしておきなさいよ! ったく~・・・。

気のきかない鬼嫁だね~。

ゴソゴソ・・・

ウッホ~!!

ワインがあるじゃないか!

何だって?派手なゴールドのラベル。

「クック・クック ワイン ヨントリー」? お前はハトか!

冬眠で疲れきった身体には

ボリフェノールたっぷりのワインは

うってつけだ~。

空けちまえ~!!

グビリ・・・グビグビり。

うんめ~~!!

久しぶりのアルコールに酔いしれるトメ。

やや色っぽくなっちまったかしらん ウフ。

ちょっとだけよ~・・と思ったけんど

3杯も飲んじまったよ~。ヒクッ。

元の場所に 瓶を戻してと・・・

ひゃ~・・・・・

あんだけ眠っておったのに

満腹になったら

又・・・眠くなっちまった・・・・・・・

早いとこ 2階に逃げねば・・・

ヨイコラショっと・・・

ドンドコドンドコ・・ドンドコリン。

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

グ~グ~・・・・・・・。

・・・・・・・・・

鬼ヨメ

 「オイ!!起きろ!!」

ガバッ。

トメ

 「なななんだよ~! 急に!」

鬼ヨメ

 「お母さん! 下の冷蔵庫を勝手に開けましたね!」

トメ

 「ばか お言いでないよ!

 あたしゃね ず~っとここで寝ていたんだ!」

鬼ヨメ

 「刺身も チーズも ケーキもなくなってるし

 ハムに至っては 歯型まで付いてましたよ」

トメ

 「そそそそりゃ~ね

 おなかすかしたコソ泥が入ったんじゃないの?

 今ね 世の中不景気だからね~

 あり得ることだね~。

 あたしゃね 知りましぇん!」

鬼ヨメ

 「そうですか・・・それでは

  すぐに警察に電話して来てもらわなきゃ!!」

トメ

 「そそそれは やめたほうがいいんじゃあないの?

 ああたね ほんの少しだろ?

 刺身だって 8切れぐらい。

 チーズだって2切れ。

 ケーキは たったの一個。

 ワインだって 2~3杯。

 よっぽど おなかが空いてたんじゃないの?

 許してやんなさいよ。おおらかな心でよ!」

鬼ヨメ

 「え~っ?? ワイン?

 あの棚のワインまで飲んだんですか?」

トメ

 「ドキリンコ。」

鬼ヨメ

 「・・・あのワイン・・・一本3万円もするんですよ。

 ヨン様ファンのお友達の家で

 食事会をする時に持っていこうと思って

 買っていたのに・・・・どうしてくれるんですか!!」 

トメ

 「って~ことはだな

  このトメくん・・・おそらくは・・

  1万円くらいは 飲んだかにゃ?

  うっほ~!!

  ワインといえば 赤玉ポートワインだった若かりし頃・・

  それが・・・・ああた・・・ほんの3杯くらいで

  一万円・・・・生きててよかった~~!!

  贅沢三昧! あんがとさん!」

鬼ヨメ

 「オイっ!!

 やっぱり 犯人はお前だな。

 あとで 弁償してもらいますからね。

 きっちり計算して!

 ワイン代も含めてね。

 もう・・油断もスキもありゃあしない!」

トメ

 「ケチ!」

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・海外旅行に行って

少しは心が広くなったかと思うたら

あいつ・・・鬼だ・・・・。

ちょっと冷蔵庫の中の食料品を

夫の母が食べたくらいで  あの厳しさ。

優しいヨメじゃったら

「お母さん 食欲があって

 元気で良かったわ~。

 いつでも遠慮しないで食べてくださいね。」

・・・・・・・あ~・・無理じゃな。あいつは。

 

あのワイン代が1万円。

刺身とチーズ・ケーキを合わせると

・・・・ま 12000円は下らんな。請求額は。

冬眠でしばらくは食費が0円じゃったから

いつまでもグダグダ言われるより

スパっと払おうじゃないか!

札束3枚を

叩きつけてやろうじゃないか!!

・・・・・・・・

・・・・・・・

さてと。

冬眠からも覚めたし

久しぶりにスーパーに行ってみるか。

テクテク・・・テクテク

テクテクテク・・

あらら~・・・桜の花がもう随分咲いておる・・

季節は 春なんだね~。

乙女チックなご気分だわ~。

・・・・・

到着しました!!

あれまあ~

今まで気が付かんかったけんど

スーパーにもワインが

結構 並んでるじゃないか!

しか~し!

さすがに あの3万円のワインなんぞは

置いてないだろ?

このトメくん もうね

高級ワインの味を知ってしもうたから

そこらへんの安値のワインは飲めんよ。

悪いけんど。

 

ほほ~・・それにしてもだな

こんなに種類があるとは・・・

赤・白・黄色・・・

うん?うううん?

おや?

見覚えのある この派手なゴールドラベル・・

「クック・クック ワイン ヨントリー」??

エエ~~っ?

今日飲んだ あの高級ワインじゃないか!

ひゃ~~・・ここにも置いてあるんだ・・・

スーパーも あなどれんぞ。

スーパーだと 少し値段も安くなっておるんじゃろか・・

どれどれ?  ええと・・・

ギャ~~~~!!!@@@@@@

800円? お料理用としても最適です??

・・・・・ウソだろ。。

一本飲み干しても・・800円!!!

三分の一なら・・300円もかからない・・・

チキショー~~!!

鬼ヨメの奴・・・

純粋なるこのトメくんから

1万円も 騙し取るつもりだったのか・・・

許すマジ! ああ 許すマジ!

どうしてくれようか・・・・・・

・・・・・・・・・・キラリン☆☆

・・・・・・・・・

 

トメ

 「ハイ。ただいま 帰りました。」

鬼ヨメ

 「あら お母さん

 ちょうど良かった。

 さっきの請求書 これですからね。

 ワイン代1万円を含めて

 12300円。 きっちりお願いしますよ。」

トメ

 「あ・・・これね。ハイハイ。

 そうだ! あのね

 今日 三分の一頂いた あの高級ワインね

 ああたが お友達と一緒に飲む予定だったんじゃろ?

 ほんでね~ 悪いと思ってね~

 あちこち お店を回ってね~

 見つけたんだよ~ やっと! 同じもの。3万円!!

 ほら! リボンまで店の人に頼んで付けてもらったよ。

 でね これをそっくり一本 お返しします。

 これで 1万円の請求はなしね。

 それからね ほら 飲み残しの2万円分のワインね

 あれもね ああたにプレゼントしますよ。

 それで残り 2300円分をチャラということで・・

 ま こっちも だいぶ損しちゃうけんど

 あくまでも・・・あ~ あくまでも お詫びということでね。

鬼ヨメ

 「チクショー・・・・・やられた・・」

トメ

 「じゃ~ 請求書 破ります・・オホ。

 ベリベリベリ・・・・と。

 スッキリシマシタ~~!ハイ。

 そうだ! ああた!

 みきちゃんは どうなってんのさ!」

鬼ヨメ

 「アメリカの恋人と

  ずっとあっちで暮らしたいって言うんですよ!

  言い出したら 聞かないんだから!

  誰に似たんだか!!まったく!!」

トメ

 「あんたに 似たんじゃないの?」

鬼ヨメ

 「あんたに似たんだよ!」

トメ

 「バカ。」

・・・・・・・・

トントコリン・・・。

良かった~!!

800円のワイン代だけで

鬼ヨメ請求額の

12300円 すべてチャラに出来た~!

やったね! トメくん。

                     end