ただいま東京都美術館で開催中のムンク展、その圧倒的な世界観!
ああ、これは私の世界だ、と一歩踏み入れた瞬間にわかるもの、
そこに出会ったとき、生の喜びと苦悩が混ざり合って、
純粋な真の快楽につながる気がします
有機物も無機物も混ざり合い、融和し一体となって無限の生命体になる
それは不安と恐れと不気味さと…どこかに恍惚が隠れている
ふっと思い出したのは諸星大二郎先生の傑作短編、「生物都市」
これはハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのか…
でも私はこれこそが私の求めている世界なのではと思ったりもしました
個としての意識も肉体もすべてがなくなって…
あの不思議な陶酔感がムンク展でよみがえり、
そのことについて考えていました
ムンクの絵はおぞましさの中に美しさ、不安の中に安寧、
そして諦観の中に光を感じるのです
展示の最後に、最晩年の自画像
針のない時計と空のベッドに挟まれるように立つ老人のムンク、
その背後には彼が描き続けてきた無数の絵画、ムンクはこれを私の子どもたちと呼んでいた
絵を描き続けるためには孤独でならないと独身をとおしたムンクの子どもたち…
「 我々は誕生の時に、すでに死を経験している
これから我々を待ち受けているのは、人生のなかで最も奇妙な体験、
すなわち死と呼ばれる、真の誕生である 」