超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

People In The Box@SHIBUYA-AX 10.3.20

2010-03-21 19:00:31 | ライブレポ


昨日はPeople In The Boxのワンマン、Sky Mouthツアーのファイナルに行ってきました。
同時に「Ghost Apple」の楽曲も全曲披露していたので
それを考えると、シングルとミニの同時レコ発、って感じだったのかな、実際は。
大ファンであるにも関わらず今までタイミングが合わなくてライブ未参加のままでしたが、
念願の参加を果たす事が出来ました。
で、自分の想像以上に彼らはライブバンドでした。

とにかくねえ、聴きたい曲ほとんど聴けたし
メンバーの演奏はいちいち上手いしで終わってみればほとんど満足感みたいな、そういうライブでした。
そう、演奏力がめっちゃ高いんですよ。
身に持って感じるくらいに。
誰がどうとかではなくて、もう全員高い。全員テクニシャン。で、もちろんテクニックだけじゃない衝動も持ってる。
 そんな彼らの初ライブがAXという大ハコで、グッドコンディションで観られたというのは幸せなことだったのかも。
2時間という時間に表せばそこまで長時間ではないですが、それ以上の濃さと興奮を十二分に味わえました。
では以下↓レポート。



気がつけばお久しぶりのAX。若干行き方忘れつつも(笑)、開場の10分後くらいには無事到着。
この大ハコがピープルの知名度と売り上げで埋まるのかなあ?とか思ってましたが
キャパ1700人のところ1500人は来てたみたいですね。
実際会場は見た限り程よく埋まっておりました。
嬉しいと同時に、いつの間にここまで勢力を?とも思いつつ。波多野曰く「物好き」とのことですが
ここまで物好きたちが集まるとは(笑)。もちろん私もその一人。
赤坂ブリッツとか恵比寿リキッドならソールドアウトだったんじゃないだろうか。



ライブは、なんと朗読からスタート(!)。らしいといっちゃらしいのだが、規格外過ぎてある意味ビビる。
それも物語の内容がなんていうか、その・・・まあ「らしい」感じです(笑)。
なんかすごい残酷な話だったんだけど、抽象的な表現を多用する事でそれをほどほどに抑えてる感じ?
ちなみにこの物語の台本の紙が終了時に全員に無料配布されてました。
なんてサービス精神旺盛なんだ・・・!
「汚らしいピアノ」って表現がいかにも波多野センスっすね~。

そこから今回のシングルの一曲目「生物学」から本格的に開始、
一曲目とかに演りそうだなーとか思ってたので予想通りでニヤリ。
その次が「天使の胃袋」ってとこもドンピシャ。まあここまでは誰もが予想できる範囲だと思うけど。
しかしサビ前のギターフレーズはやっぱり格好良過ぎでした。
というかアンサンブル、タフだなあ!とこの時点で思いつつ。

「水曜日~」を済ませて(これ間奏のギターフレーズがかなり大胆にアレンジされてて痺れました)、初MC。
「君たち本当に物好きだね」
「今日はみんなの胃がもたれるくらい演るから」と決意表明をしてから演奏されたのは・・・
「見えない警察のための」!!
うお~これは嬉しすぎる・・・!イントロの時点で興奮。ベースフレーズ印象に残るなあ。
正直スプリットだけ収録では惜しすぎると思ってただけに、こうやってライブで披露してくれることはすごく嬉しい。
相変わらずサビの転調が凄え(笑)。
「逃げられない」の部分では思わず気持ち前のめりで観てしまいました。
この曲が聴けただけでも個人的には大満足だった。

しかしその後も絶頂は続き、「Ghost Apple」から「月曜日~」、このミニで一番好きな曲ってのもあるけれど
アカペラの部分の静寂感とボーカル波多野にだけスポットライトが当たる演出も冴えていて
相当の高揚感を味わう事が出来ました。
と、思えば「火曜日~」での爆発パートの凄まじさ・・・!
前半のシリアスな部分も良かったんだけど、後半はそれを遥かに凌ぐ演奏力の凄まじさを見せ付けられました。
ドラムもベースもギターも、全部が覚醒状態。
演奏が終わってから大きな拍手歓声が起こったんですが、それも当然といった好プレイの数々でした。

続く「六月の空を照らす」ではまるでダンスしてるかのような間奏のアンサンブルが魅力的、
「犬猫芝居」では逆に波多野の歌が演奏よりも際立ってる感じで
特に3回目のサビ付近の力強さには正しく圧倒されました。何となく、情念を感じるような。
 んでライブではどうかな?と思ってた「木曜日~」が思ってた何倍も格好良かった・・・!
こうやってライブで聴くと改めてリズム隊のフレーズの独特さをまじまじと実感させられる。
ブレイク部分の高揚感も大きかったし、
個人的には上からUFOとか診察台みたいなスポットライトが降りてきてステージを真っ白く照らす、
という演出も非常に冴えていたと思う。曲の不穏さをもっと強調してたような。
こういうのも大ハコならではで贅沢で良かったな。
意外と大ハコのが似合うのかもしれない。
 そして「She Hates December」で水曜日に続き再び波多野のギターが火を噴く!
正直そこまでアップテンポでもないのに、あのファンキーなギターアレンジはまさしく意表を突かれるというか、
そういう部分もピープルらしくていいやな、っていうか。
これも音源以上に感動してしまったなあ。


ここでちょっと長めのMC。
兼ねてから噂は聴いていたんだけど、ドラムの大吾っていつもあんなテンションなんだ?(笑)。
なんかお笑い芸人みたいな口調とテンションで若干引きましたが(笑)、
あれもまあ、一種のギャップ狙いだったりするのかなあ。
ベースの福井さんはツアー中フェリー移動が多かったのが孤独で辛かった、とかそういう話をしてたんですが
そこで波多野「それをちょっとベースで表現してみてよ?」と彼に無茶振りをしてたのも面白かった。
 ちなみにベースの音を調整する器具が金属探知に引っかかって、それの説明をするのに非常に骨が折れたとか。
波多野曰く「最後まで腑に落ちない表情してたからね(笑)」
そんな彼も
「やばいな なんかすっげえ楽しくなっちゃった」とご機嫌だった模様。
そのテンションでライブは続きます。


「ブリキの夜明け」から「土曜日~」に繋ぐ流れも良かったんですが
そこからの「サイレン」は更に良かった。
CDでも躍動感を受ける間奏が聴けるんですが、ライブでもそれに負けないくらいの躍動感、
前にライブで聴きたいなあと記述したこともあり、個人的に感動しつつ
更に躍動感の強い「はじまりの国」、
それと同系統の「金曜日~」とクライマックスへ向けてどんどんと盛り上がりを演出するセトリになってきました。
 面白かったのが、この金曜日~の最中になんと「一度だけ」を大胆にも挿入していて
ある意味組曲かメドレーか、そのどっちもであるのかというか、
挿入の仕方も至って自然だったのでこれは非常に驚いたし、
ピープルらしい独創性もあって相当に粋だったと思います。
「一度だけ」って普通に演奏すると、あんなに格好良い感じになるのか・・・と個人的発見も。
CDだとボカして収録されてるけど、意外とメロディが良いんだよね。「ハレルヤ、ハレルヤ」のフレーズも耳に残る。
 そこから「ペーパートリップ」で一気に会場の温度を上昇させ、
最後は「日曜日~」でその高揚感を煽りきっての見事な幕引きでライブ本遍は終了。
終始途切れない演奏力の高さの妙に感動しつつ、アンコールを待つ。


1回目のアンコールではこれまた私的フェイバリットである「失業クイーン」からスタート、
サビのハモり具合が気持ち良いな~と思いつつ
次の「冷血と作法」のぶっ飛び具合に圧倒される。つーか完全にプログレやん。
生で聴くとより一層変な曲(良い意味で!)。
2回目のアンコールでは出てきてすぐに、
波多野「People In The Boxは君たちを裏切らないから。」
と力強い意思表示を宣言、これにはちょっと感動し、
大吾「3曲演って帰るよ!」と
1回目のアンコールよりも多い曲数にひねてくれるな~と感じつつ
恐らく新曲?だと思われる曲から披露、
そこから「完璧な庭」~「ヨーロッパ」の流れだった訳ですが
この「ヨーロッパ」が凄まじく良かったです。
なんというか、熱量が半端じゃなく、最後の方では波多野の振り切った咆哮が聴けて
そういった意味でもこの日のライブ一番のハイライト、
それが最後のアンコール曲で来たことが個人的に嬉しかったです。
最後が一番アガって終わるのは、やっぱいい。
「僕らはいつまでたっても偽物
 どこまでいっても名前がない」
ってフレーズはやはり相当に威力があるな、とも。




この日が私にとってピープルのライブ初体験だった訳ですが
観ていて思ったのは、前方の何人かを除いて微動だにせず、棒立ちで彼らの楽曲に浸っている観客たちと
それを「それぞれの価値観で楽しんでくれているようで嬉しい」と賞賛する波多野、そしてピープルの間には
ある種の信頼関係というか、志を同じくしているような感覚というか
そういったものが漂っているように感じられました。
つまりはピープルのライブならではの空気感、雰囲気が漂っていた訳ですね。
ライブが終わった後、一瞬会場がシーンとなって、観客が無言で立ち去り始めた時は
一瞬時間が止まったのかと思った(笑)。
ピープルのお客さんは全体的にかなりおとなしい。
そして多分男性の方が多い。

んで最初の方にも書いたんですけど、
とにかく演奏が目に見えるレベルで達者なんですよね。
曲の世界観を表現するために、ストイックに演奏してるなというか、
影で相当練習してそうだな、っていうか。
 それと個人的に意外だったのはボーカル波多野のステージ上の立ち振る舞いを観ていたら
思った以上にロックが似合うというか
ロック・スター然としたようなギターの弾きかた、絶頂部分での高まり方が印象的で
それを考えるとピープルって意外と真っ当なロックバンドというか
異色に見えて王道的な良さも備わっているのかなー、とか、そう思うようなそういうライブでもありました。
 本人は「ロック的な気持ちよさはあまりないんじゃ~」とか発言してましたが
それとは真逆にロック的な気持ちよさだらけのライブでした。
これはまた観たくなりますよ。確実に。



セトリ
1.生物学
2.天使の胃袋
3.水曜日/密室
4.見えない警察のための
5.月曜日/無菌室
6.火曜日/空室
7.六月の空を照らす
8.犬猫芝居
9.木曜日/寝室
10.She Hates December
11.ブリキの夜明け
12.土曜日/待合室
13.サイレン
14.はじまりの国
15.金曜日/集中治療室
16.一度だけ
17.ペーパートリップ
18.日曜日/浴室
encore
19.失業クイーン
20.冷血と作法
encore2
21.新曲
22.完璧な庭
23.ヨーロッパ


個人的ハイライトは「ヨーロッパ」、次に「She Hates~」かな。
「見えない警察~」は上でも書いてるけどマジ嬉しかった。
いつか「ユリイカ」も聴けたらいいなあ。

そしてやっぱり「天使の胃袋」はキラーチューンだな~って思いました。


君たちを裏切らないから、と力強く宣言したPeople In The Box。これからの動向も非常に楽しみになるような、
そんなライブでした。また行くぞ!





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