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コンペンセイティング スプロケット

2005年10月15日 | ドライブ系
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コンペイセイティングとは辞書によると「補償する」という意味です。
この他のバイクでは決してみられない機構について考えてみたいと思います。
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これはプライマリードライブを現車とおりに並べてみました。
左端の丸いのがコンペンセイティング スプロケットのユニットです。
チェーンによるプライマリードライブは、基本的には今の新車も同様な構造です。現在のバイクのほとんどはエンジンとトランスミッションはコンパクトな一体構造になっており、クランク軸とトランスミッションはギアでつながっていて、まずチェーンは使われていません。ハーレーは外観のスタイルだけがクラシカルなのではなく、中身も古式豊かな形式を秘めているわけです。
このような大袈裟な部品がゴロゴロ動いているので、エンジンだけでなく伝達装置にも慣性は大きいので、ギアチェンジなどの操作も性急にやるのではなく「ユッタリ」と行うのがよろしいでしょうね。
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ユニットをバラバラにして並べてみました。
こうしてみてもバイクの部品というよりも、何かの大きな機械の部品のような感がありますね。
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カバーの中にはご覧のようにスプリングが入っています。
このスプリングはすごく硬くて手で押してもビクともしません。
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スプリングは真ん中のカップを介してスライディングカムを押します。
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スライディングカムはスプリングに押されて山と谷は、スプロケット側の山と谷に密着されたようになっています。
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大きな力が掛かると、このようにカムはスプリングの押し付ける力に打ち勝って、回転方向にずれてショックを吸収します。
カム山の形は非対称になっていて逆駆動力(エンジンブレーキ時)の方向は急勾配になっていますね。
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エンジンの駆動力は全部このカムに掛かっているので、擦れあう面はこのようにピカピカになっていますね。
カバー内のスプリングがへたったりすると、アイドリング時などのトルク変動で無用に動いてしまいゴトゴト異音がでることもありますね。

クッシュドライブ
通常のバイクの駆動輪スプロケットハブにクッシュドライブと呼ばれるダンパーが組み込まれています。
回転方向のショックをゴム等で和らげて、エンジンや駆動系の構成部品を衝撃による故障や破損から守る大事な役目を担っているのです。
ハーレーにおいては04以降のスポーツスターには装備されていますが、他のモデルでは現在過去でもハブダンパーは付いておりません。
クッシュドライブはイギリスでの発明であるとワタシは記憶していますが、何時頃なのかは分かりません。ご存知の方がいらっしゃれば是非教えていただきたいものです。

ハーレーでは
ハーレーには’55年頃からコンペンセイターが装備されているようです。この頃から世界的にバイクは大型化され馬力も大きくなって、駆動系のトラブルの解決や快適性の向上の必要性から上記クッシュドライブの開発が行われたのではないかと思われますが、ハーレーの後輪にはスプロケットの内側にブレーキドラムがあり、クッシュドライブのスペースが無い!!
後輪ブレーキをスプロケットと反対側に移すのはデイスクブレーキになってからなので、コンペイセイティングスプロケットを採用したほうが手っとり早かったのかもしれません。それに、当時の技術ではハーレーの車重に対抗できるゴムは信頼性が乏しかったのかもしれません。それで、クッシュドライブの機能を「補償」したのかな?
いずれにしても40年の暦史をもつコンペンセイティングスプロケットは、多少形を変えても現在も使われている優れたものだと思います。