白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

ポール クレイトン博士の健康革命

2020年06月12日 | 健康

以前のブログで一寸取り上げました、英国臨床薬理栄養学者のポールクレイトン博士の唱える、人は「老齢」そのものによって死ぬのでは無く、むしろ加齢に伴う一連の疾病によって死ぬと言うべきであるとする、その研究者の言う健康に資する栄養論に就いて、もう一度紹介したいとの想いがあって改めて取り上げさせて頂きます。

ポール クレイトン博士の著書 “Health Revolutionary”(健康革命)、親しい交友関係に有ったと言う或る日本人事業家の方が、個人的に博士の栄養論に痛く感動し、博士からの依頼もあって事業の傍ら、自ら翻訳をされて国内出版される手筈となったそうですが、それが何か思惑違いがあってか話が滞って仕舞い、終には立ち消えとなったと言うのです。

―Paul Clayton Ph.D.―

実は、其の用意された翻訳原稿、翻訳者のご意向で反故にされずブログで個人的に公開され、其の上亦、其の方が亡くなられた後もご遺志と経営されていた会社のご厚意により、暫くの間HP上に公開され続けられて何方でも無償で自由にアクセスして読める状態に成って居りました。

其れを偶然ネット上で見つけたのであり、其の題名が 「英国流医食同源」であります。

そのクレイトン博士の略歴ですが、英国エジンバラ大学医学部卒業後、栄養学に於いても世界的権威であるスエーデンのカロリンスカ研究所 (Karolinska Institute)にあって、主として骨粗しょう症の研究に携わり多大の成果を上げた研究者と言う事です。

―ネットに有ったクレイトン博士の近著―

世界中の医学文献に対する貪欲なる収集の下に築き上げた独自の健康長寿に関する博士の健康理論は大変ユニークであり、今日の危険に満ちて偏る食生活環境の中にあっての養素欠乏症と栄養素不足は 「健康長寿」に大きな相違をもたらすとするクレイトン博士の見解が、その原点になっています。

其の違いですが、先ず一連の明確かつ、典型的な症状を伴うのが栄養素欠乏症であり、栄養素の欠乏が始まってから比較的短期間に、即ち数ヶ月単位で発症するものであります。

例えば、脚気(ビタミンB1不足)、ペラグラ(ナイアシン不足)や壊血病(ビタミンC不足)等を含むこのような古典的欠乏症は、殆どが水溶性の栄養素の欠乏症であります。

水溶性栄養素は体内に蓄えるのが難しく、例外もありますが、多くは尿と一緒に体外へ排泄されるからであります。

―野菜と果物は全栄養素の供給源―

ビタミンCの体外排泄は、今では活性酸素の体外排出のメカニズムとして良く知られていますし、栄養欠乏症が発生してから実際に症状が現れるまでの時間が短いために医師にとっても欠乏症と、その症状との関係が発見し易いのです。

これに対して「栄養不足」の方は、特定栄養素の量が症状の発現を抑える程度にはあるのですが、長期的に見て十分とは言えない量、つまり最低ギリギリの量の場合を言い、症状が本当に発現するまでに何年も掛かるだけに発見がそれだけ難しいと言います。

例えば、今時では、壊血病の患者を発見することは滅多に有りません。しかし、加工食品が普及した為のビタミンC不足は、イギリスでは密かに進行していると言います。

―魚類は不飽和脂肪酸の大切な供給源―

それでは、われわれ医者でも無い一般人はどうすれば良いのか?と考え込んでしまった次第であり、其れを翻訳者が申したら、クレイトン博士は 「だからこそ消費者への啓蒙が必要なのだ」と言いだし、そして、自身の執筆した 「健康革命」の日本語への翻訳を依頼されてしまった次第ですと打ち明けて居りました。気楽に引き受けたのも今にして思えば、大変な事に巻き込まれてしまったのは、実はあの時だったのだと、ネット上で申して居られました。

―鶏肉は低脂肪低コレストロールの健康食―

扨て、こうしたことから、少なくともアメリカでは、従来の「最低必要量」という概念ではもはや通用しないとして、「推奨最大摂取量」(Suggested Optimal Nutrients Allowance)その頭文字をとってSONAと呼ばれる概念が、登場するに至ったとクレイトン博士は説明しています。

微量栄養素には、明らかな欠乏症とじわじわと襲ってくる不足症とがあり、一般的理解とは異なり不足症の方が、むしろ恐ろしいと、今では理解されています。しかし、この不足症の人の数が数百万も欧米にはいると言います。

それで、ようやく昨今になって多くの医学関係者が、微量栄養素の慢性的不足の問題について理解し始めてきているのであり、分析技術やスクリーニング技術が進歩して、微量栄養素が日々不足すると全てが次第に悪い方向へと流れが傾くことが、実際に証明されてきたからだと言います。

有毒代謝物質が体内に蓄積されると、骨からのミネラルの流出が加速されます。動脈血管分岐点のような循環系のリスク・ゾーンの動脈内壁に、酸化したコレステロールが蓄積されます。

―卵は大切なHDLコレストロールの供給源―

こう言った変化は、中々明確な症状として発現しないために病気と診断されるまでには至らないのですが、生化学的、あるいは生理学的な観点からすれば、いずれも明確な臨床的には病気の前兆なのであります。従って、こういう場合は通常の医学的言葉では、病気ではない罹患寸前なのであります。

特にクレイトン博士が心配するのは、動脈疾患、関節炎、骨そしょう症、及びある種のガンであります。これらは全て異なった種類の慢性的な非伝染性変性疾患ですが、いくつかの共通点が見られると言います。

―ビタミンCの摂取に最適な柑橘類ジュース―

第一に、これら疾患はすべて進行が非常に遅く、潜行性である点である事。 腫瘍、心臓麻痺、骨折などが現れるまでに長い、長い時間が掛かる事。 第二には、これらは伝染性がない点です。 例えば、ピロリ菌と環状動脈疾患との間には、仮説としても関連が認められますが、リスク・ファクターとしては、それ自体で発病原因にはならないと言う事であります。

第三に、これら非伝染性の変性疾患は、老化プロセスの一環として避けられぬとされ、仕方が無いことだと考えられてきた点であります。

しかし、他の文化圏に生活する人々を疫学的に観察すれば、これらの疾患が老化に伴う不可避的なものではないことが分かると博士は言うのです。

―豆類は豊富な栄養素の供給源―

以上の話の微量栄養の不足、文中に有った具体的な記述の要点の一部を、抜粋して説明を加えさせて頂きます。

多くの加工食品は、一般には小麦粉にせよ、米、砂糖などすべてが、精白した炭水化物原料から製造されます。未精製の原料と比較すれば精製済みの原料は、栄養的に見れば不足になりがちです。
中でもビタミンBが不足しますが、これは代謝、なかんずく炭水化物の代謝にとってはとても重要なものなのです。
さらに悪いことに、過度に手を加える工程を必要とする加工食品は、どうしてもクロームが不足になりがちです。炭水化物の摂取が多くなれば、なるほど身体にはクロームが必要になるので、まことに皮肉と言わざるを得ません。

臨床的に言えば、クローム不足は低血糖症に関係します。糖分に対する強烈な欲求が発生します。その結果としての体重増加、感染症に対する抵抗力の低下となります。深刻なのは血糖レベルが上がると、インスリンの分泌が増加し、前糖尿病症候群と見なされるわけで、肥満者にほとんど例外なく見られる高インスリンです。
これは肥満を基本的な原因とする、心臓疾患の増加に大きく貢献していると言っても過言ではありません。まるで「不健康になることを目的として特別に用意されたメニュー」とさえ言えるのではないでしょうか。飽食の中で、ひそかに進行する栄養不良が実際に存在するからです。

本当は、ダイエット中だからこそ、反対にビタミンやミネラルの必要量は増加するのです。拒食症や過食症は、微量栄養素の欠乏症につながるリスクを、とても大きくしています。

 喫煙者の場合
吸うタバコ一本毎に大量のビタミンCとその他の抗酸化物質を消費します。心臓病になり易いのはそのためです。

過度の飲酒の場合
体内のアルコールは、ビタミンB群と亜鉛マグネシウム、カルシウムなどのミネラル類を身体から奪います。

外傷、病気、手術の場合
ビタミン類とミネラル類の必要度が増加します。特に、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、ビタミンA,ビタミンB,ビタミンC,ビタミンEなどが大切です。

 老人の場合
老人の場合一般的に消化能力が衰えます。それだけに微量栄養素の摂取も不足しがちです。60才以上の人には総合ビタミン剤、ミネラル類の補助食品を強くお勧めします。

RDAは、あくまで「最低基準」に過ぎません。例えば、ガンとか冠状動脈疾患のような慢性疾患の場合に、それを防ぐのに必須の栄養素のレベルを考える場合には、目安にさえもならないというのが実情です。

喫煙者にとっての問題は、ビタミンC不足だけではありません。ビタミンE、ベータカロチン、亜鉛、ビタミンB6の不足もあり、それが喫煙者の健康を害し、その余命を縮めるのです。喫煙者にとってのRDAは別途に定めるべきと筆者は考えますが、その実現までに、これから何年掛かるのか筆者には答えられません。

因みに、タバコを一本吸うと約25ミリグラムのビタミンCが消費されます。日本のRDA、50ミリグラムは、わずかタバコ二本で消費されてしまいます。

お酒をたくさん飲む人は食事も十分に摂らないことが多いようです。結果として、必要な栄養素の摂取も少なくなります。葉酸、ビタミンB1、ビタミンB6、ベータカロチン、亜鉛、ビタミンC等が不足になりがちです。お酒を飲む人のRDAが、飲まない人のRDAより高くあるべきなのは喫煙者の場合と同じです。

鉛害、水銀、排気ガス、化学溶剤、殺虫剤、除草剤等々の汚染環境に曝される人々はどうでしょう。

RDAに対する信頼は、栄養学者が次々と新しい栄養素を発見するに及んで、ますます失われていきます。これらの新栄養素は多くの点でビタミン様の物質なので、全体としての人間の健康についてビタミン同様に重要と思われます。

例えば、ヒドロキシカロテノイドベータカロチンやビタミンAに強く関連していると思われます。従って、健康に大きく関係していると考えられます。これには100種類以上の化合物があり、そのいくつかは血液中の脂質を活性酸素から守るのに非常に有効な働きを示します。

その仲間の1つであるルテインは、少なくともビタミンEの10倍の効力があることが明らかになっています。ルテイン以外の仲間も免疫強化と抗ガン性があると考えられています。

また、ビタミンPフラボノイドとも呼ぶ)という一群の植物由来の化合物があります。これはポリフェノールの仲間で、多くの果物や野菜に含まれています。これには一連の医学的な治療効果さえ認められています。そのいくつかは、毛細血管の機能を正常に維持するという働きをします。

また、別のいくつかは低酸素症を防ぎます。ビオフラボノイドの多くは抗酸化物質であり、これら化合物の摂取が増加すると、冠状動脈疾患が減少することが明らかになっています。体内に吸収されて体内でその治療効果を発揮するものもあり、消化管内に留まって機能するものもあります。後者は、おそらくビタミンCやビタミンEのような抗酸化物質を、消化液によって破壊されないようにまもる役割をすると考えられています。

カロテノイドやビオフラボノイドはすべて植物由来の物質です。特に、果物と野菜に多く含まれます。従ってフィトケミカル(植物由来の化学物質)と呼ばれています。

カロテノイドとビオフラボノイドの2つの化合物をとっても、その仲間だけで400種類以上を数え、これら2つの仲間以外で知られているのは、わずか5種類に過ぎません。それぞれに多くの化合物があり、いずれもわれわれの健康を守る働きをします。サポニン、フィトステロール、イソフラボン等は、いずれもその抗ガン、抗心疾患効果のために、現在のところ研究が集中的に行われています。これまでに判明している結果では、いずれも非常に有望視されています。

もはや、RDAとは呼ばず、SONA(Suggested Optimal Nutrient Allowance)、つまり「推奨最大摂取量」という考え方です。

現代のミステリーと呼ぶべきことは、今でも多くの医師が誤った理解 (敢えて不勉強による怠慢と言うべきですが) によって、50年前のRDAに固執している理由は、なぜなのかという点です。
それも、少なくとも先進国と呼ばれて居ながら、このような医師の世話になる患者のうちの相当数は、まるでテキストブックどおりの明らかな 「古典的欠乏症」と表現すべき典型的な欠乏症状を示しているのです。
それにもかかわらず、このような不勉強な医師は、RDAに固執するしか他に方法を知らないのです。読者なら、こういう医師に相談したとすれば、自分は「運が悪かった」として諦められるでしょうか。

これだけの数の、「健康に良し」とされる栄養素が新しく発見され、しかも利用が可能になりつつある現在、これらのすべてについて、科学的に究明してゆくことは、科学者にとって可能なのでしょうか。特に健康に最も望ましい食生活を明らかにし、あらゆる栄養素の最大使用量を特定するという作業は、現実に可能なのでしょうか。筆者には、すべてを完璧に究明するには、あまりにも複雑過ぎると思われます。

人間が、植物性の食物を摂取することによって、植物の抗酸化防御システムを利用するということは、ちょうどヤドカリが他の海洋性生物の殻を利用して身を守るのと似ています。植物のカロテノイドとフラボノイドは、ちょうどこの借り物の防御システムのようなものです。これらの化合物は、植物が太陽光線と活性酸素から自分の細胞を守り、葉緑素を活性酸素から守るように、動物を守ります。

人間がこれら化合物を摂取すると、それにより植物とまったく同じように、皮膚やその他の体組織を活性酸素の害から守ります。同じように、ビタミンE、ビタミンCとベータカロチンは、放射線治療を受けている患者を、放射線の害から守るわけです。

-栄養摂取のガイドライン どっちにする?-

以上の内容、読まれた皆さんは如何ご理解されたでしょうか。クレイトン博士の著書の「健康革命」、其の真意の「推奨最大摂取量SONAの持つ意味の大切さ、ご理解できましたでしょうか。

実は私見ですが、先進国での肥満に苦しむ不健康人の大部分の方々は、摂取栄養素の過不足、取分けて微量栄養素欠如?に起因する、代謝異常の結果との仮説を立ていました。

これで同書の内容のわずか一部の紹介で終わりますが、真の健康に関心をお持ちでしたら、是非、クレイトン博士の「英国流医食同源」 ネットで検索され、全文を読まれる事を強くお勧め致します。

 

 

 


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