引き続き残り4つのパターンを見ていきましょう。
(2) 利害を交換する
交渉者は普通いくつかのinterest(利害関心)を持っています。
そのうちのあるものを一方に有利に、あるものを相手に有利にして妥結を図るのがこの方法です。
「Aについてはそちらの言う通りにする代わり、Bではこちらの言う通りにする」という方式です。
ここでは、交渉者のinterestがそれぞれの要素において違うことが前提となります。
品物の仕入れ交渉を例に考えて見ましょう。
例えば、買い手にとっては価格が最重要、売り手にとっては納期が最重要、であれば、価格を安く、納期を売り手の望む条件に設定することで、有望な合意案を作り出すことができます。
しかし、もし買い手も売り手も価格を最重視していて、他の条件をほとんど気にもしないとしたら、基本的に同じような利害交換の余地はありません。
価格は高いか安いかしかないからです。
現実の交渉では往々にして、互いの利害が一つしかない重要な要素で衝突し、利害交換が一見うまくいかない場合があります。
協調的な交渉を高いレベルで行うためには、一見手詰まりのこうした状況を打開する、interestの効果的な使い方が必要になります。(第二部、第九回の内容)
(3) 言い分を通した方が補償を払う
次に、片方に妥協してもらうのも協調的な交渉では典型的な解決策となります。
勿論、ただ黙って相手の言うなりになる交渉者はいないので、言い分を通してもらう側が何らかの補償を支払うことで、双方の利害を調整します。
妥協する側から見ると、「この交渉では相手の言う通りにするが、XXを補償としてもらえるからかまわない」と考えるわけです。
現実の交渉では多くの場合「補償」は金銭で支払われます。
ただし、必ずしもお金での補償にこだわる必要はありません。
要は要求を聞き入れる側が満足する条件であれば良いので、何を提供するかは柔軟に考えるべきでしょう。
交渉している内容と直接関係ないものであっても、全く問題はありません。
補償を非常に広く捉えると、先に述べた利害の交換と内容が近づいていきますが、こちらは交渉事項以外まで、何でもいいから相手に満足してもらう手段を考える点に主眼があると言えるでしょう。
(4) コストカット
一方の言い分を通すことが、もう一方の様々な負担/(広義の)コストを省くことになれば、それは有効な合意案になります。
相手の言う通りにはなっても、結果として自分も何らかの利便を手に入れられるからです。
このようなコストカットも、合意案としては一つの典型的なパターンです。
現実的には、自分の提案に相手も便乗してトクする余地を与える形が一般的です。
この場合、多少自分の提案を変更してでも、付帯条件として相手が利便を感じる要素を付け加えます。
いわば、interestを共有する形にして、対立から共同の利益創造へと話し合いの意味を変えるわけです。
(5) ブリッジソリューション
最後に、互いのinterestをしっかり理解したうえでそれらを共存させる案を作り出すことも良い合意案を生む方法です。
この場合、互いのinterestのうち矛盾しないものはそのまま合意案に盛り込み、その他の部分について調整を行います。
この調整には、ここまで述べた4つの方法が活用できます。
この方法のポイントは、互いのinterestをもれなく交渉のテーブルに載せることが前提になることです。
隠された真の意図や情報が多くあると、十分に満足のいくソリューションが形成できず、話し合いがスタックしてしまうことになります。
協調性がある程度醸成された状況でこそ、有効な手法ということが出来るでしょう。
以上、協調的な交渉で良い合意案を考え付く5つの方法を概観してみました。
これらのうち複数の視点を同時に活用することも重要です。
次回は、こうして出てきた合意案のうちどれがよいか決定する考え方について、見ていきたいと思います。
(2) 利害を交換する
交渉者は普通いくつかのinterest(利害関心)を持っています。
そのうちのあるものを一方に有利に、あるものを相手に有利にして妥結を図るのがこの方法です。
「Aについてはそちらの言う通りにする代わり、Bではこちらの言う通りにする」という方式です。
ここでは、交渉者のinterestがそれぞれの要素において違うことが前提となります。
品物の仕入れ交渉を例に考えて見ましょう。
例えば、買い手にとっては価格が最重要、売り手にとっては納期が最重要、であれば、価格を安く、納期を売り手の望む条件に設定することで、有望な合意案を作り出すことができます。
しかし、もし買い手も売り手も価格を最重視していて、他の条件をほとんど気にもしないとしたら、基本的に同じような利害交換の余地はありません。
価格は高いか安いかしかないからです。
現実の交渉では往々にして、互いの利害が一つしかない重要な要素で衝突し、利害交換が一見うまくいかない場合があります。
協調的な交渉を高いレベルで行うためには、一見手詰まりのこうした状況を打開する、interestの効果的な使い方が必要になります。(第二部、第九回の内容)
(3) 言い分を通した方が補償を払う
次に、片方に妥協してもらうのも協調的な交渉では典型的な解決策となります。
勿論、ただ黙って相手の言うなりになる交渉者はいないので、言い分を通してもらう側が何らかの補償を支払うことで、双方の利害を調整します。
妥協する側から見ると、「この交渉では相手の言う通りにするが、XXを補償としてもらえるからかまわない」と考えるわけです。
現実の交渉では多くの場合「補償」は金銭で支払われます。
ただし、必ずしもお金での補償にこだわる必要はありません。
要は要求を聞き入れる側が満足する条件であれば良いので、何を提供するかは柔軟に考えるべきでしょう。
交渉している内容と直接関係ないものであっても、全く問題はありません。
補償を非常に広く捉えると、先に述べた利害の交換と内容が近づいていきますが、こちらは交渉事項以外まで、何でもいいから相手に満足してもらう手段を考える点に主眼があると言えるでしょう。
(4) コストカット
一方の言い分を通すことが、もう一方の様々な負担/(広義の)コストを省くことになれば、それは有効な合意案になります。
相手の言う通りにはなっても、結果として自分も何らかの利便を手に入れられるからです。
このようなコストカットも、合意案としては一つの典型的なパターンです。
現実的には、自分の提案に相手も便乗してトクする余地を与える形が一般的です。
この場合、多少自分の提案を変更してでも、付帯条件として相手が利便を感じる要素を付け加えます。
いわば、interestを共有する形にして、対立から共同の利益創造へと話し合いの意味を変えるわけです。
(5) ブリッジソリューション
最後に、互いのinterestをしっかり理解したうえでそれらを共存させる案を作り出すことも良い合意案を生む方法です。
この場合、互いのinterestのうち矛盾しないものはそのまま合意案に盛り込み、その他の部分について調整を行います。
この調整には、ここまで述べた4つの方法が活用できます。
この方法のポイントは、互いのinterestをもれなく交渉のテーブルに載せることが前提になることです。
隠された真の意図や情報が多くあると、十分に満足のいくソリューションが形成できず、話し合いがスタックしてしまうことになります。
協調性がある程度醸成された状況でこそ、有効な手法ということが出来るでしょう。
以上、協調的な交渉で良い合意案を考え付く5つの方法を概観してみました。
これらのうち複数の視点を同時に活用することも重要です。
次回は、こうして出てきた合意案のうちどれがよいか決定する考え方について、見ていきたいと思います。
最近労働時間が長くなっており、海外出張なども入り、なかなか進めることができない状況です。
本編はしばらくお待ち下さい。
(本意ではない状況ですが…)