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優れた仕組みがいつしか組織を腐らせる

2017-04-05 | 雑記
古典・自動車つながりで、「GMとともに」を読みました。
(アルフレッド・スローン著、ダイヤモンド社)
「事業部組織」を世界で初めて本格導入し、それを磨き後の企業組織のデファクトを作る。
そしてそれを通じGMを世界的企業に導いた、名経営者が1960年代に出した回顧録です。


有名な本ですし、20世紀最高の経営書にもよく挙げられます。
中身は、自伝というよりは、GMの歴史に沿って
・当時スローンが考え導入した最新制度(事業部制、事業部と本社組織をつなぐ管理会計、成果ボーナス等)について、
・どういう背景で何を考えていたか
・実際にどうやって築き上げていったか
を描いたもの。

同時にスローンは、
・GMの成功の本質は、ただ制度を設計し機械的にそれを守らせたことではない
・むしろ、そういう仕組みを常に生み革新する、そういうリーダー集団であることが重要で、
・そのようなリーダーが生まれる組織の土壌こそ経営の成功に最も重要
と主張します。


でもその優良だったはずの企業が、50年後には破産して公的資金に頼ることになってしまう。
それはなぜか?

その理由は1980年代の日本車への敗北、とも言われますが、そもそも1960年代から組織が徐々に腐っている認識はあったようです。
築き上げた事業部制の仕組みが、官僚的・内向きで顧客を見ない老組織に変化していったのです。

実際に、コルベアという車が社内の反対に関わらず売上のために発売され、死傷事故を起こし社会問題になったり。
(『どんなスピードでも危険だ』ラルフ・ネーダー著、という本になっている)。
成功への管理の詳細な仕組みが、やがてそれ自体支配力と慣性を持ち、社員は囚われた奴隷になり、客観的判断が出来なくなっていく。
1979年には、GMの副社長がソースの「晴れた日にはGMが見える」という暴露本が出て、その一端が明らかにされます。
・仕組みが固まる中で中央集権化が進み、「14階」(本社14階の幹部層)が独裁権を持つ
・権限委譲したはずの事業部に本社が介入し、市場や顧客より内部事情で動くようになる
・派閥抗争の中で上司に忠誠を誓い、仕組み自体の保全と社内政治を重視する人々が昇進していく
など。

改革を提案すると、判で押したように上級幹部からは「それはいい、早速取り掛かり給え」といわれる。
でもバックアップは無く、いつまでたっても計画の実現に必要な予算も得られない、など。

最近、かつて優良企業としてもてはやされた日本企業でも、不正や売上不振で苦しむ例が増えています。
そこには、まさにGMと同じ病理(仕組みによる自縄自縛と腐敗)が多い気がします。
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