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移民たちのニジェール・アガデス(2)〜〜サハラ砂漠で待ち受ける過酷ストーリー

2017-06-17 15:30:41 | アフリカ情勢
西アフリカからヨーロッパを目指す移民たちの長い旅路。ニジェールのアガデズからアルジェリアのタマンラッセを経由、モロッコ領からつながるスペイン領のメリリャを目指すルート。はたまた、サルバドール隘路を通過し、リビアのフェザーン地方から地中海を目指すルート。いずれも砂漠の過酷な気候とともに、中継地点での国籍別の利権で仕切られたゲットー世界があることを前回お話しした。

(国連資料より、ニジェールの真ん中でハブになっているのがアガデズ)


あまりに危険なサハラを渡る旅。それでもニジェールのアガデズを目指し、そして希望の大陸ヨーロッパや、かつての輝きを求めてリビアに渡ろうとする移民が後をたたない。

移民たちのニジェール・アガデス(1)〜希望への扉か、帰らざる門か

前回も触れた通り、映画「HOPE」にそのリアリティがよく映し出されている。

【お礼】難民映画祭『HOPE』上映&トークにお越しいただきましたみなさま、ありがとうございました


この話にはまだまだリアルなストーリーがある。先日、ジャーナリスト、パトリック・フォール氏の取材レポートがシリーズでAFP通信から配信されている。保護された移民たちの証言はあまりに悲惨だ。

保護された服飾デザイナーのイブラヒマ氏。「家族のために仕送りをしたいと考えていた。しかしそれはあまりに難しかった。」サハラを渡る旅は二カ月間、リビアのムズルクで阻まれた。地元のマフィアグループに監禁され、解放されるには身代金が必要だった。「国の親に電話しろと言われた。すぐにお金を送って欲しい、そうしないと奴らは俺を殺すと。」兄の送金でイブラヒマは解放された。

セネガル、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア・・・異なる国籍の約数十名からなる移民グループは、奴隷のような強制労働を強いられた。

アブバカル・シディキ氏(35)は、ギニア中部のキンディア出身。先祖から引き継いだ土地を売って得た1,700万ギニアフラン(約21万円)をつぎ込んで移民の旅に出たが、その顛末はリビアの「監獄」だった。そこでは拷問、リンチ・・・棍棒やコードなど、マフィアグループの気の召す方法で連日暴力を振るわれた。命からがらアガデズに戻ってくることができたが、土地を失った恥を忍んで故郷に戻るという。


「砂漠にはまるで安全はない。いくつもの遺体が埋められているのを見た。」とエリック・マヌ氏。リビアから逃れてきた36歳の石工は、2年間をリビアで過ごした。途中アガデズでは、郊外に位置するゲットーで、監視と脅迫の中、過ごすこととなった。テントかブルーシートの覆い、砂の上にはゴザ。やかん一つ。水も電気もない。

「一年と言われれば一年。いつまでも待たされた。」
セネガル南部のカザマンスから来たアブドゥライ・ファン氏。クズ鉄業を営みとしていたが、10年の稼ぎ600ユーロを投げ打ってアガデズを目指した。しかしなけなしの仕事を強要され、気が遠くなる程遠いリビア、ヨーロッパへの旅を待った。

25歳の若者は、ゲットーの一角にに腰を下ろし、それでも希望に溢れる眼差しで空を見つめる。「フランスに憧れているんだ。働きたい。一度も仕事に恵まれたことはないから。」

官憲の暴挙の先に、武装勢力による暴力、地中海を渡る危険な航海が待ち受けている現実も知ることとなった。しかしそんなに選択肢ははない、と青年。「貧しい家庭に生まれた。神様がそういう運命を与えた。旅路の途中で命を賭したとしたとしても、そんなに悪くない。家族を楽にさせてあげたかった。たから生と死の狭間を選んだんだ。」

(つづく)

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