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アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

Festival de Gondowanaにいってきました!(2)〜大統領たちの秘めごと

2016-12-13 08:15:33 | アフリカ音楽・アート・文化
前回からお話ししている'Festival de Gondowana〜'Abidjan, la capital de rire'(「ゴンドワナ・フェスティバル〜アビジャン・笑いの首都」)。当地12月9日(金)〜11日(日)までの3日間、当地コートジボワール・アビジャンで開催された。ンボテも待ち望んだ一大エンターテーメント。

(前回のアップ記事)
Festival de Gonfowanaにいってきました!(1)〜笑いの首都・アビジャン

ンボテは日本でもお笑い好きで、寄席にも行くし、M-●などはテレビ観戦だが欠かせない。ゆえにお笑いイベントといえば、当然足が向く。

今回のゴンドワナ・フェスティバル、「笑いの殿堂」はか、フランス国際ラジオ放送(RFI)でおなじみ、'Chronique de Maman'プロデュース。日本のお笑いとは違って、かなりアイロニックで、風刺に尽きる。アフリカ政治フリークとしてはこんなに萌えるネタはない。コンテクストさえ分かっていれば、腹の底からえぐられる。

そしていよいよ楽しみにしていた二日目の公演「サルゴジ、オランド、そしてアフリカの大統領たち」を見にいった。



オープニングでいきなり当地ローカルのコメディアンに「ニーハオ」、といじられるンボテ。

この日の演目はフランス人ダニ・マウロが監修、主演する、いわば演劇スタイルの作品。マウロ扮する偽サルゴジ前フランス大統領が登場し、先日の共和党予備選挙での敗退ネタを繰り広げる。

アフリカの政局とフランス大統領選挙(1)〜セネガル政権とフランス与党

脚本のあらすじ。公には政界引退を気取っているサルゴジ、しかしその実、共和党の大統領候補の座をフランソワ・フィヨンとアラン・ジュペに取られたことが悔しくて仕方がない。そこでフィヨンから「盗まれた」大統領候補の座を取り返すため、話し方、仕草そっくりの偽サルコが、アフリカの大統領たちに、次々と支援をお願いをしていくという設定。

はじめに訪れたアフリカの友人はコートジボワールの偽アラサン・ワタラ大統領。実に話し方ソックリ!



サルゴジが言う。「なんとかして大統領の椅子を取り返したい。コートジボワール軍を数日でいいから貸してくれないか?」
偽ワタラ「わが精鋭軍をか?」
偽サルゴジ「ああ、そうだった。コートジボワール軍がダメなら、リコルヌ(コートジボワール駐留仏軍)でいい。ほんの数日でも貸してくれないか。」
偽ワタラ「それならオランドにいってくれ。」
偽サルゴジ「あんな奴に頼めると思うのか?!他に何かいい手はないか、親友アラサンよ。」
偽ワタラ「親愛なるサルコよ、では小職の最も親愛なるなる友人に支援を要請することにしよう。あ、携帯のチャージが残っていればの話だが。」

そこで呼ばれた親友とは、なんと偽ブレーズ・コンパオレ、ブルキナファソ前大統領だ。
偽サルゴジ「ブレーズよ、何か良い手はないか?」
偽コンパオレ「サルコよ、ムリをするな。お前は奥さんがイタリア人ではないか。お前も奥さんを頼ってイタリアに行けばいい。国籍ももらえるぞ。」
国民革命で長期政権を追われ、コートジボワール国籍に帰化した疑惑のコンパオレ。彼の奥さんはコートジボワール人がオリジンとされる。まさにコンパオレのブラックな風刺である。シビアな話題にも、みんな明るくゲラゲラ笑っている。

その後、親友として呼ばれたのが偽イドリス・デビ・イトゥノ、チャド大統領である。
「私はイドリス・デビ・イトゥノ、チャド共和国大統領、アフリカ連合議長、軍・治安組織の長。ボコハラム、AQMI(マグレブ諸国のアルカイダ)、テロリスト、不法取引マフィア、何か問題があれば、みんなが私に電話をかけてくる。」

偽オマール・ボンゴ、逝去したはずのガボン大統領が登場するとサルゴジは「親愛なるオマール、手助けを頼む。お前には中部アフリカ通貨同盟6カ国の利権を託し、石油利権も食い合って、あんなに可愛がったじゃないか。そもそもフランス共和党の選挙には重大な不正があった。アフリカから選挙監視団を派遣してくれないか!」
ボンゴ「再開票でもしろというのか?アフリカ選挙監視団に?」
先般、8月のガボンの大統領選挙で大きく問題となった点だ。

【続報】ガボン大統領選挙(12)〜リーブルビルはモヤの中

サルゴジ「では選挙監視団にはもれなくフランスへの10年有効なビザを与えよう。いや、永年ビザだ。別邸をプレゼントしてもいい。」
ボンゴ「それを不当利得(Les biens mal acquis)というのではないか?」
サルゴジ「お前に言われる筋合いはない。他にいい手立てはないのか?」
ボンゴ「ボブ・ベルナールか、ロベール・ブルジに電話するといいぞ。」


デビ「私はイドリス・デビ・イトゥノ、チャド共和国大統領、アフリカ連合議長、軍・治安組織の長。ボコハラム、AQMI(マグレブ諸国のアルカイダ)、テロリスト、不法取引マフィア、何か問題があれば、みんなが私に電話をかけてくる。サルコからの依頼には私が連絡しておいてやろう。SMSで。」

こんな調子でコントが進む。カメルーンのポール・ビヤ、ザイールのモブツ・セセ・セコまで登場。



その後超大国から、ウラジミール・プーチン、ドナルド・トランプまで登場。「アフリカを一周取り巻く壁を作って、人っ子一人出入りできないようにしてやる!」マウロはサルゴジ、オランド、シラク、プーチン、トランプの五役をこなした。



アフリカトリビアにあふれたゴンドワナ・フェスティバル二日目は、ブラックな話題の多いアフリカ政治と、陰鬱なパリとアフリカとの関係を笑い飛ばす90分一本勝負であった。

(つづく)

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2 コメント

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笑い! (京都より~)
2016-12-14 11:21:01
面白そうだな~行ってみたいな~笑いは万国共通ですかね!?
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Re:笑い! (ンボテ)
2016-12-14 13:56:09
京都より〜さん、いつもありがとうございます!
笑いは万国共通かというと、結構ずれますよね。ンボテだけがげらげら笑っちゃってる場面があったりして恥。14日のアップ記事でも触れてみました〜。
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