ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

アフリカと中国(5)~コンゴのコントラ・シノワ(前編)

2013-07-18 07:30:26 | アフリカ情勢
アフリカと中国シリーズ、大変久しぶりであるが続けたいと思う。

実は、このテーマの記事の大方のあらすじはすでにできていた。しかし、出張などでトウショウメンから遠ざかっていたため、どうもピリリとしたものに仕上がらない。ということで、今日はトウショウメンの銘店、半蔵●の「A霞」にやってきた。ここのマーラー麺はかなり辛いらしい。そしてきょうの「アフリカと中国」も辛口の話になる。

さてこれまでのアフリカと中国、現場から見た両者の関係性。前四話のおさらいから。

第一話はアフリカと中国の「なれそめ」について、第二話は「冷戦が作った関係」、第三話は見え隠れする「中国の戦略」、そして第四話が「資源国との付き合い」。

きょうはこの第四話、資源国の実例。コンゴ民主共和国の中国による投資・開発契約、いわゆる「コントラ・シノワ」について、ンボテの観察をお話ししたい。それにはいささかコンゴの歴史を振り返る必要がある。

私が滞在したコンゴ。典型的な資源国であるが、第二話で述べたギニアのような、中国と歴史的なつながりの深いケースとは異なり、旧資本主義陣営の砦となった国。最近になって中国がなだれこんできたような環境にある。

とはいっても、この国が、これまで旧共産主義陣営にまったく無関係であったわけではない。

歴史を辿れば、父のローラン・デジレ・カビラ。コンゴ独立直後の1960年代、若き日にチェ・ゲバラと革命闘争を繰り広げた(→過去記事「映画評・キューバのアフリカ遠征」を参照)。その後、このローラン・デジレ・カビラが再び歴史の舞台に登場するのが1996年。ルワンダ、ウガンダの支援を受け(そしてその背後には米英がついている訳であるが)、ローラン・デジレ・カビラは1996年、キンシャサに入城。モブツ大統領を倒して政権につく(第一次コンゴ戦争)。

その後、ローラン・デジレ・カビラは、支援の「見返り」を求めたルワンダ・ウガンダと離反。ルワンダ、ウガンダ両国がコンゴ東部に攻め入り、利権の実力による確保にでる。その後、ルワンダとウガンダも、このコンゴの地で互いに利権を奪い合う。さらにローラン・デジレ・カビラ側への援軍としてアンゴラ、ナミビア、ジンバブエなども参戦。数十の武装勢力が、諸外国の支援を受け、利権を巡って蛮行を繰り広げる。もはや誰が誰と何のために戦っているのかわからない戦争が、この国を荒廃させる(第二次コンゴ戦争)。こういった中、2001年にはローラン・デジレ・カビラは暗殺され、息子のジョセフ・カビラが大統領の地位を継いだ。この歴史については、再び詳しく書きたいと思う。

(カビラ廟からみた大統領府本庁舎)


(カビラ廟。ローラン・デジレ・カビラの遺体は、今でも大統領府で冷凍安置されている。2008年1月、英雄慰霊日に。)



そもそも不幸の歴史を辿ったコンゴ。東西冷戦の構造のもとに、米ソの狭間に立ち、資本主義陣営の橋頭堡となった。あふれる資源と戦略的なまでに巨大な広大な国土は、西西冷戦、つまり米英のアングロフォン、ベルギー・仏のフランコフォンの間でも利権の刈り取り場となった。国連は大国のエゴの中、コンゴ動乱で辛酸を舐め、ハマショルド事務総長もこの地に絡む逸話の中で命を賭す。現在コンゴに展開する国連ミッション(MONUSCO)は世界最大級であるが、しばしば武装勢力の前に無力であり、また悪事に関与したと批判される。

こういった歴史の経緯の中で、コンゴは米英を信じない。フランスも信じない。旧宗主国、ベルギーは、あまりに小さい自国すらも統治できない小国と嘲笑する。複雑なコンテクストの中、国連も中立ではいられず、また信頼が薄い。そういった中で、真のコンゴの友人としてアプローチし、蜜月の関係を育んできたのが中国である。

その中国。政治的、軍事的な関係がすでに水面下で深度まで進行してきた。ここには北朝鮮が果たした大きな役割も見え隠れする。そして経済的関係も着実に引き出してきた。その権化が、2007年、民主化移行後の新政権化で行なわれた大胆な電撃発表。90億ドルにのぼる投資・借款契約、いわゆる「コントラ・シノワ」(Contrat Chinois)だ。


・・・とここまで書いて、トウショウメンは伸びきってしまった。でもだんだん辛さが効いてきた?口の中も、コンゴと中国の話も。

(写真、半蔵●「A霞」のトウショウメン。花椒を追加でもってきてもらい、激辛を頂いた。うますぎ・・・)


(つづく)


刀削麺シリーズ「アフリカと中国」
第一話 こと始め
第二話 冷戦が作った関係
第三話 中国の戦略
第四話 資源国との付き合い


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2 コメント

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もうすぐです (コンゴちゃん)
2013-07-18 12:16:28
おはようございます。やっとパリにつきました。あと13時間でコンゴの大地、コントラシノワの舞台におりたちます。
ちょうど良いタイミングでコントラシノワのおさらいができ、有難く拝読しました。
では、行ってきます。
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Re:もうすぐです (ンボテ)
2013-07-19 05:58:14
Bonne arrivée et bon retour au Congo!
再赴任、うらやましいです!存分にコンゴを堪能してください。現場情報、レポート待ってますヨ!!
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