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「憲法改正!」コートジボワールのホットな事情(4)〜内戦と「イボワリテ」

2016-10-14 07:30:01 | アフリカ情勢
シリーズ、コートジボワールの憲法改正論議について、今日は第四話。

当地昨日、12日に改正憲法案と、国民投票実施が国会で議決され、10月30日に成否を問う国民投票が行われることとなった。そしての最大の焦点はンボテ名付けて「江戸っ子条項」、憲法第35条「イボワリテ条項」だ。第三話では、この「イボワリテ」が生まれてきた歴史を振り返ってきた。

「憲法改正!」コートジボワールのホットな事情
第一話 新しいページを開く第三共和制?
第二話 ズバリ!修正のポイントは?
第三話 危機の本質「イボワリテ」条項

そして権力闘争が激化し、また国が政治的混乱と内戦に入っていった2000年代、当時のローラン・バグボ大統領はこの「イボワリテ」の概念を援用し、政敵に向けた、というところまで前回お話しした。


しかし。それだけでは済まなかった。バグボ大統領は、コートジボワールの問題の本質は、移民がのさばっていることにあり、また憎き旧宗主国、フランスがほしいままに振舞っていることが問題だ、と自論を展開した。その考えは南部を中心に一定の支持を得た。

そういった世論を扇動するのに「イボワリテ」の概念が援用された。バグボ側近の親衛隊「愛国青年団」(Jeunes Patriotes)は外国人を排除し、国連コートジボワールミッション(ONUCI)に敵対攻撃を仕掛けた。また無差別にたフランス人をはじめ、外国人への襲撃を始めた。

先頭に立ってこれを扇動にあたったブレ・グデ前青年大臣は現在、戦争に対する罪の科で、ローラン・バグボ前大統領とともに、ハーグの国際刑事裁判所で公判を受ける身だ。ゲッペルスがニュンベルグ裁判を受けるのうなものか?とにもかくにも、かつて「象牙の奇跡」を生んだコートジボワールの治安と信用はは 地に落ち、多くの外国人はこの地を後にした。

(ONUCI司令部、œil d'Afrique.comより)


そのとき、コートジボワールは内戦の最中にあった。国家は南北に分断。この中で、バグボ大統領は南部を支配。北部にはワタラ氏と、新勢力軍(Forces armées de force nouvelle: FAFN)を支配するギョーム・ソロ氏が権力を割拠した。バグボはベテ族、ベディエのPDCIはバウレが主体。ワタラはジュラ、ソロはセヌフォの出身。政争には民族の色もチラついた。このことが「イボワリテ」をさらに強化した。


和平交渉の中で、国家と国土の再統一と秩序の再構築。大統領の民主的な選出と政権移行が大きな焦点とっていく。そのような中で迎えた和平プロセス、そしてその基本コンセンサスが2003年の「リナ・マルクーシ合意」である。その中に、憲法第35条、イボワリテ条項の見直しが規定されている。今回の国民投票は、実に16年後の決算なのである。


さてその憲法第35条、新憲法ではどのような条文となっているのだろうか?

(つづく)

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