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「憲法改正!」コートジボワールのホットな事情(5)〜修正憲法第55条の条文は?

2016-10-16 07:30:28 | アフリカ情勢
シリーズ、コートジボワールの憲法改正論議について、今日は第五話。

当地12日、改正憲法案と、国民投票実施が国会で議決され、10月30日に成否を問う国民投票が行われることとなった。そしての最大の焦点は、ンボテ名付けて「江戸っ子条項」。憲法第35条、いわゆる「イボワリテ条項」だ。第四話まで、この「イボワリテ」が生まれてきた歴史、そして今回の憲法改正の源泉になったマルクーシ合意について振り返った。

「憲法改正!」コートジボワールのホットな事情
第一話 新しいページを開く第三共和制?
第二話 ズバリ!修正のポイントは?
第三話 危機の本質「イボワリテ」条項
第四話 内戦と「イボワリテ」




さて、ではその憲法第35条、改正憲法の条文案とはどんなものであろうか?

まず、第三話でご紹介した、現行憲法の国民主権第35条からおさらいしよう。

第35条 大統領は、直接普通選挙により5年の任期を持って選出される。一度に限り、再選されることができる。
大統領候補は、40歳以上、75歳以下でなければならない。
その候補者は、コートジボワール国籍を有する父母のもと、コートジボワールに生まれたものでなければならない。
一度でもコートジボワール国籍を離脱したものであってはならない。
多国籍の地位を利用したものであってはならない。
選挙前、5年間にわたりコートジボワールに継続的に生活の本拠を置き、10年に渡る実生活がなければならない。
前項の規定は、在外公館、領事館、国際機関その他国の指名によって外国での勤務に当たっているもの、または政治的に任務を完了したもの、あるいは政治的理由で国を離れている人には、これを適用しない。
大統領候補は身体、精神が健勝であり、医師規律評議会のリストに基づき憲法評議会が認める医師3人による診断が必要である。選定された3人の医師は、憲法裁判所に宣誓をすることが求められる。
大統領候補は良心を溢れ誠実なものでなければならない。また資産を宣告し、その源泉を明らかにしなければならない。


毎度繰り返しで恐縮だが、特に重要なのが赤字の部分。親子がコートジボワール人でなければならない、とする、ンボテに言わせれば「江戸っ子」条項だ。


この条項、修正憲法案では第55条として、このような規定に変わっている。

第55条 大統領は、直接普通選挙により5年の任期を持って選出される。一度に限り、再選されることができる。

大統領は副大統領を指名する。副大統領は、大統領選挙において同時に選出される。

大統領候補は、市民として、また有権者としての権利を享受する35歳以上の者でなければならない。また父母の一方をコートジボワール出身者とする、コートジボワールの単国籍者(exclusivement nationalité ivoirienne)でなければならない。



この条項を注意深く見ると、いくつかの意図が読み取れる。

第一に、父母ともにコートジボワール国籍を要求した現規定に対し、修正案はそのどちらか一方で良い、とされたこと。このことは事前の予想の通り、イボワリテの緩和である。第二に、現規定では父母双方の「国籍」(nationalité)としているのに対し、修正案は「出身」(origine)となっている。さらにここでイボワリテのトーンを弱めている。そして第三に、コートジボワールの単国籍者となっていて、重国籍者を被選挙権から排除している。これは逆に国籍条項の強化である。


もう一つは副大統領職。ここについても注意が必要だ。現在、大統領が不在となった場合は国民議会議長がその任に当たる。その意図は、直接選挙で選ばれた大統領が不在の場合は、間接選挙で選出された国民議会議長がこれに変わるという点で権力の均衡があった。しかし副大統領がこれに変わる、とすることは、万が一大統領がいなくなっても、彼が指名した分身がその役に就く、つまり大統領の権限の行使が延長される形となる。

これを均衡させるため、大統領候補はあらかじめ副大統領候補を示して、その上で選挙を行う形をとっている。また今回に限り、大統領が副大統領を指名することになっている。

さてここには何のメッセージが隠されているのだろうか。どうしてもきになるのは、憲法改正の本質的意義より、今の政局との関係だ。まず国民議会議長職の地位牽制、現職ギョーム・ソロの地位に影響する。選挙後危機の最大の貢献者であり、軍に力を持つ。他方、危機における彼の軍の蛮行やブルキナファソ政変未遂関与など不穏な影がつきまどう。ワタラとソロの関係が気になるところだ。次に副大統領職で変わる政権与党RHDPのパワーポリティクス。ここにどの政党の誰が就くのか?それによる玉突き人事は、など、勢力図が一気に変わる可能性がある。そしてもう一つはワタラ任期中の大統領職離脱の可能性。確かに一部では健康不安説ささやかれる。


今回の憲法改正に野党は反対姿勢を強め、国民投票へのボイコットを呼びかけ始めた。憲法改正でコートジボワールには何がもたらさせるのか。あまりにも古い古傷の手当てが、全く異なった意味合いを醸し出すことととなりそうだ。秋の雨季の始まったコートジボワール。政局も一気に湿度を増している。

(おわり)
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