院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

リストカットで死ねるか?

2013-08-01 03:41:11 | 医療
 幼少のころ教わったことだが、手首の動脈は皮膚から浅いところにあるので、手首を切れば動脈から出血して死ぬという。

 医者になってから、リストカット(手首切り)した人をたくさん見たけれども、死んだ人はゼロだった。つまり、上の教えは「迷信」だったわけだ。手首の動脈を切断しても、動脈自身が防衛的に縮んで傷口をふさぐので、出血が止まってしまう。

 もっとも、死ぬためにリストカットする人は少なく、多くが自傷行為としてリストカットだ。もともと死ぬ気なんてない。

 うつ病の人で、死ぬつもりでリストカットした人を3人見た。この人たちの傷は深く、神経まで切ってしまって、死ねなかった上に左手首から先のマヒが残ってしまった。

 死ぬ気ではないリストカットを、テレビニュースではまだ「自殺未遂」として報道する。だから国民からリストカット、イコール自殺という観念が消えない。

 NHKはうつ病の特集番組で、左腕の手首から肘の内側までカミソリで切った跡が何本も規則正しく並んでいる人を紹介し、「このように何度も自殺未遂を繰り返している」と説明していた。

 専門家なら分かることだが、この人の傷は自傷行為のそれであって、自殺をしようとしたものではない。このように規則正しい傷跡を残す自傷行為を、われわれの言葉ではスキンスライスという。NHKがスキンスライスを自殺未遂として紹介するから、国民に誤った認識を植え付けてしまうのだ。

 自殺するなら、ずっと確実に死ねる方法がある。この方法で自殺を図って死ねなかった人を私は見たことがない。その方法とは何か?残念ながらブログのような公の場所では教えられない。

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