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獣医師の仕事

2017年06月07日 | 仕事・研究
報道で毎日のように獣医の文字を見る今日この頃。
世の中の人は獣医師についてあまりよく理解していないんだなと感じていますが、同時に、獣医師本人がこれまで獣医師の仕事について十分発信してこなかったということも反省として考えなければならないと思います。わたしも以前このブログで「獣医師という仕事」という記事を書いていますが、獣医の仕事はいわゆる「犬や猫のお医者さん」だけではありません。

現在、行政の獣医師が足りないということが大きな問題になっています。
これは、獣医師になる人を増やすということでは解決できません。
獣医学科の入学定員を増やしても、その人たちが行政に進んではくれないからです。
獣医師は公衆衛生・食品衛生・家畜衛生の分野で絶対に必要な職種ですが、いずれの分野でも待遇がよくありません。はっきりいって、若い人が率先して進路として選ぶには経済的な魅力に欠けます。また、仕事の中身もハードです。社会の役に立つやりがいのある仕事だと思いますが、小動物臨床をめざして入ってきた人の目を留めさせるほどの魅力がありません。

だから、いま世間で話題になっている「獣医師は足りているんだから新たに大学を増やす必要はない」とか「獣医師は足りないんだから獣医学科の入学定員を増やすべき」とう次元で議論せず、「足りない分野に進んでもらうにはどうしたらいいか?」の議論をしてほしいです。待遇改善せずに新たに大学を増やしても、現場はなにも変わらないと思います。

私自身が卒業時に公務員をめざしたのは、民間の求人がまったくなかった(女子の募集がない時代でした)ことが一番大きな要因でした。ほかに行くところがなかったんです。それに、当時は大阪府の獣医師研究職は奨学金の免除職でした。これはけっこう大きなメリットでした。そういうなにか「メリット」がないと、いくら獣医師を増やしても行政の獣医の枠は埋まらないと思います。

というわけで提案:
①行政の獣医師に獣医師手当をつける、または獣医師の給与表を一般の職種と別にし、初任給を思い切って上げる。
②奨学金の免除職にする。
③獣医師は獣医師でないとできない仕事に配属し、一般の行政職とは異動を区別する。

③は一般の方には意外でしょうが、獣医師で採用してるのに、獣医師でなくてもできるポストにつけているケースがあるんですよ。もったいないと思います。大変な努力の末に得る国家資格なんですから、もっと生かす方向で考えてもらえないものかな、と思います。
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獣医師という仕事

2006年12月01日 | 仕事・研究

 

私は小学校5年生の時獣医になろうと思い立ったのですが、そのときは獣医=動物のお医者さんと考えていました。6年生になったとき、その頃ネパールで医療活動をされていた日本人医師、岩村昇先生に会い、「国際協力の仕事をする」という目標ができたのですが、その後も獣医学科入学まで「臨床の仕事」しか頭にありませんでした。

大学に入ってわかったのですが、獣医師の仕事には、いわゆるペットのお医者さん(小動物の臨床)以外に、製薬会社で安全性の試験をしたり、公務員と して食品衛生の仕事にかかわったり、今の私のように、基礎研究の分野で働いたり、という多種多様な進路があるのです。今は獣医師ブームのようで、獣医学科 はどこも軒並み高い倍率になっていますが、今獣医師を目指す人の多くは、小動物の臨床志望であるようです。が、私は大学に入ってから、基礎研究のおもしろ さに目覚めました。「新しいことを知る」ということがとても楽しくて、本を読んだり論文を読んだり実験をすることで自分がどんどん成長していくのを感じま した。

私は小さいとき、体が弱くて学校も休みがちでした。
ベッドで寝ていることが多いので、本ばかり読んでいましたから、国語が得意でしたが、理 数系はからきしだめでした。5年生くらいの時、あまりにも算数ができないので父親に毎日九九を言わされて、げんなりしていました。中学に入っても、理屈が 納得できず理科でこけまくってました。私が数学と理科に目覚めたのは高校に入ってからです。中学では習わなかった、理屈を習ったとたんに視界がぱあっと開 けたようにわかるようになりました。それまでは獣医学科を目指していると言っても、学力試験に数学と理科があるのにどうするのか、、、という感じでした が、高校生になってからは俄然理数系が得意分野になりました。またちがう時に書きますが、私の唯一の弱点は英語で、これが後々苦労の種となるのですが、そ の時はなんとかやりすごしていました。

獣医学科に入ったら、4年生くらいで研究室配属になると思います(獣医学科は6年制なので)。私はそこで「臨床繁殖学講座」を選びました。その頃私 は大動物(特に牛)の仕事がしたいと思っていましたから、他の研究室は考えませんでした。しかし後になって、「研究室の選択」というのはもっといろいろ調 べ、考えてやらなくてはいけなかったと思いました。そのことについてもまた違う機会に書きたいと思います。結果的に私は卒業後は研究職の道を選ぼうと決意 するようになっていました。

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