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今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

コラム記事【12/27】

2022年12月27日 23時54分51秒 | マリーンズ2022
≪12/27≫


探るように足を入れ、おそるおそる前へ進んだ。水温8・2度。今季盗塁王を獲得したロッテ高部瑛斗外野手(25)の前に、試練が立ちはだかった。

「来年も慢心することなく僕らしく挑みたいという気持ちと、新しく挑戦するシーズンになると思うので、一からしっかりやる。いろいろな意味も含めて」
12月某日、関東某所。国士舘大時代の後輩と、滝にうたれた。

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スタートでの「事実」を忘れそうになるほどの活躍だった。高部の2022年は、ベンチから始まった。2月20日、楽天との練習試合(沖縄・金武町)。外野スタメンは藤原、岡、和田だった。高部が最終的に落ち着いた「1番中堅」には藤原がいた。

シーズンが終わって、冷静に振り返る。

「もちろん、今まで通りの僕ではそうなるだろうなとは感じていました」
東海大甲府(山梨)から国士舘大を経て、19年ドラフト3位で入団。バットコントロールと俊足が期待されるも、せっかくの代打起用で見逃し三振する場面もあった。21年は5度の2軍落ちを経験。しかも同じ左打ち外野手の藤原恭大外野手(22)が同年オフに背番号1に変更した。高部が敏感になるのも当然だ。

「普通にやっていたら、同じ成績くらいだったら、僕は使われないということは最初から感じていたので。飛び抜けてスタメンを取るためには、圧倒的なものを残さないといけないと思いながらキャンプインしたので。ここからやってやろうとは思いました」

僕は使われない-。真意をさらに聞いた。

「僕と藤原が同じ成績だったら藤原を使うと思いますし、僕と山口が同じ成績でも山口を使うと思います。年齢だったり、恭大たちの期待度とかもあると思うので。そういう意味で、僕は突出しなきゃいけないなと感じていました」
若手外野手としても3番目か4番目か、はたまた5番目か。そんな立ち位置から途中出場で安打を重ね、2月下旬にようやく下位打線でスタメン機会を得た。春先にはもう欠かせない選手になっていた。

福浦コーチからバットの入れ方を徹底して教え込まれたことが、飛躍の一助になった。自信を高めたことで、心の持ちようも。

「変わったことと言ったら、自分ができることに集中してるってことだと思います。去年はすごい人を見て、こう打ちたいとか、欲がすごく出てたんですけど、今は自分ができることにフォーカスを当てて、自分のペースでやることを大切にしているので。気持ちの面でフラットに入るというのは変わりました」
今季はリーグ2位の148安打。オフにヘッド職となった福浦コーチから伝えられた思いは、シーズン200本安打。「そこを目指してほしいのがこっちの気持ちだから、と本気で言ってくださって」。明確になった数字をしっかり文字にしたためてから、上衣を脱いだ。

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近づくにつれ、勢いは増す。水が壁に見える。高さ23メートル、幅5メートル。積極的なスタイルをここで崩すわけにいかず、思い切って体を入れ込む。強烈な圧と冷たさに、目も開けられない。

「皮膚の感覚がない…」

2度に分けて、合計40秒ほど。赤くなった肌ながら「甘いことばかりじゃないなと。でも、やって良かった。洗われたんじゃないかな」と表情はすがすがしい。己に厳しく過ごしたオフの答えは、次の秋に数字に出る。身も心も引き締めた高部から、湯気と熱気があふれた。【金子真仁】

(日刊)

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 「まずはZOZOマリン、一軍でプレーすることが目標なので、チームのためにしっかりやることが大事。まずは全力でしっかり戦っているところを見てもらえたらと思います」。

 今年2月2日に行ったオンライン取材でロッテ・松川虎生は“一軍でプレー”することを目標に掲げたが、高卒1年目の今季、開幕一軍を掴むと1度もファームに落ちることなく76試合に出場した。

 「ピッチャーの良いところをどれだけ引き出せるかが、キャッチャーとして大事」と春季キャンプ中に話していたが、2月の対外試合から投手陣を引っ張った。2月の対外試合から開幕前のオープン戦まで松川がマスクを被ったとき(77イニング)の防御率は1.75。3点以上失った試合は、わずかに2試合と結果を残した。本前郁也は松川について「すごく投げやすいですし、登板前にテンポは早めでいこうと話してやっています」と評価した。

 3月25日の楽天戦では『8番・捕手』で高卒新人捕手としては史上3人目となる開幕マスクを被り、石川歩、ゲレーロ、益田直也の3投手を無失点に抑えるリードで開幕戦の勝利を飾ると、3月31日のソフトバンク戦では1-2の6回二死一塁から3ボール2ストライクでスタートを切っていた一塁走者の中村晃を二塁で刺し、公式戦で初めて盗塁を刺した。

 4月10日のオリックス戦では佐々木朗希を完全試合に導く好リード。松川自身もプロ野球新記録となる捕手ゲーム20守備機会、プロ野球タイとなる捕手ゲーム19刺殺を記録した。

 石川歩、佐々木朗希、美馬学が先発の時にスタメンマスクを被ったが、4月終了時点で石川が防御率0.87、佐々木朗希が防御率1.50と、春先抜群の安定感を誇ったのも松川のリードによるところが大きい。

 ピッチャーとの関係を築く上で松川は「日々、話すことでピッチャーの良いことがわかってくると思いますので、コミュニケーションを大事にしてやっています」と“会話”を重視した。

 5月に入ってからも、12日の楽天戦、3-2の6回一死走者なしから先発・美馬が島内宏明、マルモレホスの連打で二、三塁のピンチを招くが、黒川史陽を1ストライクから5球連続で低めのスライダーで二ゴロ、辰己涼介もカーブで初球ストライクをとった後、5球連続フォークで中飛。二、三塁で後ろに逸らしたら失点という場面で、松川が美馬に5球連続でフォークを要求するところに凄さを感じた。

 こんなこともあった。5月20日のソフトバンク戦、3-0の5回先頭の真砂勇介の初球、佐々木朗希が投じた160キロのストレートが首元にダイレクトに当たりマスクが外れる。サイン違いも痛がるそぶりを一切見せず、2球目以降も何事もなかったように佐々木の球を受け続けたのもすごかった。

 打撃面では3月25日の楽天戦でプロ初犠打を決めると、5月17日の楽天戦で失敗するまで、5度の犠打機会で全て成功させた。4月24日のオリックス戦では、3-2の9回無死一塁の打席で、初球できっちりと送りバントを決めて髙部瑛斗の適時打に繋げている。

 5月24日の広島戦では、1-0の5回二死一塁の第2打席、先発・床田寛樹に対して2球で追い込まれるもそこから粘り3ボール2ストライクから11球目の140キロツーシームをセンターオーバーの適時二塁打。1打席目に打ち取られたツーシームをきっちり弾き返したのは見事だった。

 7月6日には「選んでいただいてすごく光栄に感じますし、感謝の気持ちで一杯です」と、『マイナビオールスターゲーム2022』の捕手部門でファン投票1位に輝きオールスター初出場を決めた。さらに7月11日に発表された選手間投票でも「まさか選手の皆様から選んでいただけるなんて正直、夢にも思っていませんでした」と1位を獲得。

 そのオールスターでは第1戦(PayPayドーム)に7回の守備から途中出場すると、第2戦(松山)は『8番・捕手』で先発し佐々木とバッテリーを組んだ。0-1の2回一死二、三塁の第1打席、床田(広島)が1ストライクから投じた2球目の120キロパームをライト前に適時打。オールスター初安打を放った。

 前半戦は最後までマスクを被った試合は41試合中10試合と試合終盤に入ると途中交代することがあったが、オールスター明けは、29試合中14試合で最後までマスクを被るなど、抑え捕手に頼らず最後まで試合に出場し続けた。

 開幕から佐藤都志也と併用の形だったが、シーズン最終盤の9月は26試合中18試合でスタメン出場(チームは10勝8敗)するなど、美馬、石川、佐々木だけでなく、小島和哉、本前、佐藤奨真が先発の時にもマスクを被った。

 冒頭にも述べたように松川は開幕から一度もファームに落ちることなく、一軍でシーズンを戦い抜き、先発捕手時のチーム成績は37勝33敗だった。

 シーズン終了後にはフェニックス・リーグやZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習で来季に向けて汗を流した。秋季練習では打撃練習が終わった後に、1時間以上みっちりと守備練習に励んだ。

 今季は高卒1年目ながら一軍の実戦で多くの経験を積んだ。田村龍弘、佐藤都志也、柿沼友哉などレギュラーを争うライバルは多いが、この経験を来季に繋げたい。

文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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期待の若手がレギュラー定着&タイトル獲得

 ロッテは今季、3年ぶりのBクラス転落となる5位に終わった。「頂点を、つかむ。」のチームスローガンを掲げて臨んだが、スタートダッシュに失敗。一時は盛り返したものの、夏場以降は再び失速した。打線は迫力に欠けた一方で、明るい兆しも。野手陣の戦いぶりを振り返る。

 これまで打線の中軸を担ってきたレオネス・マーティン外野手が大不振。故障などでの出遅れや戦線離脱も相次ぎ、苦しい打線のやりくりが目立った。そんな中、存在感を見せ続けたのが3年目の高部瑛斗外野手。オープン戦トップの打率.393で初の開幕スタメンを勝ち取ると、勢いそのままにレギュラーに定着。リードオフマンとしての役割を全うした。最終的には44盗塁で盗塁王を獲得。リーグ2位の148安打を放ち、ゴールデン・グラブ賞にも輝いた。

 キャプテン就任2年目の中村奨吾内野手も、開幕からチームを支え続けた。5年連続の全試合出場は逃したが、チームトップの138試合に出場して12本塁打、15盗塁。2年連続の2桁盗塁に加え、本塁打も3年ぶりに2桁を記録した。

 助っ人の不調もあり、チーム本塁打数が126本から97本へと大きく落ち込んだが、2人の若き和製大砲が台頭した。3年目の山口航輝外野手は、102試合の出場でチームトップの16本塁打をマーク。前半戦は代打などでの起用に限られていたものの、後半戦からはクリーンアップに定着。特に9月は1試合3本塁打の活躍を含む月間6本塁打で、自慢の長打力を見せつけた。

 4年目の安田尚憲内野手もキャリアハイの9本塁打を放った。前半戦は低空飛行が続いたが、8月には打率.320、4本塁打。さらに、三塁の守備でも総合的な守備力を示すセイバーメトリクスの指標「UZR」で12球団トップとなる7.1をマークした。

 新戦力では高卒ドラフト1位ルーキー・松川虎生捕手の働きが際立った。プロ野球史上3人目となる高卒新人での開幕スタメンマスクに抜擢され、捕手陣トップとなる70試合にスタメン出場。特に佐々木朗希投手とのコンビでは令和初の完全試合の立役者にもなるなど、17試合でバッテリーを組んで7勝を挙げた。一方で、打撃面では打率.173と苦戦。来季は課題の打力を向上させて、不動の正捕手に君臨できるか。

流動的だった遊撃…2軍では平沢が首位打者&最高出塁率

 シーズンを通して流動的だったのが遊撃。昨季まで不動のレギュラーだった藤岡裕大内野手が開幕直後に故障で戦線離脱するなど、わずか28試合出場。前半戦はアデイニー・エチェバリア内野手が正遊撃手を務めていたが不振に陥り、8月以降はファームが主戦場となった。

 苦しい台所事情となるなか、シーズン後半にスタメンの座を勝ち取ったのが、茶谷健太内野手だった。6月21日に2年ぶりに1軍の舞台へ。一時は新型コロナウイルス感染の影響で抹消となるも、復帰後も打撃好調を維持し、8月12日にはプロ初本塁打もマーク。安定感のある守備も見せるなど攻守で躍動し、57試合の出場で打率.248、1本塁打、9打点の成績を残した。わずかなチャンスをものにした苦労人は8年目を迎える来季、悲願のレギュラーをつかみ取れるだろうか。

 また、2年目の小川龍成内野手も大きく出場機会を増やした。代走や守備固めの役割を担い、68試合に出場。8月下旬からは8試合連続で遊撃でのスタメン出場を果たした。さらに、ファームからは平沢大河内野手の奮闘も目立った。遊撃ではチーム最多となる60試合出場。打率.278、出塁率.397でイースタン・リーグの首位打者と最高出塁率のタイトルに輝いた。

 今季は故障や不振に陥った選手たちの穴を埋めきれなかったことで、シーズンを通じて苦しい野手運用となった。来季は藤岡や田村龍弘捕手といった今季故障に苦しんだ選手たちも、レギュラー争いへの参戦が予想されるだろう。Aクラスへの返り咲き、そしてリーグ制覇に向けては、勢いある若手と経験豊富な中堅・ベテラン選手との協調で、層の厚い強固な野手陣を築くことが期待される。

(「パ・リーグインサイト」和田信)

(フルカウント)
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