自由広場

穿った独楽は廻る
遠心力は 今日も誰かを惹きこむ

師走電車

2005-12-31 14:24:14 | どーでもいいことつらつらと。
エー皆様、本日も自由広場までお越しくださいまして真にありがとうございます。


エーさっそくではございますが。師走ってのはどうもこう、皆さんソワソワしていて落ち着きませんな。おかげでストレスも溜まるようで、その反動が正月の怠けっぷりなんでしょうかねぇ。

いえね、昨日の夜なんですがね。家へ帰る途中の電車で珍事に巻き込まれたんでサァ。気分は電車男in師走って感じですナ。

あっしは車内の窓際で立って本を読んでたんですよ。司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」って奴でして。いやーあれは面白いですナ。止め時を知りません。正月はコレさえあればおせちもかくし芸もいりませんな。

おっと話が逸れましたァ。

とにかく窓際で本を読んでたあっしですが、すぐ隣の席がシルバーシートってやつだったんですよ。その席に二人の中年おじさんが座ってたんですよ。飲み会の帰りですかね?お二人とも知り合い同士ではないと思います。端と端、離れて座ってたんでね。

あっしは本に夢中になっておりました。
と、急に真後ろのシルバーシートから「何やってんだオラ!」、怒鳴り声が聞こえてきたんですよ。年末の人の少ない車内が一瞬凍りつきましたね。
振り返ってみると、中年おじさんの一人が携帯電話でね、電話してるんですよ。ソレをもう一人のおじさんが注意しているわけ。

皆さん見たことあります?シルバーシートに貼られている張り紙。『電源OFF』。シルバーシートの付近では携帯電話の電源はOFFにしないといけないんでさァ。といってもあっしも電源はつけっぱなしなんですがね、申し訳ねぇです。
でもさすがに車内で電話はしませんよ、しかもシルバーシート付近ではね。

携帯電話で電話していたおじさん、仮にDとしましょうか。怒鳴っていたおじさんをGとしましょう。
Gの注意をよそに、Dは電話を続けます。年末はオトナもコドモもおねえさんも。中年おじさんもなにかと忙しいんでしょうねぇ。

Gはさすがにぶち切れるんでサァ。

「おいてめぇ!ここをどこだと思ってやがるんだ!」

身を乗り出すG。Dもさすがに耐えかねて、電話を切って、

「何だこのやろう!喧嘩売る気か!」

お互い車内とは思えない声でしたね。言い合いは果てしなく続きますが、ここでは割愛させていただきますァ。

さて、俺はと言うとですね。『ああ、とんでもないことに出くわしたなぁ』。その二人に一番近いのは俺でしたから、ここは何とかしないとと思ったわけですよ。とにかく二人をなだめなくてはいけない。

しかしあっしはまだ20そこそこの若輩者。ここで割り込んで何か言っても、「わけぇもんは引っ込んでろ!」と言われて相手にされないかもしれない。そんなことを思ってたんですよ。

要するに怖かったんでしょうねぇ。何か心の奥でブレーキがかかってたんですよきっと。自分を守る保守的な立場にあったんですナ。人間だけでなく、生物が長年培ってきた知恵なんでしょうナ。

あっしは周りを見回しました。
ただ傍観している主婦二人。怯えているOL風の女性。小さい子供がいなかったのが何よりですな。
おじさん二人の向かいのシルバーシートに座っている若者なんかは、笑いを堪えてみてましたな。あそこは二人のファイトを一番良い眺めで観戦できる特等席ですナ。

DとGの戦いは、場外戦へと突入しようとしてました。

「次の駅で外に出るかコラ!」

「望むところだバカタレ!」

そんなこんなで次の駅に着きまして。二人は取っ組み合いながら外へ出ようとします。

ここに現れたのが一人の紳士。彼もお酒がまわっているようですが、冷静でした。オトナってかっこいい、正直に思いました。

「はいはいもう止めた止めた。一緒に出るぞ」

紳士はGを連れて外に出ます。Gは相変わらず鼻息が荒いです。ここで騒ぎを聞きつけた駅員がドアまでやって来ます。

外に出る時、紳士は携帯を使っていたDに向かって「あんたが悪いよ」と吐き捨てました。

まさにそうですナァ。
あっしは最初二人をどうにかしようと頭を巡らせていたとき、二人とも悪いという考えの元、この小さい空っぽのおつむを働かせていました。

でも悪いのは他でもない、Dなんですナ。
確かにGの怒鳴り方も尋常じゃなかった。あれも、確かに良くない。
でも全てはDの行動からでやんした。

あっしはそれを考えず、「二人ともうるさいぞ!」とでも言おうかと思ってましたから。こんなのは火に油を注ぐだけですナ。

紳士の一言で、Gは多少救われます。この後誰にも咎められることなく、無事に帰ることができますナ。DもDで、第三者からの発言で我に帰りますナ。

紳士は駅員に二人のことは目をつぶってやってほしいという話をしました。いやぁおいしいとこどりですナ。かっこよすぎです。

ここで駅員が、車内で平然と座っているDに向かって言ったことがまた面白い。


「お、お客様、シルバーシート付近では携帯電話の電源はお切りください」


車内にいた全員の耳と心に、響きましたな。

車内の張り紙に書かれていることをそっくりそのまま言っただけなんですがね。何とも胸に残りましたね。

ほんでもってDはといえば、開き直ったとでも言うんでしょうか。

「バイバイ♪」

Gに向かって手を振ります。
オトナじゃないですね。悪になってしまった者はとことん悪にこだわるんですな。もう後戻りはできない。

そして電車は再び走りだします。年末の静かな町を電車がガタゴト走ります。

Dは手を組んで眠りだしました。頭の中ではきっと、今の出来事がリフレインしていたんでしょう。怒りを他にぶつけなかっただけ、まだマシでしょうか。

緊張が和らいだ車内はいつものそれに戻り始めます。
今あった出来事を大げさにこそこそ話し出す主婦。OLさんも何事も無かったように本を読み始めました。


しかし、ここからがさらに面白かったですな。

次の駅に着いて、何ともチャラチャラした若者が乗ってきたんでサァ。
そして当たり前のようにシルバーシートに座りました。これだけでもあっしには信じられんのですがね。

座ってまもなく、着メロってやつがなるんです。オレンジレンジか何かなんでしょうなきっと。

そしてこれまた当たり前のように携帯を取り出して話を始めたんですよ。

皆目が点になりましたナ。






全く、人の運命は皮肉なモンです。
少しのタイムラグで大きく運命は揺れるんです。
今回はただの言い合いでしたが、同じことは何にでもあてはまります。

皆さんも普段、平然とやっているズル、ありませんか?

「今回だけ」といっては紙くずを路上に捨てたり、携帯電話を使ってはいけない場所で使ったり。
あっしもそういうことは多々あります。人に偉そうに忠告できたモンじゃねぇです。

そんな時、周りにGみたいな人がいなくても、「いかん」と注意されなくても、きっと神様だけは黙って見ているんでしょうな。

そう思うと、あっしも少しは悪事ができなくなっちまう。相変わらず小心者ですナ。



師走の珍事でした。一年を締めくくる面白い出来事でした。


最期までお聞きいただき、ありがとうございました。

独占!南友親単独取材決行!

2005-12-30 13:46:02 | メイプルな話
インタビュアー(以下、イ)「皆さんこんばんは。今回はついに〝あの〟メイプルもみじ弓使い南友親さんにインタビューのアポを取ることに成功しました。本日は南さんにメイプルのことを始め私生活や趣味、果ては赤裸々な過去を暴いてしまおうと私意気込んでおります。さっそくお呼びしましょう、南友親さん!」







南友親(以下、南)「いやー皆さんハローハロー。南友親ですフォー!

イ「・・・・・・」

南「・・・・・・」

イ「年末のお忙しい中お越しいただきありがとうございます」

南「ふふ無問題ですよ。まぁさっきまで仕事してて、このあと忘年会やらなんか色々あるんですけどね。超多忙の中わざわざやってきたんですけどね。いやいや!ほんと気にしなくていいですから!」


イ「しかしまた随分奇抜な服装ですね」

南「ええ、南友親オリジナルファッションです。ジェネラルキャップ390円、ティアドロップ(黒)390円、ボーンバックルパンツ390円、メイプルで過ごした日々、プライスレス・・・・・!」

イ「さっそく最初の質問いきますね」

南「え?ああ、うん・・・。今のダメだった?」

イ「はい。聞かなかったことにしておきますよ」

南「ありがとう・・・・」

イ「南さんはメイプル界にやってきてかれこれ何年経ちますか?」

南「そうですね。およそ1年10ヶ月くらいですね。最初は分からない事だらけで、何かもかもが新鮮で楽しかったです。いつになったらあのモンスターを倒せるかとか、スリーピーダンジョンの奥に何があるのかとか、ほんとワクワクドキドキいっぱいでした」

イ「あの頃はまだ新大陸も発見されてなかったそうですね。その頃の皆さんのレベルは一体どのくらいだったのですか?」

南「あの頃は皆まだやっとゴーレムを倒せるか倒せないかぐらいでしたよ。僕は勿論無理でしたよ。一番レベル高い人で50台くらいだったと思います。まだアバターも充実してなくて、誰も着てませんでした。逆に着てると『なにこいつ?』って後ろ指指されて。着る事が出来るのはほんの一握りの高レベルの方達だけでしたね。今じゃアバター着てないとトモロクすら出来ないなんてこともあるんでしょう?メイプルも変わりましたね」

イ「南さんはきっと考え方が古いんですよ」

南「うっ・・・・!ズバッと言うね君。細木数子よりも率直だね」

イ「ありがとうございます」

南「褒めてないよ」

イ「ではさっさと次の質問いきます。南さんが今まで主に狩ってきたモンスターって何ですか?レベルも添えてお願いします」

南「えーっと・・・記憶があやふやですが。僕の頃は確か30レベルくらいまでヘネシスの狩場1でしたね。で、30からはスリーピーウッドでゾンビきのこを狩り、40くらいからはゴーレム辺りを狩っていたかな?50レベルくらいの時に新大陸が発見されて、一番最初の航行で向かったんだけど、案の定バルで死にましたよ(笑)」

イ「あはははははははははははははははははははははあはははははは」

南「・・・・・・・笑いすぎだよ君・・・・・・で、続きだけど、50から60までは色々狩っていたと思う。Dゴーレムやフィクシ辺りが主だったかな?だいぶ狩れる敵の幅も広がった。この頃神殿ツアーってのが流行ってて、未知なる領域に挑んでは神殿で狩っている人を邪魔していたね。といっても神殿で狩れる人なんて限られていたけどね。僕は神殿にはあまり行かなかったな。あの頃はのろわれた神殿が空いてることなんて全くなかった。今とはえらい違いだね。今じゃ神殿で人と会うこともままならないなぁ・・・」

イ「懐古主義もいい加減にしてください。60レベルからは何を狩っていました?」

南「・・・・・ジュニアイエティを狩ってましたね。80レベルくらいまで。この間に確かサクチケが導入されたと思うよ。衝撃的だったよね、あれは。そしてイエペペ全盛期。僕は仲間はずれをくらってたから、一人でウェンペペを狩ってました。90レベルくらいの時にお誘いがあってイエペペに参加するようになりました」

イ「南さんはその頃から嫌われ者だったんですね」

南「改めて他人に言われるとちょっと腹が立つね」

イ「そして100レベルを迎えるわけですね」

南「そう。拡声器で祝ってもらったけど、うるさいって苦情もたくさんいただいたなぁ。まだ拡声器祝いが習慣化してなかったからね。それも今では毎日当たり前のように皆スルーするね。そういう意味では今のメイプルは開放的でいいよね」

イ「そうですね、一回30円ではあるけれどネクソンさんに募金できるわけですしね」

南「拡声器だけで一日どれくらい儲けているのか気になるところだね。閑話休題。イエペペ全盛期に3次が実装され、僕はと言うとイエペペは飽きたからウェンペペに戻ってました。で、110レベルくらいまでウェンペペこつこつ狩ってましたよ。火ブルが現れても孤独にウェンペペでした。そして・・・・」

イ「ジャクム!」

南「そう。これについてはもはや何も言うつもりはないです。僕も結構美味しい思いしましたから。でもつまらなくなってまたまたウェンペペに戻りました。『やっぱり俺にはお前しかいない』的な勢いでウェンペペでしたよ。125レベルくらいまでそこでした。そしてジパングが実装され、親分を狩るようになりました。当時親分を狩る馬鹿なんて俺くらいしかいませんでしたよ。翡翠もないし経験値も低かったですから。でも経験値が上がってからは大人気、もはや僕の居場所はなくなりました。それからは青牛やらウェンペペやら・・・色々狩ってました。朝方にプリと二人でジャクムを狩ったりね。誰もいないから迷惑はかけなかったですよ」

イ「いい加減読むのがめんどくさいです。総括してください」

南「・・・・・えーっとつまり・・・・。僕が主に狩ってきたのはジュニアイエティ、ウェンぺペ、経験値が高くなる前の親分、そして今はマジェスティックバイキング。どれも不味くて人気薄の狩場なんだ。そしていつも大体ソロでした。なんでこんな効率の悪いことをすると思う?」

イ「わかりません。では次の質問いきますね」

南「うぉい!少しは考えろよ!大事なのはこれからなんだから!」

イ「でも時間がないんでしょう?巻いていきたいんですよ」

南「いや・・・・・時間はあれだよ、ほら、別にこの後の予定は遅らせることもできるから」

イ「実は次の予定なんてなかったりしませんよね?」

南「だっ!んなわけねぇだろ!超多忙だよ!へヴィビジーだよ!いいから早く俺の問いに答えろ!」

イ「分かりませんって言っただろ。どうせ友達がいないからだろ」

南「タメ口!?しかも酷い言い様!俺は客だぞ!?」

イ「そうでしたすいませんでした。でも図星でしょう?」

南「・・・・・・・・・・・・・・・・ウン

イ「ドンマイドンマイ」

南「なぐさめてるつもりか!あんたさっきから何様のつもりだよ!」

イ「・・・・・・・・・・・チッ」

南「え?いや・・・・・え?今舌打ちした?」

イ「してないですよ」

南「いやしただろ」

イ「してないですって。空耳ですよ」

南「絶対聞こえたし・・・まぁいい。」

イ「まったく・・・無駄な時間とらせないでください・・・・チッ」

南「はいまたやりましたー!今のは絶対聞こえた!空耳とはいわせねぇ!」

イ「今のメイプルをどう思いますか?」

南「かんっっぜんに無視したよこの人!ありえないよママン」

イ「なるほど、モンスターがたくさんいて楽しいですか」

南「回答も勝手につくっちゃった!だめだこりゃ」

イ「最後に(極限まで0に等しい)読者の皆様へ向けてどうぞ」

南「え?あ、そうね・・・・えーっと。コホン・・・・・えー皆様、今年はどんな一年でしたか?最高だった人もイマイチだった人も、まぁとりあえず無事一年過ごせたんでよかったとしましょうや。僕もメイプル界で色々ありました・・・。ここでまたとやかく言うのも野暮なんで、一言で言いますと。世の中意味のないことなんて絶対ないってことですね。あなたとの出会いもあの人との出会いも、きっと意味があるんです。だからメイプルワールドでの出会い一つ一つも大切にしましょう。友達を裏切って勝手に引退したり、かと思ったらまた復帰したり、平気で詐欺を行ったり、黙々と狩りに勤しんだり、横殴りばっかしたり、MPKしてストレス発散したり、クリスマスや新年をメイプルで迎えたり、拡声器でギャーギャーわめいたり。それは全てゲーム内のことのようでも、実は現実世界のあなたを露にしているのです。ゲーム内で嫌われる人はやっぱり現実でも嫌われますよ。現実はゲームのシュミレーションではありません。ゲームが現実のシュミレーションなのです。ですからこう・・・」

イ「ストップ!いい加減にしろ。こっちは聞きたくもない話聞かされてんだ、ちょっとは気を使え」

南「はい・・・・・」

イ「以上で南友親糞キチガイのインタビューを終わります。年末のお忙しい中お読みくださりありがとうございました。ではよいお年を!」

南「よいお年を・・・・」

※この内容は虚実であり、本人の性質を保証するものではありません。

安定

2005-12-28 19:28:41 | どーでもいいことつらつらと。
万物全ては、「安定」する方向へ向かうといいます。


こぼれた水が均等に広がるのは力が安定するから。電磁誘導が起こるのは磁界が安定するから。風邪をひくと熱が出るのも、ウィルスをやっつけて体を安定させるためです。


もっと例を挙げますと、例えば「3」という数字も安定しているそうです。
三角関係なんて言葉もありますし、1ダースやテレビの1クール、時計も一年の周期も全て3の倍数で構成されています。
カメラを支える三脚は3つの脚が最も安定するからだそうです。4脚も発明されたんだろうけど、きっと使いにくかったことでしょう。



しかしここで言い切っておくとすれば、「安定」とは単なる人から見た主観であって、必ずしもそれが絶対的安定とは言えないかもしれない、ってことです。
抗体はウィルスにとって、自分の安定を脅かす存在ってわけですな。


だがしかし。
人や動物、地球という枠を越えた宇宙規模な「安定」は存在すると思うのです。
でっかい銀河。水金地火木土天冥海。地球の自転公転。全ては宇宙的な「安定」から始まる必然の結果なのでしょう。
そしてその中にいる僕らも、きっと無意識に「安定」を求めて日々暮らしていると僕は思うのです。



よく「安定した収入」「安定した人生」という言葉を耳にします。
これらは果たして、今述べた宇宙レベルな「安定」と同意で使われているのでしょうか。本当に「安定した人生」が「安定」しているのでしょうか(?)。


「立ち入り禁止」と書かれていたら逆に入りたくなるように、「勉強しろ」と言われると急にやる気をそがれるように。
ひょっとしたら誰かが示した標識に従って道を進むことよりも、道をそれて獣道をあえて進むことが宇宙レベルな安定なのかもしれません。
僕らはそれを無意識に感じているのに、日々疑問に思っているのに、見えない遮断機が行く手を阻んでいるのかもしれません。


とすると、もしかしたらそれに気付いて道を己で開拓した人こそが、本当の「安定」を手に入れていることになりますね。


何だか小難しいこと言ってそうですが。実は浅いです。


つまりは自分の信じる道を行けってことですな。うーん月並みだぁ。


こんな簡単な結論を俺はこんなに理詰めで考えてやっとつかむなんて、阿保ですね。


「迷わず行けよ行けばわかるさ」と、重く熱く一言で語ってらっしゃるお方もいるのに。



とにかく今は、自分にとって本当の安定を見つけたい。来年の目標は「安定すること」にしようかな。

題名はまだない。

2005-12-26 23:21:48 | どーでもいいことつらつらと。
史上最大のシルバーコレクター。

僕はいつも2番目でなければいけない。1番になったときのリスクは大きいから。

1番になったら2番目の人がくやしい。最下位だったら自分がくやしい。
僕は皆が一緒に幸せになってくれたら。そう思っただけ。

空前絶後のわがまま。



さようなら、また明日。

西の空に陽が沈み、恵みの雨が激しく降ったら、また会える。


さびしかったらいつでもおいで。友達連れていつでもおいで。

秘密の合言葉は変わらない。


でも嘘つきはお断り。身ぐるみ全部はがされちゃう。



こっちに来ればいいものあるよ。
チョコより甘いチョコレート、おっきなグミにブロックのラムネ。

皆で仲良く分け合おう。


君は言うだろうひねくれ者のうた。

僕は言うだろうしあわせ者のうた。

新・桃太郎 第三話

2005-12-25 23:59:59 | どーでもいいことつらつらと。
「猿顔のコウジ」と呼ばれるその男は、大きな街の小さな裏路地で息を潜めていました。冬の冷たい風が暗い路地を吹き抜けます。コウジは体を極限まで丸め、何とかそれに耐えようとしていました。

明るい通りの方を見ると、そこは幸せそうなカップルで溢れかえっています。今日はクリスマスです。

急にサイレンの音がして、コウジは怯えるように更に体を小さくしました。


コウジは一週間前に人を殺しました。指名手配をかけられ、現在逃走中です。
自分が属している組の先輩を殺してしまったのです。しかしそれは予想外だったのです。あの時あそこに現れるのは、先輩ではなくコウジが長年恨んでいた男のはずでした。

その男とは、コウジの家族を不幸に陥れた人物で、しかも自分の組と対立している組の幹部です。頻繁に「エイジア」と言う名の喫茶店に出入りしていることを突き止めたコウジは、その日ついに行動に移しました。
外から「エイジア」の店内を眺めると、それらしき男の背中が見えたので、奴が店を出るのを待ち伏せていたのです。


だが・・・・。
彼は違う人間を、この世界に入って以来ずっと世話になってきていた感謝すべき人を刺してしまった。この手で。
今でもあの時の感触が残っています。夢であったらどんなにいいかとコウジは四六時中思います。


風が止み耳を澄ますと、どこからともなく流れてくるクリスマスソング。


あの人も聴いているのだろうか。



コウジには想いを寄せる人がいます。ツグミといって、女子大生です。
街で見かけて以来、コウジは彼女のことを追い続けています。ほとんどストーカーです。
コウジは知っています。彼女の住んでいる家、通っている学校、仲のいい友達、前髪をいじる癖、好きな香水、犬の散歩の時フンをちゃんと処理しないのも知っています。正真正銘のストーカーです。



しかし声をかけたことは一度もありません。
この世界の人間にとって、堅気の女に本気で恋をするのはご法度です。
しかもコウジは自分の背が低くて猿みたいな顔をしていることにコンプレックスを抱いてました。だから彼女に声をかける勇気などありませんでした。決してストーカーだからではありません。


そしてコウジは今も、彼女のことを遠くから想っています。
ていうか今すぐそばにいます。
通りの向かい側。彼女は寒さに耐えながらクリスマスデコレーションの街を眺めています。

それをコウジは狭い路地裏からゴミ箱の陰に隠れて眺めています。ストーカーの基本です。


もう、彼女を見ることはできないかもしれない。自分は指名手配の身。シャバの空気を吸っていられる時間もそう長くないかもしれない。


ふと、彼女がこちらを向いているような気がしました。
初めて真正面から彼女を見たコウジは、思わずその美貌に見惚れます。

「彼女が自分を見てくれている!」コウジは胸の中で確信しました。


そしてなんと、彼女はこちらを向きながら笑顔を作り右手を振ったのです。その笑顔はサンタさんからのプレゼントです。

コウジは戸惑いながらも立ち上がり、一歩ずつゆっくりと彼女に近づいていきました。もはやコウジにはアレのことしか頭にありません。


しかし、先に彼女の元にたどり着いたのは他の男でした。
二人は一言二言言葉を交わした後、手を繋いで自分とは反対の方向へ歩き出しました。

そしてクリスマスの街の中へと消えていきました。


コウジはその場に呆然と立ち尽くしました。





「君、通りの真ん中で何突っ立ってるの?」肩をポンと叩かれました。警官です。


振り返るなり、コウジは思い切り警官を殴りました。その目には涙が浮かんでいました。



そしてコウジは走ります。聖夜の街をどこまでもどこまでも走り続けます。寒さのせいで鼻水が出ても、顔がこわばって本当に猿みたいでも、コウジは全然かまいません。



3時間くらいコウジは走りました。
警官などすでに追ってきていません。


どこかも分からない高架線の下で、コウジは一人のクリスマスを過ごそうとしています。


今頃彼女は何をしているのだろうか。アレだろうか。
彼女は今、幸せだろうか。


クリスマスの夜。全ての人が平等に幸せとは決していえないかもしれません。でもサンタさんはきっと、全ての人に平等にプレゼントを与えてくれるはずです。生きる希望を。
今は彼女の笑顔だけを胸に、コウジは生きようと思います。



メリークリスマス、コウジ。メリークリスマス、世界のみんな。



「メリークリスマス・・・・」



白い息は雪のように心を和らげ、そして冷たい夜に溶けていきました。


おしまい

深い衝撃 ~Morning Blue Dragon~

2005-12-25 03:05:48 | どーでもいいことつらつらと。
クリスマス。皆さんいかがお過ごしでしょうか?


こんな聖なる夜に、またこれわけの分からん話でもしようかと思います。
どーせ皆さん今頃ウハウハなんでしょうし、こんなブログ読んでるわけないし。ホントバカらしいことを書きます。



もうずーーーっと前から思っていたことなんですけどね。


日本人って、つくづくイベント好きだなーと思います。
顕著な例がワールドカップです。何なんですかアレは。
ワールドカップに関係している試合になると、なぜか日本人は騒ぎ出します。

自分はサッカーにあまり興味が無く、一年中野球一筋な人間です。ですからワールドカップで有名なプロサッカー選手が集まって他の国と戦うといわれても、イマイチピンと来ません。だって普段全然見ないんですよ?ワールドカップだからって試しにみても、テクニックやルールに乏しいわけですから、しかもテレビ越しとなると臨場感はあまりありません。

なのになぜか。周りは騒ぎます。

自分はここにものすごい疑問を抱きます。
サッカーって、正直今現在下火です。熱烈サッカーファンの人が言っていたから事実です。これは日本だけはなく、ヨーロッパにおいてもあてはまるらしい。いや俺はよくしらねーけどさ!

日本だけに焦点を当てれば、Jリーグはチームによっては採算取れてないって言うし、前に無理やり行かされたJ1の試合の時も「おいおいこれで経営成り立つの?」ってくらい客は少なかったです。TOTOというサッカーくじも大赤字。元々儲からない仕組みになっているくじに誰が手を出しますか。

・・・・とまぁ、ワールドカップの匂い漂わない年では、世間では熱狂的ファン以外がサッカーについて語らっているとこを目撃しません。
なのになんでしょう?ワールドカップの途端にあの騒ぎぶり。皆隠れファンなのでしょうか?

前に電車に乗っていた時横にいた、サッカーなんて全くしらなそうなおばちゃん二人が「ジーコだめだわ」とかほざいてましたがあんたらにサッカーの何が分かるんですか?
いや、ああ見えて実は超サッカーに詳しいって言うなら土下座して謝りますけど。
しかし今では「ジーコでよかった」なんて言われる風潮がありますね。就任直後のあの非難は一体なんだったんですか?


結局(自分も含めた)日本人は、興味があるないに関わらず、とりあえず世間が騒いでたら自分も釣られて騒ぎ出す習性があるようです。うむ、我ながらいい分析だ!

ところでこの、“世間”というワードに注目したい。
何かしらのでっかい行事が近づく度に、一番最初に水面に石を投げ波紋を広げようとする黒幕は、一体何なのか?ここについて考えるのは大事だと思います。


ワールドカップの年、必ずテレビが売れます。きっと来年も売れることでしょう。しかもデジタル放送転換期。「いい機会だから」と購入する人多数だと思います。電機メーカーはウハウハです。
他にもワールドカップ応援歌なんてのも出ちゃって、しかもそれが思惑通り売れちゃったりする。数年後に聴いて「何でこんな曲売れたんだろう?」なんて首をひねってみたり。
関連商品はいやって言うほど売れます。今では押入れの奥だったり?


六本木、新宿、渋谷、etc(東京の地名しか挙げられなくてごめんなさい)。
中心地ではたくさんのサポーター(と呼んでいいものか・・)が集まり、夜通し騒ぐ。

今でも記憶に残っているのは渋谷のスクランブル交差点。若者達が独占し、知らない人達と日本の勝利を祝い抱き合ったりしていました。おお愛国精神・・・?




普段はまるで周りの人を石の塊のように認識して器用に避けながら渡り、万が一肩でも触れ合おうものなら喧嘩すら始まる交差点なのに。おお個人主義・・・!



アメリカと比較しましょう。

アメリカは全くサッカーが栄えてません。
アメリカはアメフトとベースボールとバスケットボールの国です。ってこれは俺の偏見ですよ。
とにかく上の3つが主体と思われます。サッカーはそれほど人気ではありません。ワールドカップの無い年の日本と同じくらいかそれ以下でしょうかね。

そのアメリカも前回のワールドカップで、確かベスト16に入ったと記憶しています。日本と同じように。

日本がベスト16に入り、日本人は大騒ぎしました。
方やアメリカはというと、相変わらずアメフト・ベースボール・バスケットボールです。
皆いつもどおり、自分が好きなスポーツそしてチームを応援していました。




別に「アメリカはいい国です」とか、「ワールドカップくらいで盛り上がるな」って言っているわけではないですよ。

アメリカはあくまで比較対照。
ワールドカップは日ごろからのサッカーファンなら女房を質に入れても見なくてはいけませんよ。

自分も野球という趣味を持っています。気持ちは分かります。

でもサッカーの知識に乏しい自分には、上手い下手が分かりません。
テレビで見る遠くの国際試合よりも、生で見る近所の少年サッカーの方がよっぽど楽しいのです。サッカー低レベルの自分にとっては。


大事なのはさっき言ったとおり、“世間”です。大きな行事の度に大きなお金が動いていることを改めて確認しておきましょう。






日本人は祭り好きです。
古来より。
職人気質で仕事に勤しむ人も、年に一度のお祭りには心躍らせ胸高ぶらせ、夜通し騒ぎます。

今の僕らにも、この血が通っているのだと思います。
しかもこんな社会ですから。ストレス発散の場はたくさん欲しいわけですね。何かにつけてバカ騒ぎしたいんです。
忘年会の一ヵ月後に新年会したりね。笑笑や白木屋は予約でいっぱいだ。



さて、今お話したことは、今宵クリスマスにもいえることだと思います。

12月に入ると、至る所クリスマス色に染まります。
先日、生徒が受けた模擬試験の答合わせをしていたのですが。
そこにもありました、聖なる夜の欠片。


英語の長文問題で、こんなものがありました。もちろん英語で書かれていたのですが、ここでは日本語で軽く要約してお話します。

アメリカだかイギリスのおっちゃんが言うのですよ。
「日本人はクリスチャンでもないのに(もちろん、クリスチャンの方もいますが)なぜクリスマスを祝うのか。日本人は自分の文化や風習を見失って他国の美味しいところばかり持ち込むんだな」

みたいな。おっと後半はちょっと脚色しちゃったかもですが。


クリスマスの夜は、なぜか皆ソワソワワクワクします。
クリスマスはキリストの生誕日と聞いてますが「おめでとうキリスト様」なんて思いを込めている人はほとんどいないと思います。

あるのは期待と、一部の下心くらいのものでしょう。


そして皆プレゼントを買い、愛する人や思いを寄せる人、お世話になっている人たちへ心を込めて渡します。


でもそれは冷めた目で見たら、年末商戦の勝ち組負け組が決まるだけのことです。
恋愛の勝ち組負け組も決まるかもしれませんが。
どの商品が人々の心を射止めたか。それに懸かっています。



やはり日本人は行事好きです。
この乾ききった社会に、少しでも多くのオアシスを求めます。
しかしだからといって、ただ“世間”に流されてフワフワした気持ちと財布の紐を緩めてしまうのもどうかと思います。
まずは見極めて、自分にとって本当に意義のあることか、それを定める必要があると思います。



そうです!クリスマスなんて単なる金儲けのための行事なのです。

クリスチャンでもない人が参加するなんて、理に適わないんだ!


クリスマスなんてなくなってしまえばいいんだ!ははははは!!ドカーン!ズドドドドド!!!





(キートン山田さんのナレーションで)「こうして今年も一人のクリスマスを過ごす南なのであった」



チーン、ポクポク・・・・・

新・桃太郎 第二話

2005-12-22 02:19:10 | どーでもいいことつらつらと。
しば刈りをするおじいさん。


そこへ仕事仲間の安田のじいさんがやってきました。

「昼飯にしましょうや」


刈ったしばを地面に敷いて、二人は昼食をとります。爽やかな風の吹く穏やかな午後です。

しかし、何だかいつもとちょっと違う雰囲気が。
観察力鋭い安田のじいさんはおじいさんの元気がないことに気づきます。

「どうしたんだい?点で飯が進まないじゃないか」

おじいさんはため息交じりで答えます。
「最近、ばあさんが冷たいんじゃよ」

友達思いの安田じいさんは何とか60年来の親友を励まそうとします。
「何をいっとるんじゃ。そんなの気のせいじゃろうて。いつも仲むつまじいじゃあないか」
突然おじいさんは立ち上がり叫びます!

「何を根拠にいっとるんじゃ!このおむすびを見てみろ!具がわしの嫌いなイクラなんじゃ!しかも腐っとる!きっとばあさんは・・・わしのことをもう愛してはいないんじゃ・・・・!」

息を荒げ、肩を上下に揺らしながらおじいさんは安田じいさんを睨みつけます。
おじいさんの威圧感に、ただただ凍りつく安田じいさんでした。

最近やたらボケが激しい安田じいさんの記憶の中で、おじいさんがこれほど怒り心頭している姿を見たことありません。喧嘩などしたことない二人の間に初めて生じた亀裂。その亀裂は少しずつ広がり、いつかは裂けてしまう。そんなの嫌です。


ファシズムでセンチメンタリスムな安田じいさんは半べそをかきながら立ち上がり、思い切りおじいさんの顔をグーパンチしました。積み重なったしばの上へ倒れるおじいさん。ノックアウト!

ブリーフ派の安田じいさんは言います。

「わしは見損なったぞ!なぜ奥さんを信用してやらんのじゃ!何年夫婦をやっとるんじゃ!」

ハッとするおじいさん。

そうです。あれほどまで愛し合い求め合った日々。今もその愛に偽りはありません。おばあさんがおじいさんの家へ嫁ぐ日、二人は誓いました。一生を共にすると。

「安ちゃん、わしゃまちがっとった・・・・わしが信用しないで、誰がばあさんを信じるというのか・・・・わしはバカじゃ!目が醒めた!ありがとう安ちゃん!」

抱き合うおじいさんと安田じいさん。

どちらかと言うとSの安田じいさんは「良かった!良かった!」と泣きながら親友の肩を叩きます。



そんな安田のじいさんは、60半ばにしていまだ独身です。



さてさて、肝心のおばあさんはと言えば・・・・。

今日も今日とて鈴木のじいさんの家にて愛のお洗濯です。

おばあさんは今とっても幸せです。この歳になって初めて本当の恋を知ったように思います。

おばあさんとおじいさんはいわゆる許婚として結婚しました。当時はまだ若かったせいか、ライクとラブの境界線を見極めることもできず、親達の言われるがまま結婚に至りました。
40年を超える結婚生活は、胸を張るべきです。本当には愛していない人のそばに居続け、耐えてきたのです。

おばあさんは今とっても幸せです。この歳になって初めて本当に愛すべき人を見つけたのです。



その時です。部屋のチャイムが鳴りました。
あわてておばあさんは部屋の隅に隠れ、鈴木じいさんは身を整え玄関に向かいました。

一つ咳払いをして鈴木じいさんは「どちら様ですか」と尋ねました。

「鈴木のじいさん、俺だよ。ケンスケだよ」

鈴木じいさんの良く知る人物でした。ここで拒むわけにもいかず、渋々鈴木じいさんは来訪者を迎えます。

そこには警官服姿のケンスケがいました。
「ふん。やっとその格好も板についてきたのう」

ケンスケは子供の頃からよく知られている悪ガキです。今年警察官になり地元の交番に勤務しています。
気まずそうにケンスケは苦笑いしました。

「ふん。お前がここに訪ねてくるなんざ、どうせ年寄りいびりじゃろ」

「・・・・また悪ガキ扱いですか・・・。俺も大人になったんだよ。今日は仕事で来たんです。」

「ふん。何のようじゃ?」
鈴木じいさんは後ろを気にしながら言いました。



「実は昨日、ここの近くで殺人事件があったんだ。殺されたのはアッチ系の人間だから、それ絡みの事件なんだろうけど、一応家々を訪問して注意を促してるのさ」

『アッチ系』と言いながらケンスケは人差し指で右の頬をなぞり、ヤクザを表すジェスチャーをしました。

この小さな平和な町で殺人事件とは驚きです。鈴木のじいさんは急に深刻になりました。

「この町で組合沙汰とはけしからん・・・・」

「とにかく鈴木のじいさんも注意して・・・」



『バタッ』



部屋の奥で物音がしました。咄嗟にケンスケは身を乗り出します。


部屋の隅に隠れていたおばあさんが、過って仏壇の奥さんの写真を倒してしまったのです。


「誰か居るのかい?」


鈴木じいさんは慌てます。ここでケンスケに自分とおばあさんの仲を知られたら、大変なことになります。

「ね・・・・ねこを飼ってるんじゃよ・・・。わしもさすがに独りはさびしいんでのぉ・・・・」

わざと大きな声で言いました。ふぅんと、ケンスケは何時に無く弱気な鈴木じいさんを疑いの目で見ます。




「に・・・・・にゃぁ・・・・」




「ほ、ほら、猫じゃろ?」

「随分バアさんくさい鳴き声だねぇ」


おばあさんの猫の鳴きまねはあまりにも酷すぎました。

鈴木じいさんを睨みつけるケンスケ22歳。視線を逸らす鈴木じいさん63歳。

「まさかじいさん、例のヤクザをかくまってたりしないよねぇ?」

「な、何を言うんじゃ・・・・そんなわけ・・・・お、おい!」

ケンスケは許可なく部屋に上がり込みます。
もし昨日の事件の犯人を捕まえられたら、出世モノです。ケンスケの行動はその欲から来たものでした。


全ては、欲がキッカケです。
おばあさんと鈴木じいさんの情事も、ケンスケの勝手な行動も。人は誰でも、欲望を動力源として動いています。この世に生を受けたのも、きっとそれは出世欲ならぬ出生欲からなのです。座布団一枚!


そして今、新たな欲が生まれます。

秘密をばらされたくないという欲が。鈴木じいさんの心を突き動かします。
じいさんは玄関先にあった大きな将棋の駒の置物を手に取り、ケンスケの後を追いかけ、彼の後頭部を思い切り殴りつけました。

あっ、とも言わず、無言のまま、ケンスケは部屋の中へ倒れこみました。

息を弾ませながら鈴木じいさんは部屋の中へ滑り込みます。


死んでいるのか気絶しているのか。全く動かないケンスケ。
今目の前で起こった出来事が信じられず、ただ呆然と震えているおばあさん。


仏壇の中の伏せられた写真。

大丈夫、菊江は見ていない。


鈴木じいさんの奥さんは、今もきっと写真の中で微笑んでいることでしょう。



おしまい

新・桃太郎 第一話

2005-12-21 02:29:49 | どーでもいいことつらつらと。
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんはいつもよりちょっとオシャレをして
2軒先の鈴木のじいさんの家へ行きました。







そうです。おばあさんは不倫をしていたのです。





玄関でおばあさんを出迎えながら鈴木のじいさんは言いました。

「いいのかい奥さん?川へ洗濯しに行く時間だろ?」

「この文明開化の時間に・・・。洗濯機があるじゃろ」

そう言っておばあさんは鈴木じいさんの胸の中へ飛び込むのでした。
おばあさんは今、幸せと言う名の洗濯機の渦の中です。



一方その頃・・・・。

山へしば刈りに行ったはずのおじいさんは、逆にシバかれていました。
山道の途中、歌舞伎町帰りのヤーさんと肩が触れ合ってしまったのです。
ヤーさんは言いました。

「んだコラなめとんのかオラ!ケツの穴に手突っ込んで奥歯ガタガタ言わすぞボケァ!」

その顔といったら鬼、いや、閻魔の形相でした。

もはやベタベタの展開でした。ヤーさんの足に必死にすがるおじいさん。気が動転して「許してください」と言うところを、

「殺してください」

と言い間違えてしまったものだからさあ大変、さすがのヤーさんも逆にひいてしまうのでした。

「お、おう!今日はこのくらいにしといてやらぁボケ!わしゃあ朝帰りで眠いんじゃぁ!この辺にマンガ喫茶とかねぇかオラ!」

おじいさんは懇切丁寧に場所を教えてあげるのでした。しかしそこはマンガ喫茶ではなくカラオケ喫茶なのでした。


その頃おばあさんはと言えば・・・。
相変わらず鈴木のじいさんの家でチョメチョメなのでした。


鈴木じいさんは3年前に奥さんを亡くし、一人で寂しく暮らしていました。
それを不憫に思ったおばあさん。ある日おすそ分けとして桃を届けるのを理由に、鈴木じいさんの家を訪れました。
それからと言うもの、おばあさんは頻繁に鈴木じいさんの家へ通うようになりました。
互いに惹かれあう二人。親密な関係になるまで、そう時間はかかりませんでした。


おばあさんを腕に抱きながら、鈴木じいさんはふと部屋の隅へ目をやります。
そこには仏壇で微笑みながらこちらを見ている奥さんの写真があります。それを見るたび、鈴木のじいさんは息ができないくらい苦しくなります。
まるで、放課後の誰もいない教室に差し込む夕日のように、儚く胸を締め付けるのです。




おじいさんに言われたとおりの道を辿ってきたヤーさんは愕然とします。

『歌える喫茶 エイジア』

絶対にマンガ喫茶ではありません。

しかし次にヤーさんが取った行動は予想外でした。
ヤーさんは自分でも分からないまま、見えない糸に引かれるかのように喫茶店の扉を開きます。

『カランカラン』扉に付けられたベルが鳴ります。

そしてそこに広がる世界。ヤーさんが33年の人生の中で初めて見る光景でした。
そこにいる人たちは皆、輪になって涙を流しながら歌を歌っているのです。

「ぉ・・・ぉぉぅ・・・なじゃこりゃぁ・・・・」

ヤーさんに気づいたマスターが近づいてきます。
その笑顔といったらもう。この世のものとは思えません。ヤーさんがこれまで重ねてきた嘘、犯した罪、その全てを許してくれるような。まるで天使に見えたのです。

マスターは言いました。

「さぁ、こっちに来て一緒に歌いましょう」

マスターに手を引かれ、ヤーさんは輪の中央へ誘われます。歌は『翼をください』。


『今~私の~ねが~いごとが~叶うならば~翼が~欲し~い』


ヤーさんがまだ無垢な小学生の頃、合唱会で歌った歌でした。
そう、あの合唱会の日、両親は消え、残ったものは借金だけでした。

何もない部屋。シミのたくさんついた畳。その上には一枚の写真、一枚の紙切れ。

「父さんと母さんを許してくれ」


『この背中に~鳥のように~白い翼~つけてく~ださ~い~』


家族三人で撮った唯一の写真は、色褪せているけれど、幸せいっぱいのあの頃の記憶は消えない。
自分を捨てた両親への恨み。でも今はそれさえも、許せる気がする。


歌はクライマックスです。


『この大空に~翼を広げ~飛んで行きたいよ~悲しみのない~自由な空へ~翼はためかせ~行きたい~』


涙が止まりません。両親が消えた日以来胸の奥にとどめてきた涙が、20年の過ちが築き上げたダムの決壊と共に止めど無く流れます。ヤーさんは生まれ変わりました。

「ありがとう皆さん・・・わしゃあ今日から変われる・・・・新しい人生が始まるんじゃぁ・・・!」

皆に見送られ店を出るヤーさん。足取りは軽く、あの頃に戻ったように無邪気です。
通りを曲がり、小さな路地へ入ります。真南に浮かぶ冬の月が綺麗です。




『ドスッ』


左のわき腹に感じる衝撃。ヤーさんは月から目の前の男に顔を移します。暗がりと涙のせいでよく見えません。

わき腹に刺さったナイフがスッと抜け、男はヤーさんから体を離します。
熱い・・・・。血がドクッドクッと吹き出します。


男は組の若いもんでした。ヤーさんが特に可愛がっていた奴で、ヤーさんにはなぜ彼がそんなことをするのか分かりません。

ヤーさんは何か言おうとしますが、声がかすれて出ません。歌いすぎで喉が嗄れているのです。

男は小さく顔を横に振り、身を翻して走り出します。遠く、遠く・・・・。向こうの辻を曲がるまで、ヤーさんは彼を見届けました。
彼が消えると、何かが吹っ切れたように、ヤーさんは前へと倒れます。血は自分のものとは思えないくらいたくさんたくさん流れ出します。ヤーさんの人生を物語るように黒く濁っています。
意識が遠のきながらも、ヤーさんは一生懸命右手で左のポケットをあさり、一枚の写真を取り出そうとします。わき腹を押さえている左手を使ってはいけません。あの日の幸せをこの汚れた血で染め塗りたくないから。

何とか写真を取り出し、ヤーさんは息も絶え絶え仰向けになります。
右手をかざし、写真を見つめます。そこにはいつも通り、幸せそうな少年がいて、ヤーさんは静かに微笑みました。

目を閉じ、楽しかった子供の頃の思い出だけが蘇ります。

そうだ、あの日賞をもらったんだ。それを早く見せたくて、急いでウチに帰ったっけ。


頬を伝う涙。その小さな雫は月の光に照らされ、それはそれは鮮やかに澄んでいたそうな。



おしまい

開通式祝いの言葉。

2005-12-20 20:32:52 | どーでもいいことつらつらと。
皆様、本日はお忙しいところ我がブログにご来訪くださって真にありがとうございます。


このたび、我が家にインターネットが開通しました。


せん越ながら私南友親が、お祝いの言葉を述べさせていただきます。















いやっほ~ぅ!
ネット開通だぜベイベ!
これからはやりたい放題だぜ!



んじゃ、ちょっくら開通記念に新たにリンクをはろうじゃあないか。


待たせてごめんね、ゴラステ君。



と言うわけで新しいリンク。メイプル弓使いにして俺の23番弟子、「レゴラステラ」の日記でございます。
これだけ大々的に宣伝したけど、ごめん、おれんとこ全然人こないから。リンク張ってもあまり意味ないわ>ゴラステ





つーわけで皆様。これからもこの自由広場をよろしくお願いします。


あとメルください。単位もください。