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ナミは、ルフィとゾロと一緒に航海してみて、その無計画ぶりに驚いた。
航海術がないばかりか、食糧も水も積まずに出航していたからだ。
ナミは、なんだかんだ言いながら、この二人の世話をやいていた。
世話ついでに、ルフィの麦わら帽の破れを、つくろってやった。
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ルフィとゾロは、ナミの忠告も聞かずに、とりあえず見つけた近くの島に上陸した。
その島には、何やら奇妙な動物がたくさん居るようで、ルフィとナミがしばらく森を進むと、どこからともなく人の声が聞こえた。
『それ以上島に踏み込むな、命惜しくば即刻立ち去れ・・・』
声を無視して歩き進めると『森の裁きを受けろォ!!!』と銃弾がとんできた。
幸い、ルフィの体に銃弾は効かないからよかったものの、普通の人間なら死んでいるところだった。
銃弾が飛んできた方へ行くと、何か・・・何かがあった。
たわしのような、人のような、木のようなそれは、島の住人「ガイモン」だった。
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話してみるとガイモンはけっこういい奴で「悪魔の実の能力者は初めて見た」と感心し、ルフィも「おれも宝箱に詰まった人間は初めて見たよ、箱入り息子なのか?」と感心すると、「そうそう、小さな頃から大切に・・・あほかお前!」とのりつっこみで返してくれた。
ルフィ達がグランドラインを目指していると知ると、ガイモンは「グランドラインは知らないが、あそこは『海賊の墓場』と呼ばれる恐ろしい所だ」と言った。
海の事について何も知らないルフィに、ナミが”グランドライン”について説明した。
この世界には海は2つある。
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この世界の海を真っ二つに両断する巨大な大陸を「赤い土の大陸・レッドライン」と呼ぶ。
その中心と言われる町から、「レッドライン」に対して直角に世界を一周する航路こそが、「偉大なる航路・グランドライン」。
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史上、これらの海を制したのは海賊王、ゴールド・ロジャーただ一人。
最も危険な航路だと言われているその航路のどこかに、海賊王が残した「ワンピース」がある、と言われている。
ガイモンは「”ワンピース”なんぞ噂が噂を呼んで何が真実かわからないただの伝説だ」と言うが、ルフィは気にせず「そうかなぁ、見つかるだろ。おれ、運もいいんだ」と楽しそうに笑うのを見て、ガイモンは心の奥に秘めていた話をし始めた。
「おれがなぜこの島を離れられないかと言うと・・・未練だ。」
ガイモンは20年前のある日、この島に財宝が眠るという地図を見て、財宝捜しの海賊としてこの島に上陸したのだった。
だか、見つかったのは、空になった宝箱1個だけ。仲間は諦めて帰ろうとする中、ガイモンには気になる場所があった。
小高い崖の上・・・、気になって、よじ登った時に見たのは、複数の宝箱だった。
しかし、喜びも束の間、崖から落下した勢いで空の宝箱にはまって抜け出せなくなってしまい、気がつけば仲間も船もすでに出航した後だった。
しかも、箱に詰まったままでは、崖の上にも登れない。
だがどうしても、崖の上の宝箱が諦めきれず、20年間箱に入ったまま、近くて遠い財宝を守り続けて来たのだと言う。
20年目にして、ようやく信用できると思える人間と出会い、ガイモンは宝箱を取に行くようルフィに頼んだ。
ゴム人間のルフィにとっては、崖登りは一瞬の事だった。
「あったぞ、宝箱っ!!5個」
「よっしゃでかした!!!ここへ落としてくれっ、それを!!わっはっはっはっ!!」
歓極まるガイモンに、ルフィは「いやだ」と答えた。
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財宝に目のないナミも、これには怒った。
ガイモンさんの身の上話を聞いて、今更財宝を奪うなんてありえないと。
しかし、ガイモンは「麦わら!・・・お前は・・・いいヤツだなぁ・・・」と泣いた。
「うすうすな・・・もしかしたら・・・考えないようにしてたんだが・・・ないんだろう、中身が・・・」
そう言うとガイモンはたまらず、大粒の涙をポロポロとこぼして泣いた。
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「・・・・・・・うん、全部からっぽだ・・・・。」
ルフィは大笑いしてみせた。
「まぁくよくよすんなよ、おっさん!!20年でおれ達が来てよかったよ!!あと30年遅かったら死んでたかもな!!!
これだけバカみちまったら、あとはワンピースしかねぇよ!!もう一回おれと海賊やろう!!」
だが、ガイモンはそれを断った。
この森に居る珍獣達の森の番人として生き続けることを選んだのだ。
ルフィの「おっさんも珍獣だもんな」に鋭いつっこみを入れるガイモンの顔は晴れやかだった。
ガイモンは「お前には必ずいい仲間が集まる。ワンピースはお前が見つけて世界を買っちまえ!!」とルフィ達を見送った。
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