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”タイヨウの海賊団”船長となったジンベエは、ネプチューン国王と王妃にだけはタイガーの真実を手紙で伝えた。
国王は「タイガーはあの生き方を選ぶ他なかったのじゃもん・・・・」と険しい顔をし、オトヒメ王妃は「あの日の彼の心の叫びが理解できたわ、私は負けません」と意を新たにして、署名活動に一層励んだ。
いつものように、子供達に”未来”を約束して。
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だが、「魚人島の英雄フィッシャー・タイガー」は人間に見捨てられて死んだという事件の報道は、魚人族の人々に人間に対する怒りや不信を強く植え付け、タイガーの死後にオトヒメの署名に参加する者など一人としていなかった。
それでもオトヒメは、来る日も来る日も国を駆け回り、難破船の人命救助、島の子供達への教育、街頭演説、署名活動と意欲的に行動し続けた。すべては子供達の未来の為に。
だが、この5年で集まった署名も事件後は取り消しを求められ、オトヒメの手にとうとう1枚の署名用紙も残らなかった。いつも明るく天使のようなオトヒメが荒れた。
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一通り泣きはらしたオトヒメは酒を煽った勢いで、島中に本音を放送した。
「あたし達が!!水中だけでも生きていける私達が!!広い広い海の中、暗い暗い海底で!!ただこの場所だけを選んで住んでいるのはなぜ!?ここには小さな「光」と「空気」があるからではないですか!?
地上には!!もっと大きな光があり、もっと高い空がある!!子供達がこっそりシャボンディパークを見上げに行くのはなぜ!?行ってはいけない場所なんてあるはずないのに!!自分を納得させて諦めてるだけじゃありませんか!?
勇気を出して一番欲しいものを欲してください!!その障害が”人間”ならば、みんなでぶつかりましょうよ!!!そうすれば、魚人島の子供達の生きる未来が・・・・少しだけ・・・変わるかも知れない!!!!」
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その後、オトヒメ王妃は体調を崩して寝込むことが多くなった。
その後、”タイヨウの海賊団”のジンベエの元へ海軍本部から「王下七武海」加入の打診があり、悩んだ末にジンベエはその話を受ける意向を固めて、ネプチューン王に報告に上がった。
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・ジンベエが「七武海」になれば、政府の恩赦で元奴隷の者達が逃げ回らずに魚人島で暮らす事ができる。
・立場を利用して、魚人族が世界政府や海軍に近付くことが出来る。
・それはタイガーの願いであり、オトヒメ王妃の為にもなるはず。
ただ、恩赦によって投獄中のアーロンが解放されることは、不安要素であった。
ジンベエの予想通り、元からの人間嫌いに加えて、タイガーの死で憎しみに凝り固まったアーロンは、タイヨウの海賊団とは一線をひき、”アーロン一味”として別行動をとることとなった。
「どうしても止めたきゃ今ここで、おれを殺せ!!!おれこそが魚人族の怒りだ!!!」と吠えるアーロンをジンベエは殴りつけたものの、結局分かり合えないまま、遠い海で別れることとなった。
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タイガーのアニキの真意が伝わらないアーロンの事を、ジンベエは悔しくて、そして気に病んだ。
「世界中どこに行こうが暴挙を働けば海軍が動く!!さもなくば、もしもの時はおれ達の手で止めに行こう」
アーロンという怒りと憎しみに満ちた怪物を生み出したものを、ジンベエは憂いた。
こうして”タイヨウの海賊団”は七武海のジンベエ率いる一派、”アーロン一味”と人攫い稼業の”マクロ一味”の3つに分裂していった。
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