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海外でタクシーに乗るときの注意、教訓 その11 イギリス、旅行者3

2010-08-15 00:10:33 | Weblog
タクシー・ドライバーは、の代表者。
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおきる。
街の印象が良くなったり、悪くなったりする。
として、これまでに12か国を掲載した。

スペイン、ギリシャ、イタリア、イギリス、
ポルトガル、フランス、ドイツ、ルーマニア、
アメリカ、ブラジル、インドネシア、東ドイツの12か国で、
ヨーロッパが9か国、北アメリカ、南アメリカ、アジアが各1か国である。

これらの国で体験したタクシー事情をまとめる。
海外でタクシーに乗るときの注意教訓になる。

65) 海外でタクシーに乗るときの注意、教訓 その11 イギリス、旅行者3

イギリス、旅行者3
52) ドライバーの電話番号(2010年6月30日)
53) ドライバーの携帯に電話(2010年7月4日)
54) タクシー・ドライバーと握手(2010年7月7日)

同じ日本人でも、“滞在者”か? “旅行者”か? を見分けて、
キャブ・ドライバーは対応を変えることが起きたのである。
立て続けに2回も、ボッタクリにあったのだ。
2回とも、重いサムソナイトをガラガラと引っ張る、
という旅行者スタイルだった。

1回目は、スペインから、イギリス経由で日本に帰るとき。
大英博物館からヒースロー空港まで、ブラック・キャブで行くと、
キャブ・ドライバーは、
「パーク・ロードはクローズ(通行止め)だから、直進する」
と、言って、ヒースロー空港のある西に行かずに、
南へ行って、北斗七星の柄杓(ひしゃく)の形の、
杓(しゃく)の3辺を通る遠回りをした。

2回目は、日本からイギリスに立ち寄って、フランスへ行くとき。
ヒースロー空港からロンドン市街のホテルまで、ブラック・キャブで行くと、
キャブ・ドライバーは、
「一方通行を調べている」
と、言って、
なぜか、工事中の道路に入って、のろのろと進み、つぎに、
「近くまで行って聞いてみる。わかりにくかったものだから」
と、言いわけ(エックスキューズ)をして、
インテンショナル故意に遠回りをした。

遠回りをして、ホテルに着いた。
それから、ホテルに待機しているブラック・キャブで
ロンドンの繁華街、ソーホーへ中華料理を食べに出かけた。

ソーホーへ行くときに、タクシー料金をキャブ・ドライバーに聞いてみた。
「あした、ヒースロー空港まで行くが、タクシー料金はいくらか?」
ドライバーは振り返って、
「40ポンドですね」

それから、
「35ポンドでいいですよ」
そして、すぐにつけ加えて、
「混んでいても、35ポンドで行きますよ」

ロンドン市街を抜けるには、混雑でメーターは上がるが、
それでも35ポンドで行くと言う。
来るときは、インテンショナルな遠回りで、
50ポンドも払ったが!

ドライバーはそのへんにあった紙をちん切って、
何やら書いている。
「これが携帯電話の番号です」
と、厚紙を手渡した。

ジョンJOHNという名前と携帯電話の番号だ。
それに、免許のあるタクシー・ドライバーLICENSED TAXI DRIVER、
と、つけ加えてある。
読みやすい字だ。ていねいに書いてある。

「ロンドン市街を走り回っているから、
出発する1時間前までに、電話をくれませんか」
と、ジョンは言う。

ジョンのブラック・キャブを降りて、
ソーホーで広東料理を楽しんで、ホテルにもどり、
その翌日、ジョンの厚紙を取り出して、電話をした。
すぐに、つながって、約束通りに10時にホテルへ来て、
ヒースロー空港に向かった。

ジョンは、地図をのぞき込むこともない。
一方通行を調べることもない。
ヒースロー空港まで行くのに、なんら迷いがない。
きのうのドライバーは工事中でジャミングした道路を通ったが、
ジョンは通らない。ジョンは信頼できるようだ。

ジョンは、ロンドン市街とヒースロー空港を流すことができる、
ロンドン・キャブのドライバーのライセンスを取ったことを話す。
「ライセンス・ナンバーとバッジをもらえるまでに、
数年かかるんだ。難関だったな!」

「PCO/The Public Carriage Officeへ書類の申請をすると、
悪名高い“Blue Book青本”が支給される」
「“ロンドンの知識The Knowledge of London”を、
知り尽くさなければならないんだ」

「そのときは工員だったから、日曜日になると、
モペッドにまたがって、ロンドン市街を走りまわった」
「それから、筆記試験を申請する」
「ロンドンの知識について出題されるが、
10回の試験でパスすれば、早い方だよ」
「大学の学位を取るよりも、むずかしいんだ」

「最後には、工員を辞めて、ドライバーの試験に専念した」
「パスするのに、4年かかった」
「筆記試験をパスすると、次は面接試験になる」
「ロンドンの知識について、PCOの審査官から質問されるから、
口頭で答えるんだ」
「ドライバーの適性として、
オネスト/正直、フェア/正しい、話しじょうずが求められて、
わざと、困難な質問もして、ドライバーとしての適性を見ているんだ」

「それから、PCOの検査官が同乗したDriving Test実地試験を受ける」
「単なるドライビング・テクニックを見るのではなく、
乗客を運ぶ能力が試されるのさ」

「目的地まで、最短のルートを選んだか?
渋滞に巻き込まれなかったか?
安全に運転したか?
が検査される」
「10人の応募者があると、実際にドライバーになれるのは、
3人くらいなんだ」
「合格すると、ドライバー・ライセンスとバッジがもらえる」

「そりゃあ、もう嬉しかったさ!
こうしてバッジをつけて、ロンドン市街を走れるんだから」
ジョンは振り返って、胸を張って、誇らしげだ。

「ブラック・キャブのドライバーになって6年、まだ若い方だ」
「年配のドライバーは、余裕があってゴルフをしているよ。
俺もそのうちにしようと思うが」

ヒースロー空港に近づいてきた。
出発ターミナルが何番か? 気になって、
「パリへ行くが、BAの出発ターミナルは2番か?
ヨーロッパ便は2番だから」
と、ジョンに聞いてみた。

ジョンは、ダッシュ・ボードから何やら本を取り出して、
運転しながら、調べている。そして、
「ちょっと、チケットを見せてくれませんか?」

ジョンは、チケットを見てどうするのだろう?
まさか、空港とは反対方向へ走らないだろうな?

スペインでは、チケットを渡すと、出発時間を見て、
時間の余裕があることを確かめると、
高速道路から一般道路へ降りて、
空港とは、反対方向に走った。

チケットを取り出し、警戒しながらジョンに渡した。
ジョンは、きょうのフライトであるBAのチケットを見てから、
次のチケットも見ている。
成田にもどる最後のチケットまで見た。
全部見てから、返してくれた。

「ガイドブックによると、ターミナル2はヨーロッパ便とある」
「ただし、パリ、アムステルダム、アテネ便は除く、と書いてある」
と、ジョンは言う。

「ターミナル4を見ると、インターナショナルとある」
「ただし、パリ、アムステルダム、アテネ便を含むと書いてある」
「だから、パリ行きはターミナル4だ」

「それに、チケットを全部見たが、
どこにも、シャトル便とは書いてなかった」
「だから、ターミナル4にまちがいない」

「このガイドブックは、なかなか役に立つ」
「だから、いつでも、こうして持っているんだ」
ジョンは、ターミナル4を探り当てて、誇らしげだ。

ヨーロッパ便はターミナル2だと思っていたが、
パリとアムステルダム、アテネ便だけはターミナル4だった。

モータ・ウェイM4を下りたこの道は、
ターミナル1、2、3へ向かうから、
ターミナル4へ行くには、
大きく方向転換をしなければならない。
ターミナル4だけは、ほかのターミナルと離れているから。

滑走路に沿って迂回し、コンコルドの格納庫のわきを通過する。
メーターは、とっくに35ポンドを超えている。
そして、ターミナル4に着いた。

ロンドン市街のホテルから1時間15分もかかった。
朝のジャミングに巻き込まれて。
通常は50分くらいなのに。

これでターミナルをまちがえたなら、
ターミナル2のキャブ乗り場にならんで、
ブラック・キャブでターミナル4まで移動するが、
出発時間、ぎりぎりだったにちがいない。

そして、気になるメーターは、
50ポンドを指している。

35ポンドの約束だったが。
いくらなんでも、それではかわいそうだ。

ロンドン市街のクロムウェル・ロードを抜けるのに、
ジャミングで手間取ったのと、
いったんは、ターミナル2に向かったので、
遠回りをして、料金が上がったのだ。

現金はキャブ代に35ポンド、それに、チップの5ポンド、
予備のビール代の5ポンドと、全部で45ポンドしかない。
「ジョン、45ポンドが、持っている全てだ」
“OK!”

ジョンは振り返って、あっさりと了解すると、
45ポンドを受け取って、
“Thank you Sir”

「ロンドン市街を飛ばしているから、
電話で、いつでも呼んでくれ」
「今度また、呼ぶよ」
「あなたの名前は?」
「Mulliganモリガンだ」
「モリガン、楽しい旅を、グッド・ラック!」
と、右手を差し出してきた。

タクシー・ドライバーと“握手”をするのは、初めてだ。

パリ行きのBAは、ジョンが調べてくれた通りに、
ターミナル4から無事に出発した。
ジョン、ありがとう。

ロンドン・キャブのドライバーの適性として求められる、
✇オネスト/正直、
✇フェア/正しい、
✇話しじょうず、
を、ジョンは備えている。

そして、乗客の安全と快適を優先させる、
“Passenger safety and comfort come first.”
「乗客の安全と快適が第一」
を、ジョンは実施している。それに、
出発ターミナルを調べて、乗客に“喜びDelight”まで与えた。

ジョンは、難関を突破したブラック・キャブの、
ドライバーであることに、誇りを持っている。

乗客が旅行者であっても、
「ロンドン・ブラック・キャブのドライバーは世界一である」
ことを、ジョンは示してくれた。


教訓77) タクシー・ドライバーが自分の携帯電話の番号を示して、
 利用を呼びかけたら、信頼できるタクシー・ドライバーと考えていい。
教訓78) タクシーに乗る前に、タクシー料金をドライバーと、
 交渉することができる。
 そうすると、タクシー料金に納得してタクシーに乗ることができる。
 それに、不正を警戒しなくてもいい。
教訓79) タクシー・ドライバーは、空港の出発ターミナルの情報を、
 もっていることがある。
 困った場合には、搭乗ターミナルを調べてくれ、助かることがある。
教訓80) “筆記試験”、“口頭試験”、“実地試験”をパスしている、
 ロンドン・ブラック・キャブのドライバーは、
 地理、マナー、安全は世界一と考えていい。


ここまでは、ロンドン・ブラック・キャブについての教訓である。
ここからは、タクシー利用についての一般的な教訓である。
教訓81) 旅行者とみると、タクシー・ドライバーは不正をすることがある。
 着飾ったり、重いバッグをガラガラと引っ張る旅行者姿は、
 避けたほうがいい。
 できれば、現地人と同じ格好をして、滞在している人と思われた方がいい。
教訓82) 慣れないところでは、1人でタクシーに乗らない方がいい。
 バスや電車の公的交通機関があれば、その利用がベストである。
 バスや電車は、一般に料金は安いし、不正はないから。
教訓83) 空港からホテルへは、シャトル・バスがあれば、利用したい。
 シャトル・バスは有料が多いが、ホテルが運営する無料のものもある。
教訓84) しかし、タクシーに乗ると、すぐに目的地に行けるし、
 重いバッグで移動できるという利便性があるから、
 この利便性は捨てるわけにはいかない。
 2人以上の利用をお勧めする。
教訓85) タクシーでは、不正(ボッタクリ)もあることを、
 考えておいた方がいい。
 不正がはっきりわかったならば、タクシー・ドライバーに言うか、
 当局に通報する覚悟で乗ろう。
教訓86) ライセンス・ナンバーをメモし、
 不正の通報先を控えておこう。
教訓87) 不正を通報すれば、タクシー・ドライバーのモラルを、
 上げることができる。
 これは、あとでタクシーを利用する日本人のために、大いに役立つことになる。
 私は、そのつもりでがんばってきた。日本人のために戦ってきた?
教訓88) しかし、不正を通報しても、ボッタクリにあった料金は、
 すぐには、もどらないだろうし、イヤな気分は、すぐに晴れないから、
 タクシー・ドライバーと適正料金を折衝することになる。
教訓89) 適正料金を折衝するためには、およそのタクシー料金や、
 だいたいのルートを知っておくことになる。
教訓90) そして、不正があったならば、勇気をもって、
 タクシー・ドライバーと適正料金を折衝してください。
 あなたのために、そして、これから行く日本人のために。


海外で、出会う最初の現地人は“タクシー・ドライバー”。
海外でタクシーに乗るときの教訓90」をみた読者は、
街の代表者、タクシー・ドライバーに会って、
旅が楽しくなったり、とんでもないことがおき、
街の印象が良くなったり、悪くなったりするが、
タクシー・ドライバーと、適正な対応をすると思う。

それでは、いい旅を!
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