むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

日本の台湾接収時の抗日闘争を描いた映画「一八九五乙未」クランクアップ

2008-05-31 01:50:15 | 台湾その他の話題
1895年日本が台湾を接収して植民地支配を始めた際に、台湾中部の八卦山(はっかさん、八卦は本来は「はっか」と呼ぶの正しい)に立てこもって抗日闘争を展開した台湾人と、接収軍に従軍した若き日の森林太郎(鴎外)を描く映画「一八九五乙未」がこのほどクランクアップした。28日に台湾人スタッフ・役者による打ち上げがあり、さらに30日には助成を受ける客家委員会に提出するためのデモビデオ(上映されるときには1時間50分程度だが、長めの2時間半に編集して字幕をつける前)の音声チェック(日本語台詞がちゃんとなっているかのチェック)をやってきた。
八卦山闘争は、呉湯興という客家人の秀才が中心となって、泉州系盗賊、サイシャット族が加わったもの。清朝官吏のやる気のない台湾民主国とも関係なく、単なる土匪の類でもなく、しかもエスニシティの境界を超えて行った稀有な闘争。
映画で使われている言語は、客家語が80%、ホーロー語が10%、日本語が10%、少しだけサイシャット語という感じ。
撮影時に呼ばれて、日本人が登場する部分の収録などに付き合ったが、全編がどうなっているか知らなかったので、今日見てわかった。といっても、客家語の部分は、文言が出てくるところや長い台詞だと、あまりわからない。また私がこれまで接してきた人は四県系が多いので、四県方言を話す呉の部分はいいのだが、それ以外に海陸方言を話す人のところは調値を四県に変換して考えないといけないのでこれもやや自信がない。ということで、客家語でわかった把握できたのは5-6割といったところか。台湾語と日本語は問題ないけど(てか、日本語よりも台湾語の部分のほうがよくわかったような気もするが、これは日本語母語話者として結構マズイことかも(^^;)。
それから「抗日闘争を描いた」ものとはいえ、緑系の会社が制作しているので、反日的な色彩はまったくない。双方をかなり淡々と描いているという感じだ。今回見たのはデモ用で実際に上映されるものよりは長めになっていることもあって、若干単調なところもあった。しかしホーロー人の土匪をいわゆる「fool」として出してメリハリをつけていたので、さらに編集カットして1時間50分にすれば、十分面白い映画になると思った。

ちなみに、「2ちゃんねる 東アジアニュース+板」でも、これがクランクインされてしばらくたってから取り上げられたことがある。
【台湾】日清戦争直後の台湾における抗日戦争を描いた映画「1895乙未」がクランクイン[01/04] http://news24.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1199509163/
(ただしDAT落ちしている)
しかし見てもいないで「抗日」という文字面だけで勝手に「反日」「やっぱり台湾人も反日だ」などと決め付けている単細胞なウヨクがたくさん書き込んでいて閉口させられた。
馬英九みたいに反日教育で観念的反日になっているようなアホどもと違って、台湾本省人の場合は実際に台湾という土地について愛情を持って、先祖が抵抗した事実があるのだから、「抗日」だからといって「反日」だとはいえないことは、台湾人と肌身の付き合いがあれば、わかりそうなもの。まあ、アホなウヨクにはその程度の実体験も、想像力も、論理性もないんだろうけどね。そもそも見てもいないで勝手に決め付けるのは、ドキュメンタリー映画「靖国」についてもそうだが、そういう単細胞こそがむしろ彼らが毛嫌いしているはずのシナ人の憤青どもとソックリだといえる。
実際、今日この「抗日闘争を描いた映画」を通してみた感想でも、決して反日的ではないと思った。てかこんなものが反日などといっていたら、歴史なんて何も語れないわけで。むしろ淡々すぎて、もう少しは反日情緒を入れたほうが刺激的だったかも?と思えるくらいだ。

P.S. それから、これはちょっと愚痴だが、日本語台詞の部分は私が訳したが、できるだけ明治というか鴎外(特にファウスト訳本や日記)の文体に似せて訳したつもり(しかも私は漱石より鴎外のほうが好き)。
ところが、イマドキの日本人(で台湾在住)の若手俳優ときたら、あまり古風な表現を知らないで、「こういう表現はない」などと文句を言うわ、ちょっと難しい漢字を読めないわ、で困った。漢字を知らないのも古風な文体が変だと思うのも教養がない証拠。大体、「煮沸」とか読めないレベルで文句言うな!まあ元の中国語の台本がいまいちなのがあるんだが。

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