むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

なぜか「アウポオ」を「奥の手」などと誤訳する一部日本メディアの無知

2008-03-14 02:47:50 | 台湾言語・族群
今回の選挙になってから、台湾語のau3-pou7、アウポオがよく使われる。これはau3(卑劣、汚い、悪い、低劣な、悪辣な)なpou7(やり方、手段、方法)ということで、文字通り「卑劣な手段」「悪辣なやり方」などと訳せるものだが、どういうわけか、日本の一部メディアは、台湾語の語感がわからず、漢字で「奥歩」と書かれることが多いのに引きずられてから、「奥の手」などと誤訳しているのには呆れる(見かけたのは、共同通信と産経新聞)。

「奥の手」という日本語にはそもそも善悪の価値判断は含まれていない。いや語源的にいえばむしろプラスの意味が多い。au3に含まれているきわめてマイナスの価値判断とは距離が遠い。

そもそもau3は百越系語彙であって、漢字はなくて、台湾のメディアで「奥」と当てるのは、音を流用した単なる当て字であり、これに「奥」という意味はまったくないのだ。

しかも、これの対語として「phiat-pou8」(素晴らしい手段・やり方)というのがあるのだから、なおさら「奥の手」は間違っているというしかない。

これは台湾人の助手にでも聞けばちゃんと意味がわかりそうなものだが、台湾語など下級な方言だと思っているのか、こうした誤訳を平然と載せてしまう(しかもデスクも通過してしまう)ところが、信じられない。
無知というのは恐ろしいが、ジャーナリストとしての資格と姿勢が疑問だ。

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