むじな@金沢よろず批評ブログ

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アル・ゴアの環境ドキュメンタリー映画An Inconvenient Truth

2006-10-16 00:33:47 | 世界の政治・社会情勢
クリントン時代の米副大統領で、2000年大統領選挙でブッシュに僅差で敗れたアル・ゴアが地球温暖化の深刻性について警鐘を鳴らすドキュメンタリー映画An Inconvenient Truth(日本語では「不都合な真実」と訳されていることが多い)を14日、職場の厚生活動の一環で見てきた。
米国公式HPは:http://www.climatecrisis.net/、台湾華語題名は「不願面對的真相」(その公式?ブログは、 http://www.iamcool.net/AIT/blog/
IMDBによるデータ: http://www.imdb.com/title/tt0497116/
An Inconvenient Truth (2006)
Directed by Davis Guggenheim
Runtime: 100 min
Country: USA
Language: English
Color: Color
監督のグッゲンハイムはテレビシリーズERの監督として有名。

内容は、ゴアが70年代からの課題としている環境問題、とくに90年代から取り組んでいる地球温暖化について簡明に講義する形式で、北極の氷や各地の氷河が衰退し、地球全体の乾燥化も進んでいるなど、具体的な数値を出して説得力があった。
かつてゴアはboring Goreと呼ばれ、話がつまらないことで有名で、2000年大統領選挙にもその点をブッシュ陣営から揶揄されたりした(子供が騒いでうるさいので、ゴアの演説を聞かせたところ、すぐに眠りこけて静かになったwwというCMとか)が、この映画の講義はぜんぜん退屈ではなかった。いや、2000年に落選してむしろ得意分野で講演して回って話術を磨いたのかもしれない。
ただ、アップルコンピューターのロゴが大写しになったり、ゴアを格好よく見せているなど、なんとなく「ゴアの個人プロモーション映画」臭さは鼻についたし、中国には講演に行っても、台湾には来ていない「親中国」ぶりも昔のイメージ通りだった。このゴアの親中っぽいところが困るので、2000年のときには私は個人的にはブッシュを応援していた。
しかし、そのゴアは、米国がCO2排出量では世界一でありながら、京都議定書への署名を拒否している点を批判したりしていたので、ひょっとしてあのとき、ゴアが当選していたら、米国も早く京都議定書に加盟し、環境対策が進み、イラク戦争も始めることはなかっただろうと思うと、やや複雑な心境になった。
それにゴアは政治的には親中かもしれないが、中国の環境破壊の深刻さを厳しく指摘している。しかも、民主党は伝統的には政治的には親中でも経済・環境・人権分野では中国に批判的にコミットメントするという立場も強いので、イラク戦争のせいで米国の注意が中東に集中して極東地域のバランスが崩れたことも考えあわせるなら、実はゴアが当選していたほうが、結果的には台湾にも良かったのかもね。
そういう点では、ラルフ・ネーダー(レバノン式にはナーデル)が出馬したことで結果的にブッシュを勝利させたことは悔やまれるかも。
2008年は民主党になるとしても、ヒラリーじゃ嫌だな。やつは親中国のうえに、親イスラエルだから。中東はますますこじれる。ディーンかゴアだったらいいかも知れないと思うが、これってもろ映画に洗脳されてたりしてw。
まあ、若干の欠点はあるものの、この映画は見る価値があると思う。
そして、米国はとっとと京都議定書に参加しろ!それから、中国とインドにも先進国と同じ義務を課すべきだ。米中は地球環境破壊の二大元凶なんだから。
そういえば、最後、エンドロール見てたら、名古屋大学やトヨタなど日本の研究機関や企業の名前がクレジットに挙がっていた。日本は環境科学、環境対策の点では、実は世界で牽引する立場にある。安倍首相になってこの点がどうなるのか不安があるが、日本は60年間平和国家としてやってきただけでなく、環境分野でも人類に貢献しているんだ、と思った。この点をもっと伸ばすべきだと思う。
そういう意味で、安倍ちゃんは日本が誇るべき部分を履き違えていると思う。


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