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教会は最大の犯罪組織?

2008-10-11 20:28:48 | 歴史諸随想
 在日ドイツ人ハウプト・ホルガー氏はそのHPで、「教会は最大の犯罪組織」という、キリスト教会が行った恐るべき犯罪の歴史を紹介されている。薄々予想はしていたが、中世のみならず20世紀や第二次大戦後に至っても、教会の本質は殆ど変わらなかったという事実を改めて知らされた。

 ホルガー氏は母国ドイツでの政教分離の実態を紹介されている。これも本物のドイツ人ゆえに書けるのだ。日本の左派文化人が賞賛する「過去を真摯に反省するドイツ」の実態が伺え、実に興味深い。戦前バチカンはヒトラーを「敬謙なカトリック教信者と崇めた」が、戦後は一転、「我々教会および法王は最初から無神論者のヒトラーに大反対してきた」と主張したという。
ドイツ連邦共和国では今なお、ヒトラーとバチカンの間の取り決めである政教条約に基づき、教会は学校に入り込んで自らの宗教教育を実行し、国は教会税を徴収し、神の冒涜が禁じられ、宗教批判者は迫害を受けるといる現実があります・・・

 戦勝国イギリスにも未だに神聖冒涜罪(不敬罪)なる中世さながらの法律があり、その対象は「キリスト教の神」のみとなっていることが、ブログ『ヒロさん日記』で初めて分った。非キリスト教の神を侮辱してもお咎めなしでも、「キリスト教の神」なら処罰対象となる始末。信仰の自由を認めていても、実は英国国教会が国教となっているのを英国通日本人で言及した者がいるのだろうか。欧州といえば合理主義が根付いていると多数の日本人が思い込まされたのは、マスコミ報道の栄えある欧米への貢献だろう。

 そして、米国の宗教事情はさらにスケールが違う。ベトナム戦争時、米国の司教達はこの戦は十字軍遠征だと言い、カトリック司教は北ベトナムの原子爆弾攻撃で南ベトナムのカトリック教会の防衛を望んだそうだ。また、プロテスタントの牧師キュンネト(Künneth)も、原子爆弾は隣人愛の為に使えると主張したことがホルガー氏の記事に載っている。1959年、ローマでイエズス会士グンドラハが法王ピウス12世の原爆戦争についての意見をまとめ、出版された書籍にはこのような文章があったとか。
原爆戦争そのものは不道徳的ではありません…どうせこの世は永遠には続きません…我々人間は世の終わりには責任はない…神の摂理でそういう結果に導かれてしまいました等々…

 ホルガー氏は日本とキリスト教との関係にも触れられているが、キリシタンの獰猛な振舞いは日本人にも意外に知られていない。
(古代ローマの)殉教者の多くは狂信者で、ローマの神々の神殿、祭壇や彫刻等を糞尿で汚すなどの無礼な行為や冒涜を行っていました。 16世紀末期、日本人はキリスト教信者に対し、ローマ人と同じ経験をしました。九州ではキリスト教の熱狂信者が、「偶象破壊」として仏教の崇拝物や経典を壊したり、仏塔を解体して薪にし、バテレン(伴天連、キリスト教宣教師)の風呂の燃料にしました。当時、キリスト教に改宗した日本人も仏像に排便した事をバテレンが書き残しました…そうした熱狂的殉教者は現在はカトリック教の聖人として、天で神に仕えています…

 来日した米国人宣教者ビリー・グラハムは、東京ドームにての集会の際、日本人クリスチャンに対し「十字軍の騎士を見習い、日本の社会をキリスト教社会に変身せよ」と訴えたことをホルガー氏のサイトで知った。欧米人の本性は19世紀と殆ど変らない、というのが私の自論だが、これは買い被りでひょっとして十字軍時代からあまり進歩していなかったのか。ホルガー氏は「幸運にも日本のキリスト教信者は、彼の教えに従って十字軍の騎士の様な犯罪者になる様なことはありませんでした」と結論付けているが、一部日本人信者には不可解な言動の者がいる。

 今年3月のネットニュースに、チベット騒動で「ローマ法王が事態の悪化を懸念している」と、中国外務省の秦剛報道官に言ったイタリア人記者がいたことが載っている。中共のチベット弾圧はともかく、共産主義や多神教を認めないカトリックの長の発言など、異教徒には重いものでないことが西欧人には理解できないらしい。ある日本人ブロガーも「ローマ法王、ヨハネ・パウロⅡ世の謝罪」と題した記事で、「欧米人は絶対に謝らない。だから日本人も外国へいったら謝ってはいけない。と、よく言われます。しかしパウロⅡ世はこんなに謝っているでは有りませんか?」と記している。何年もの海外滞在体験がありながら、ローマ法王を見習って気軽に謝罪するのが、外国人との友好に繋がると思うお人よしも未だに健在らしい。

 あるカトリック信者のブロガーは誇らしげに「宗教は不滅である」と書いていた。宗教は巨大ビジネスでもあるし、悩みのない人間はいない為、拠り所となる何かを求めたがるのだ。米国ではベトナム戦争時と同様、中東に赴く兵士に司教は祝福を与えているだろう。ホルガー氏の記事は実に意味深な言葉で結ばれている。「聖母マリヤと共に虐殺

◆関連記事:「マザー・テレサの実像
 「ヨハネパウロⅡ世
 「日本で受けないキリスト教

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6 コメント

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Unknown (えいいち)
2011-01-17 06:39:04
ものみの塔もここまで過激ではないけれど、教会批判をしています。主に教義とか、行動の業とか、dogmaticだからルターの批判の線で言っていると思わざるを得ませんが、ルター派の超正統主義ではありません。自由意志論者です。奴隷意志ではありません、もちろん。犯罪組織と断言されていますが、人間の罪の事を最大限に見ておられることのようだと感じます。教会は?と言うより教会を運行している、方向をリードしている人の人間の罪ではないでしょうか、カトリックと言うと聖人が出てきますが、聖人とは人間です、その中にいろいろな人が居り、いろいろな弊害がある、と言うことなのでしょう。つまり、教会の中で宗教的なことに関与するのではなく、世俗的なことに関与し、社会的地位とか、お金集めとか、ルターの時代の免罪符も、司牧者のヒエラルキアとか、教会内の、偉い地位、それを誇る態度、が元凶になっているのかもしれません。ただ、教会内の人も純真な誠実な態度で努力してきた人もいる、と思われるので、教会が全部悪いか、と言うのはと見たが、ものみの塔は教会は偶像崇拝を行なっている、聖体拝領のパンとぶどう酒は偶像に犠牲として捧げられたものだ、と神の見方、としているので、教会は全体的に偶像だ、とも言うこともできるというのに反していえないが、否定しない。聖体が偶像に捧げられたものと言っている、それは間違いではないだろう、あと教会は偽善だとしている「偽善の無い兄弟愛」と聖書に書いてあるのに、(ペテロ第一1:22)偽善だとしている、それも認める、カトリック思想史にも、ルター主義の誤りと現代精神というサイトにも、書いてあったが、カトリック教会批判は矛盾している、というより、カトリック教会はそのすべてにおいて、罪を犯してきたのではないかと思う。思わざるを得ない。カトリックだけでなく、プロテスタントも、上回る重い罪を犯している、と言わねばならない。カトリックより重い罪、人種差別や、予定説、運命の、とか、地獄や、カトリックに勝る、教会主義などだが、…
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えいいち さんへ (mugi)
2011-01-17 22:13:40
初めまして。

「ものみの塔」を読まれていたとは、あなたはひょっとして、「エホバの証人」信者さんでしょうか?少なくともコメントから、聖書やキリスト教会事情に通じていることは判る。非信者なら普通このようなコメントはしないし、月曜日06:39:04、改行もない長文コメント(はっきり言って見難いし、読み手を顧みない心情も浮かぶ)から、キリスト教を批判されての泡を食ったような反論も興味深いです。

「自由意志論者です。奴隷意志ではありません…」とあなたは仰いますが、己は自由意志と思い込んでいても、実は指導者からの巧妙な洗脳(又はマインドコントロール)がないと、どうして断言できるのでしょうか。また、あなたは教会そのものよりも、教会をリードしてきた人間に罪があると言いますし、私もそれは同感です。しかし、教会を運営してきたのは聖職者であり、指導者がいなければ教会は現代まで存続しなかった。聖職者が指導管理してきたからこそ、ホルガー氏は「教会は最大の犯罪組織」と断言したと思います。

 俗人同様教会内にも様々な人間がいます。純真な誠実な態度で努力してきた人もいたし、教会が様々な面で社会の恵まれない多くの人々を救済したのも事実です。そのため21世紀で教会は廃れないし、通う人々に不足しない。
 ただ、巨大組織の教会を指導するなら、「純真な誠実な態度で努力してきた人」は務まらないし、清濁併せ吞むリーダーが必要。そんなトップの決める「聖人」も、異教徒から見れば到底「聖人」に当たらない。異教徒を迫害、虐殺した者も「聖人」になっているのだから。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/a63092db74a991e8ff8414b31d67d710

 ものみの塔での「教会は偶像崇拝を行なっている…」の類の他宗派非難も興味深いですが、「エホバの証人」は方々で他宗教ともトラブルを起こしていますね。「その他いかなる宗教も、神の王国に敵対する偽りの宗教であると主張している」なら、それも当然でしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA

 異教徒の私からすれば、偶像崇拝禁止という教義にアレルギーがあります。キリスト教徒は神道や仏教、ヒンドゥー教を偶像崇拝と散々攻撃しますが、彼らこそ十字架を教会に掲げている。あれは飾っているのであり、敬礼しているのではない、と詭弁を並べますが、ならば十字架など掲げる必要もないし、下して燃やしてしまえ!と言いたくなります。掲げること自体、偶像崇拝そのものだし、だから十字架を踏んだり燃やすことも出来ない。

 ホルガー氏はドイツ人なので、キリスト教会の犯罪行為を描いたのですが、これはキリスト教会ばかりではなく、他宗教も同じ罪業を犯している。聖書にもユダヤ教徒の人種差別(近代まではそれが当たり前だった)、神殿主義が見えるし、イスラム、ヒンドゥー、仏教、儒教、宗教否定を教義にした共産主義も凄まじい犯罪を重ねた。これはドグマに憑かれた人間の業でもあります。
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「イエス・キリスト」は偽名 (高橋博志)
2011-03-05 14:56:24
お釈迦様=イエス・キリスト!
http://members3.jcom.home.ne.jp/rotch/
の著者です。
ドイツ語の「Talmud Jmmanuel」という本の記事
を調べていて、「イエス・キリスト」は偽名、釈迦牟尼の本名は文殊と結論しました。
もちろん私には絶対の確信がありますが、疲れ果てたので、皆さんで議論してみてください。
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RE:「イエス・キリスト」は偽名 (mugi)
2011-03-05 20:56:56
>初めまして、高橋博志さん。

 西欧の知識人どもの中にはキリスト教と仏教をこじ付け、前者こそ後者を生み出した等と主張する輩がいるそうですよ。神の摂理も知らぬ野蛮な東洋人風情に、宗教など生み出せないと考えているのやら。

 私はドイツ語は読めないので、何とも言えませんが、ドイツ人の一神教預言者に対するコンプレックスは相当なものがあるそうです。大体ドイツ人など古代ローマでは帝国周辺の蛮族だったし、その劣等感が東方アーリア人に出自を求めたくなったようで。私は以前、「ナチスとゾロアスター」という記事を書きましたが、ゾロアスターの他に釈迦までもナチスの広告塔に利用されたとか。気が向いたら↓をご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/814410759f6dcbe8bb8dcbd00a9b1500

 Talmudに関しては、ネットでも様々な情報が飛び交っていますね。その真偽はともかく、異教徒にとって物騒な内容なのは当然でしょう。
 あなたが「イエス・キリスト」は偽名、釈迦牟尼の本名は文殊と結論を下し、自説に絶対の確信を持つのはご自由です。もっとも浅学で門外漢の私には議論する気力もありません。
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節度と理性がないんでしょうか? (hyd)
2011-06-06 15:09:18
そう言えば「阿吽の呼吸」の阿吽はアーメンから来てるなんて主張してるサイトがありました。
また

>神の摂理も知らぬ野蛮な東洋人風情に、宗教など生み出せないと考えているのやら

の点ですが北宋社、吉田八岑著『吸血鬼』という本に書かれていたのですが北京原人が見つかり、その頭部には人肉食の痕跡が見つかった時
、西洋人は「東洋人の先祖は、それくらいやって当たり前」と主張したそうです。
(ただしネアンデルタール人やクロマニヨン人にも、その痕跡があったというオチ)

西洋人って何だか卑怯と言うか常にふんぞり返ってる様に思えてきてしまいます。
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RE:節度と理性がないんでしょうか? (mugi)
2011-06-06 21:57:05
>hydさん、

 阿吽までアーメンから来てる等と主張をするクリスチャンもいるとは…阿吽についてwikiでも解説があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E5%90%BD

『吸血鬼』という本は未読ですが、西洋人の主張はいかにも…ですね。シェークスピアの小説に『タイタス・アンドロニカス』があり、映画化もされましたが、敵の女にその息子達の人肉パイを食べさせるシーンがあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%82%B9

 ギリシア神話にも人肉を食べさせる話があるし、自分たちが行っていたから東洋人も同じと思っているのかもしれませんね。
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