十字軍をテーマにした映画を見てきた。
R.スコット監督の、批評は高かったが史実はデタラメの前作『グラディエーター』同様新作も観客好みの脚色で仕上がっていた。
前半はストーリーの展開が遅くて退屈だったが、後半、とくにエルサレム攻防戦は最大の見せ所。さすがスコット監督らしい骨太な史劇。映画館で見た方が迫力ある作品だと思う。
この映画の善役の一人は、なんといっても不治の病に侵されたエルサレム王ボードワン四世だろう。病で五体が崩れながらも高尚な精神を失わない。確かに彼がサラディンとの和平に気を使っていたのは事実だが、歴史にイフは禁句といえ、健康体だったらどうしていたのか想像してしまう。十字軍側の基本姿勢は「バイブルか、剣か」だったし、法王は「異教徒を殺害すれば天国にいける」などと檄を飛ばしていたのだから。
ルノー・ド・シャティヨンは明らかに悪役だが、このような男は別に十字軍の中では珍しくもないし、西欧人に人気のリチャード獅子心王も血も涙もない虐殺を行っている。ルノーがサラディンの妹を殺害したのはありえないが。人道主義からではなく、身代金がたっぷり取れるゆえ。
アメリカ映画だから、やはり西欧人の観客に受けそうな内容の映画が作られるのは当然だろう。字幕では“サラディン”となっていたが、サラーフッディーンと正式な呼び名だったのはよかった。
R.スコット監督の、批評は高かったが史実はデタラメの前作『グラディエーター』同様新作も観客好みの脚色で仕上がっていた。
前半はストーリーの展開が遅くて退屈だったが、後半、とくにエルサレム攻防戦は最大の見せ所。さすがスコット監督らしい骨太な史劇。映画館で見た方が迫力ある作品だと思う。
この映画の善役の一人は、なんといっても不治の病に侵されたエルサレム王ボードワン四世だろう。病で五体が崩れながらも高尚な精神を失わない。確かに彼がサラディンとの和平に気を使っていたのは事実だが、歴史にイフは禁句といえ、健康体だったらどうしていたのか想像してしまう。十字軍側の基本姿勢は「バイブルか、剣か」だったし、法王は「異教徒を殺害すれば天国にいける」などと檄を飛ばしていたのだから。
ルノー・ド・シャティヨンは明らかに悪役だが、このような男は別に十字軍の中では珍しくもないし、西欧人に人気のリチャード獅子心王も血も涙もない虐殺を行っている。ルノーがサラディンの妹を殺害したのはありえないが。人道主義からではなく、身代金がたっぷり取れるゆえ。
アメリカ映画だから、やはり西欧人の観客に受けそうな内容の映画が作られるのは当然だろう。字幕では“サラディン”となっていたが、サラーフッディーンと正式な呼び名だったのはよかった。
「事実は小説より奇なり」と申しますが、娯楽映画、それも西欧人(非イスラム教徒)向けの映画だと思いました。
冒頭で、自殺した主人公の奥さんの首を刎ねた神父を殺害する場面がありましたが、当時のキリスト教徒の感覚では、神父の行為こそ、正常なものなのかな、と勘ぐってしまいました。
また、エルサレム王ボードワン四世についても、サラディンとの和平に気を使っていたのは事実かもしれませんが、現在のイスラム教徒に向け、キリスト教の敵ではないという配慮のように感じました。
ルノー・ド・シャティヨンは明らかに悪役だと思いますし、このような男は別に十字軍の中では珍しくもないとも思いますが、それをいってしまっては身も蓋もありません。あくまでも娯楽映画なので、事実よりも、娯楽性に重点が置かれているように感じました。
(ボードワン四世没後、ルノーが開戦を決議する場面で、少し疑問に思ったのですが、当時は自勢と敵勢の兵力の多寡、食料などの物資、士気、地形等、を分析する、軍師のような存在は居たのでしょうか?有名な方をご存知でしたら、ご教授、願います。)
確かにMarsさんの仰るとおり西欧人向けの娯楽映画なので、史実の細かい事を指摘するのは筋違いですね。
自殺した主人公の奥さんの首を刎ねた神父の行為は、当時としては責められるものではなかったでしょう。
十字軍には浅学なので、西欧側の有名な軍師的な人物名は分かりませんが、そのような者がいたのは間違いないでしょう。
ちなみに、サラディンと対戦したバリアン・ティブランという信義を重んじる実在のフランス騎士はいました。おそらく彼がこの映画のモデルになったと思われますが、実際のバリアンは中東で妻と暮らしてました。彼がサラディンとの交渉を有利に進めた理由は善戦したからでなく、自分たちの要求が聞き入れなければ、岩のドームを破壊すると脅したから。
お返事、ありがとうございます。
>バリアン・ティブランという信義を重んじる実在のフランス騎士はいました
少し気になりましたので、「バリアン・ディブラン」で検索してみると、「アラブが見た十字軍」という本に、その人物に付いての記載があるそうですね。
下記のブログでは彼について、少し紹介されていますが、mugiさんのご存知の内容と同じだったでしょうか?
ttp://tikitiki.e-paradise.frenchkiss.jp/?cid=8260
5月27日の記事で『アラブが見た十字軍』について書いてます。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/96aa40669b43cd7a4382b8ff9da46e6c