荒井山から

札幌は荒井山に家がある。東京-札幌-旭川-富良野-札幌と異動。室蘭を経て札幌へ。江別に行きまた戻った。もうすぐ退社だ。

またジャック邪険

2015年05月14日 00時31分58秒 | 日記
第24回日プロ大賞 特別賞に旭川出身の品川徹さん
 主演女優賞は「私の男」の二階堂ふみさん


高い評価を受けながらも既存の映画賞では受賞に至らなかった、2014年公開の作品を対象に、映画関係者らが独自の視点による投票で選ぶ「日本映画プロフェッショナル大賞(日プロ大賞)」の第24回授賞式が5月9日夜、東京・新宿の映画館「テアトル新宿」で開かれました。

ベストテンは、キネ旬ベストテン1位の「そこのみにて光輝く」を除いて選考した結果、
①百円の恋
②私の男
③ほとりの朔子
④愛の渦
⑤野のなななのか
⑥ぼくたちの家族
⑦海を感じる時
⑧ニシノユキヒコの恋と冒険
⑨水の声を聞く
⑩おとぎ話みたい
⑩東京難民
と、北海道ロケの「私の男」「野のなななのか」が選ばれました。

また、個人賞はキネ旬の監督賞(呉美保監督)、主演男優賞(綾野剛さん)、主演女優賞(安藤サクラさん)を除いて選考した結果、
作品賞=百円の恋
監督賞=武正晴(「百円の恋」)
主演女優賞=二階堂ふみ(「私の男」「ほとりの朔子」)
主演男優賞=池松壮亮(「愛の渦」「海を感じる時」ほか)
新人監督賞=山戸結希(「おとぎ話みたい」「5つ数えれば君の夢」)
新進女優賞=武田梨奈(「祖谷物語-おくのひと-」)
話題賞=「劇場版テレクラキャノンボール2013」チーム
特別賞=品川徹(「野のなななのか」、長年の俳優活動に対して)
と、北海道ロケ作品から二階堂ふみさんと旭川出身の品川徹さんが選ばれました。


授賞式には、受賞者全員と花束のプレゼンターとして監督や共演者が出席しました。
特別賞の品川さんには、「野のなななのか」の大林宣彦監督と共演の常盤貴子さんが祝福に駆けつけました。

奇しくも5月9日は昨年の道内先行公開前日で、札幌で同じ顔ぶれによる前夜祭が行われた日でした。大林監督は「去年の今日は、みんなで北海道で上映ツアーをやってたね」と、品川さんの肩を抱きながら振り返りました。おふたりが最近見た、チェチェンでの戦争を描いた公開中の映画「あの日の声を探して」について、品川さんは「悲しいを通り越した過酷な現実を見せられて、戦争がこんなにひどい状況かと、あの映画で描かれた世界が信じられない。為政者というのは政治的思惑で戦争をしかけるが、まさに戦争犯罪人と言って差し支えないような、そういう人たち」と話し、大林監督は「それを映画で見ると世界に伝えられる。われわれが老人だから描かなきゃいけないものがあって、野のなななのかも、それをきちんとやったよね」と応じました。

芦別のみなさんからは「品川さん、受賞おめでとうございます。私たちは品川さんを語り手に迎え、明日を生きる子供たちに語り伝えたい芦別の物語や町の姿を、一本の作品に結晶させることができました。この作品を通じてふるさとや映画を愛する人たちと出会うことができました。品川さん、また帰ってきてください。お帰りなさいと迎えます」というメッセージが寄せられ、大林監督が壇上で披露してくれました。

また、常盤さんはロケ中の思い出をこんなふうに話してくれました。
常盤さん「ロケをしていた芦別のホテルで、品川さんと隣の部屋でした。1か月間、毎日毎日、朝なんですけど品川さんの長ぜりふが聞こえてくるんです」。
品川さん「台本をいただいて、え?こんな長ぜりふあるんだ、と一月くらい前から覚えだしたんです。あのシーンは撮影の最後。1日では無理だから3日に分けてほしいと監督に申し上げたんだけど、あれを最後に持ってくるのは…」。
大林監督「その緊張感を撮影中ずっと持ってほしいから最後に持ってったのね」。
品川さん「撮影のない日は部屋の中やロビーでせりふを練習せざるを得ない心境なんですね。常盤さんは部屋にいて、長ぜりふの練習がお邪魔してたわけね」
常盤さん「はい、聞いておりました」、
こんな軽妙なやりとりが、来場者を湧かせました。

公開中の「龍三と七人の子分たち」では、ダンディーな拳銃使いの元親分「早撃ちのマック」を演じている品川さん、今年80歳になりますが、ますますお元気な姿を見せてくれることを期待しましょう。

主演女優賞の二階堂ふみさんは、「私の男」の熊切和嘉監督との出会いについて、「初めてお会いしたのが16歳の冬。いろんな葛藤みたいなもの、果たして私は映画をつくる人間として本当にやっていけるのかという心配もあったし、いろんなことに悩んでいた時期。でも熊切さんに会って初めて目があった時から、この人とは絶対に一緒にやらなきゃいけないと思ったし、そこからずっと思い続けて、ベネチア映画祭で一緒にやりたい監督について尋ねられた時も、熊切さんと答えたし、2年越しの思いが通じてご一緒でき、思い出のある運命の作品だな、と思います」と話しました。

また、斜里町ウトロでの流氷の海に入る撮影については「寒かったです。浅野忠信さんが寒いところにたくさん行かれてたので、どうなんですか? と聞いたら、寒いと思えるうちはまだ幸せなんだよね、とおっしゃっていて、寒さにも奥があることを知りました。すごい貴重な体験だったなと思います」と振り返りました。最後に「これからもいろんな人と出会って、いろんな作品をつくっていけたらいいなと思います」と話してくれました。今では日本映画を代表する若手女優になった二階堂ふみさん、これからどんな表情を見せてくれるのか、本当に楽しみです。

授賞式に続くオールナイトでは「百円の恋」「私の男」「おとぎ話みたい」の3作品が上映され、その緊張感の連続に一睡もできなかったのは言うまでもありません(一瞬寝ました)。

(加藤敦記)