荒井山から

札幌は荒井山に家がある。東京-札幌-旭川-富良野-札幌と異動。室蘭を経て札幌へ。江別に行きまた戻った。もうすぐ退社だ。

モエレ沼公園も

2010年11月29日 21時23分38秒 | 映画

T0009088 「レオニー」29日、ユナイテッド・シネマ札幌

 1901年、レオニー・ギルモア(エミリー・モーティマー)は米国の名門女子大を卒業し、教職に就いていた。彼女はニューヨークで新進気鋭の日本人詩人ヨネ・ノグチこと野口米次郎(中村獅童)に雇われ、念願の編集者になる。やがて、二 337305_004 人は愛し合うようになり彼女は妊娠するが、米次郎は日本へ帰国してしまう。 一人残されたレオニーは、未婚のまま男子を産む。そして日露戦争を経て日本人への差別が激しくなると、幼い息子と共に日本へ旅立った。

 原作はドウス昌代の「イサム・ノグチ~宿命の越境者」。世界的彫刻家イサム・ノグチの母親レオニー・ギルモアの波乱の生涯を描いた。「ユキエ」折り梅」の松井久子監督が、7年かけて完成させた。出演は原田美枝子、竹下景子、吉行和子、柏原崇など。永田鉄男が撮影。音楽はヤン・A・P・カチュマレク。

 映像の美しさが印象的だ。日米における夫婦、男女間の文化、考え方について考えさせられる。明治後半ならまだま337305_003だ男尊女卑の風潮が強く、米次 郎がレオニーが来日する間に妻をもらっていたなんてことも平気で起こる。まあ、逆にその逆境をバネにして(せざるを得ない)生きていく彼女の強さが息子に手渡され、不条理に負けないで人間が持つべき普遍性が息子のつくる芸術に結実したともいえる。すんなり行かない方が芸術にはいいのだろうか。いや、それをWallpaper1280_01成功させたのは彼女の強さがなせる技であろう。そういう点で、エミリー・モーティマーはうまく演じきったし、逆に中村獅童が小さく見えた。

 モエレ沼公園のシーンも美しい。


ホラーのリメイク

2010年11月29日 21時22分47秒 | 映画

T0009249 「クレイジーズ」29日、ユナイテッド・シネマ札幌

 細菌兵器を積んだ軍用機が米国の小さな町の川に墜落した。ウイルスが漏れ出し、飲み水を通して感染した住人たちが、次々と凶暴化し、町はパニックに陥る。保安官デヴィッド(ティモシー・オリファント)は同僚らと共に脱出しようとするが、軍は事態を秘密裏に処理しようと、町全体を封鎖、感染者を隔離する。ウイルスの潜伏期間は4T0009249a8時間、次第に感染者、非感染者が対立し、そこに軍隊が町を包囲していく。

 ジョージ・A・ロメロ監督の「ザ・クレイジーズ」(1973年)を基にリメイク。ブレック・アイズナー監督で、ロメロも製作総指揮。全米第3位のヒットを記録したという。結構、無慈悲なえぐいシーンもあるが、なかなかの恐怖を味わえる。これは夏向きかも。この手のものは敬遠しているのだが、やはりオリジナル作品を少しだけ見てみたくなる。


揺るがぬ名作

2010年11月28日 19時58分04秒 | 映画

101215_028 「飢餓海峡」28日、蠍座

  昭和22年9月20日、台風の最中、北海道岩内で質店一家三人が惨殺され、犯人は放火して姿を消した。、青函連絡船が嵐で沈没し、乗客の遺体が収容される。しかし、その数が名簿より2体多い。ベテラン刑事の弓坂(伴淳三郎)は、転覆のどさくさで起きた殺人事件とみて、執念の捜査を続けていく。そして10年後、事件当時は犬飼多吉と名乗っていたが今では舞鶴の澱粉工場主となっていた樽見京一郎(三國連太郎)は事件当時の彼を知る遊女(左幸子)と偶然再会する。
   原作は水上勉の同名小説。1962年の1年間週刊朝日に連載し、その後加筆して63年に刊行した。内田吐夢監督。鈴木尚之が脚本。撮影は仲沢半次郎。
  16ミリで撮影したモノクロ・フィルムを35ミリに引き延ばすなど特殊な技術処理をして、粗い画面で戦後・日本の心の飢餓状態を浮き彫りにしている。

 すべていいのだが、樽見が最後に海に飛び込むのがどうも結末を細くみせている気がする。ここからって感じだったのに。土台、こんなに刑事が隙だらけとは考えにくい4988101096831 けど。

昭和29年9月26日、台風15号による洞爺丸沈没と岩内大火の二つをうまく結びつけたアイデアに敬服する。刑事役の伴淳が笑わせることなく、いい味を出している。恐山の情景描写などは、「大菩薩峠」に通じる内田監督の仏教的指向を滲ませる。犬飼を泊まらせたときの左幸子の転げ回って笑うシーンに、違和感を感じるのだが、今考えるとむしろ彼女が持つ純粋さを感じる。いや、左は三国が切った爪をほおずりするシーンがあるが、こちらの方が凄いか。フェチシズムの頂点だろうか。

 なお、犬飼の出身に関しての描写はカットされている。堀口刑事(関山耕司)が味村刑事(高倉健)に犬飼の出身地の話を簡単に報告するシーンがあるだけだ。このカットについては監督と会社側の対立があったそうだが。

 それにしても1964年の東映作品とくれば、なるほど。高倉健のほか関山耕司、沢彰謙、山本麟一、八名信夫など知った顔が出てくるのがうれしい。

 そして、三国連太郎の演技も言わずもがなだが素晴らしい。嘘で固めた生き方を、必死で取り繕う。


夫の思い出

2010年11月28日 01時06分22秒 | 日記・エッセイ・コラム

津村節子講演会 27日、北海道文学館

津村氏は1928年、福井市生まれの作家。1965年に「玩具」で芥川賞受賞。戦後、学習院短大に入学後、大学の文芸部の委員長をしていたのが吉村昭氏だ。「学習院文藝」「はまゆふ」「赤繪」の同人として共に文学活動をしていて、53年に結婚した。

 福井の家族の話や、吉村氏との出会いなどは「ふたり旅」に詳しい。平原一良副館長が聞き手となってエピソードなどを披露していた。

 20101127154548 大学の文化祭などに来てもらった八木義徳氏との交流の様子、同じ女流文学者仲間の原田康子氏との交流など貴重な話が聞けた。桜田門外の変や破獄などを例に「そこの土が赤土か黒土かと。馬による土埃の描写が違ってくる。目で見たことを信用した」という話に納得した。

 あ、そうそう、ネクタイを見たてるのかと聞かれ、夫自ら銀座の田屋で買っていたと明かしていた。

 結婚直後に行った行商の旅は有名だが、その時売ったセーターのチラシが、この日から始まった吉村昭展にあった。よく取ってあったと思ってたら、やはり津村氏も「石巻のちらし、ちゃんと取ってありました」と笑って答えていた。確かこの辺りの話は「玩具」の前年に出た「さい果て」に結実している。


心理描写

2010年11月28日 01時05分21秒 | 映画

「ストーン」26日、ユナイテッド・シネマ札幌

 仮釈放管理官のジャック(ロバートT0009318・デ・ニーロ)は妻のマデリン(フランシス・コンロイ)とデトロイトに長く暮らし、日曜ごとに教会に行くなど決まり切った日常を暮らしていた。定年を間 337879_013 近に控え、祖父母殺しと放火の受刑者ストーン(エドワード・ノートン)を最後に担当することになった。ストーンは刑務所暮らしにうんざりしてジャックの質問にいらだちをぶつける。毅然とした態度のジャックに対し、このままでは仮釈放を得られないと思い、妻のルセッタ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)にジャックを誘惑させようと画策した。ルスセッタはジャックにしつこく近付き、目的を達する。

 仮釈放管理官の人生が崩れていくだけでも物語になるが、一方の受刑者が自己啓発で変わっていく様が対比されていて、どうにも息の詰まる展開だ。やはり二人の演技がいいからだろう。T0009318q 心の動きをきちんと表現していることで見る者を引っ張る。 ジョン・カーラン監督。337879_00394x94

 ジョヴォヴィッチもバイオハザードなんかのアクションものより、魅惑の悪女ぶりで光っている。虚実一体の展開をうまく担っている。

 フランシス・コンロイも夫婦の息苦しさをうまく醸し出している。それにこの舞台がデトロイトだが、南部のような宗教色と自宅のポーチで酒を飲むシーンが、息苦しさを倍加させている。


人生そのもの

2010年11月28日 01時03分56秒 | 映画

「約束の葡萄畑 ある醸造家の物語」25日、シアターキノ

 19世紀フランス、農夫ソブ002_2ラン(ジェレミー・レニエ)はブルゴーニュ地方で自分のワイナリーを持ち、最高のビンテージワインを造ることを夢見ていた。野心を燃やすソブ ランは、ヴリー伯爵に自分を売り込むが一笑に付されてしまう。一方、父親の反対を押し切って、村娘のセレスト(ケイシャ・キャッスル=ヒューズ)と結婚した。彼はある真夏の夜、天使のザス(ギャスパー・ウリエル)に出会う。彼らは再会を誓い、1年後にその約束を果たす。ザスは毎年同じ夜、同じ場所で会うことを条件に、ソブランに土壌=テロワールの大切さとワイン造りの奥義を助言する。翌日、ソブランは家の近くの痩せた土地を開墾し、葡萄樹を植え始める。月日が流れ、18155年のヴィンテージをもつ彼のワイン004 は、ザスも認める味わいとなった。ヴリー伯爵もソブランのワインの味を認め、彼の姪でパリから戻ってきた男爵夫人のオーロラ(006ヴェラ・ファミーガ)も一目置くようになる。

 2009年、ニュージーランド、フランス作。ニキ・カーロ監督。原作は同監督の母国ニュージーランドの作家であるエリザベス・ノックスのベストセラー小説「THE VINTNER’S LUCK」。脚本はジョーン・シュッケル。

 ブドウ作りは失敗と成功を重ねる。まさに人生そのもの。この辺りの苦労はブドウの苗を霜から守る様子など、うまく描かれていた。また、ワインのうまさをどうやって表すか。オーロラへワインの味わい方を手ほどきするシーンがいい。目隠ししながら味の特徴を並べる。まさに官能的とも言えるシーンだ。

 それにしても苦労と成功の物語でもいいようなものだが、天使の存在が何とも不思議な013感じにさせられる。正確に言えば堕天使だそうだが、これは誰しも「ベルリン天使の詩」を想起するだろう。まあ、話は膨らむんだが、男色系なんでちょっと鼻白むかな。ギャスパー・ウリエルは若手イケメンの有望株だが、それにしても人間になろうとして羽を切り取るとは。傷が生々しいのが少々笑える。また、ブドウ作りには大いに貢献しているが、主人公の娘を助けられないなど、天使は万能でないというのも、なるほどと思える話だ。

 フランスのシャト003ーに限らず、ブドウ  作りは土地と天候との格闘だ。つまり風土。だから人びとを離さないのだろう。

 


怒鳴る優

2010年11月24日 20時41分08秒 | 映画

「雷桜」24日、ユナイテッ1008059_01ド・シネマ札幌

 将軍徳川家斉の十七男に生まれた斉道(岡田将生)。母を亡くし親の愛情を知らずに育った彼は心に病を抱えていた。療養を兼ねて家臣の瀬田助次郎(小出恵介)の故郷・瀬田村を訪れ、天狗が住むと言われる瀬田山で女の天狗(蒼井優)と出会う。天狗は006幼い頃に誘拐され、山奥で育てられていた瀬田助次郎の妹の遊だった。奔放な遊に斉道は惹かれ、 雷に打たれて銀杏の芽が出た巨木の雷桜の前で、二人は恋に落ちた。

 廣木隆一監督。原作は宇江佐真理の同名小説。そのほか柄本明、時任三郎、宮崎美子004、村上淳、高良健吾、大杉漣、ベンガル、池畑慎之介、坂東三津五郎など。

 蒼井優の怒鳴り声は非常に男っぽい、いや少年ぽい。馬乗りもなかなかで感心。それはそうと、格闘の直後、岡田将生に口移しで水を飲ませるかね。岡田もその後、蒼井に「愛してる」はないでしょ。江戸時代なんだからさあ。「愛」かよ。これじゃあ、別に江戸時代に設定しなくてもいいんじゃないか。ちょいと甘口過ぎました。それに時任三郎の設定が微妙にはっきりしなくて、必然性の点で、あとから何でまた出てくるのと首をかしげた。柄本明の自害も悪くないんだが、前後における周囲の切迫感が描かれ無ければ、どうも無駄死にじゃないのかと思えてしまった。それはそれで生かされた結末になっていくのだが、少々唐突か。

 蒼井優も皮の覆面をしていたら、もののけ姫だな。桜とかクローバー畑とかなかなかロケ地は良かった。003   005


ろくろのシーンに秘密あるの?

2010年11月22日 20時01分29秒 | 映画

002  「ゴースト」22日、ユナイテッド・シネマ札幌

 会社経営者として忙しい毎日を送る星野七海(松嶋菜々子)は、ある晩、陶芸を学ぶために来日していた韓国人青年ジュノ(ソン・スンホン1008331_01)と出会う。やがて二人は運命的な恋に落ち、二人だけの結婚式を挙げ、新しい生活をスタートさせる。だが、七海はひったくり犯のバイクで事件に遭い、突然命を落とす。天国からの迎えが訪 れるが彼女の魂は天国へ行くことを拒み、地上でゴーストとなって愛するジュノのそばに寄り添う。

 1990年公開の「ゴースト ニューヨークの幻」をリバイバル。ウーピー・ゴールドバーグの役を樹木希林が演じる。話題の戸田愛菜も登場。脇がいいので映画としても助かっただろう。鈴木砂羽は悪役で、恨まれ損な役回り。

 これはこれでい337031_00894x94い。平井堅の歌声が耳に張り付く。T0008927aただ、そういえば、パトリック・スウェイジとデミ・ムーアによる焼き物づくりでろくろを回すシーン。これがどうなるこうなると、映画の完成発表か何かの会見で言いそうになっていたが、結局何よ。もしかしたら、「ムーミン」を描いたシーンなの。それとも後ろからソン・スンホンが手伝ったシーン? ならオリジナルと同じじゃないか。よく分からん。

 


焼け木杭

2010年11月22日 20時00分27秒 | 映画

T0008952  「行きずりの街」22日、ユナイテッド・シネマ札幌

 郷里で塾講師をしている波多野(仲村トオル)は、失踪した塾の教え子広瀬ゆかり(南沢奈央)を捜すため、再び東京へ向かった。東京に着いた波多野はゆかりが住む高級マンションを訪ねる。だが、何者かに物色された痕跡を発見し、失踪事件の背後に自分の過去と関係していることを知る。彼は12年前、教師をしていた都内の名門女子高である敬愛女学園を追われた過去があった。そして、かつての学園関係者が出入りしていた六本木のバーを訪れる。だが、そのバーを経営していたのは別れた妻の雅子(小西真奈美)だった。

 1992年の「このミステリーがすごい!」第1位337056_008 となった志水辰夫の原作を阪本順治監督が映画化した。石橋蓮司、窪塚洋介、佐藤江梨子、菅田俊、谷村美月、杉本哲太、ARATA、江波杏子。337056_002

 どうも険しい顔をしていればハードボイルドだっていうのが気にくわない。それにダークな色調も。あれだけ走っても汗も大したかかないし、髪もほとんど乱れない(これは映画だから許すが)。そもそも主人公が何に堪え忍ぶのか。 よく分からない。女のせいで学園を追われ、その後一緒になっても彼女と別れざるを得なかったというつらい過去があるのは分かるのだが(別れたのも一緒に故郷に行けなかったという)。結構薄っぺらだよ。だから、過去は薄っぺらだとしても、今、何をどう埋めていくためにもがき苦しむのかが分からない。切実な気持ちが伝わらない。これじゃ、学園を牛耳ったやつらへの復讐と元妻との復縁が柱になってしまう。折角、元妻=教え子を救えなかった過去を持つのだから、ここは広瀬ゆかりをどうしても救いたいということで故郷から出てきたのだから、この困難さを全面に出すべきだろう。でも、結局、映像的でないから描き方がいまひとつ。どうも全体に物事がうまく流れすぎで、ご都合ぶりというT0008952a 批判は屁の河童だろうが、何か焼けぼっくいに火が的な復縁物語に終始していたのが残念だ。そもそも波多野は元妻のバーの場所を知ってて、会いに行ったのか。それとも偶然なのか。よく分からなかった。

 つまり、原本を読まなければ、「このミス1位」の価値は分からないということだろう。映画が悪いというのではなく、別に原作云々を言わなければ、まあ普通に見ることができる。

 小西真奈美337056_007の目はどうして戦争直後の漫画のような目をしているのだろうか。ずっと気になっていた。目そのものが小さく、それで白目部分も少ないからと思っていた。または黒目部分の面積が大きく、白目部分が少ないからと思っていたのだが。結論としては、彼女は目が充血しや337056_009すく、白い部分の白さが飛んでしまいやすいのだと思う。違うかな。


予告編で十分

2010年11月21日 18時10分40秒 | 映画

「さらば愛しの大統領」21日、ユナイテッド・シネマ札幌

 お笑い芸人の世界T0008645のナベアツは、大阪府知事選挙に立候補し、当選してしまう。日本から独立国家宣言をして、大阪合衆国の初代大統領に勝手に就任してしまう。一方、大阪府警にはナベアツ大統領の暗殺予告が届いていた。府警の早川刑事(宮川大輔)と番場刑事(ケT0008645aンドーコバヤシ)が捜査に乗り出した。

 世界のナベアツが映画監督に初めて挑んだ。

    これも最後の方で寝てしまった。確かに爆笑の連続で、若い女の子は転げ回るほど笑ってたが。眠いものは眠い。緊張感がなく、本当に面白いものじゃない限り、最近はちょっと寝てしまう。

 ナベアツが会見で放送記者の吹石一恵を「そこのきれいなあなた」と指すと、後ろのモリマンの種馬マンが立ち上がるシーンが、何度見ても笑える。実にいいタイミング。それと、両刑事が最初に登場して、銃を乱射する犯人に呼び掛けるシーン。これも笑える。まあ、結局は予告編で十分か。


3億円事件

2010年11月21日 18時06分58秒 | 映画

101215_027  「実録三億円事件 時効成立」21日、蠍座

 博奕と女にだらしない西原房夫(岡田祐介)は証券会社の運転手をしていたが、会社の金400万円を横領し、競馬につぎ込んでしまった。情婦の向田孝子(小川真由美)がダイヤの指輪と土地を売り、金を返済してくれ、刑務所行きは免れた。二人は同棲するが、借金に追われていた。西原は3億円強奪の準備を整えていたが、孝子は話を聞かされ、一緒に行動することにした。多摩農協にカモフラージュ用の脅迫状を出し、金持ちの女久住みどり(絵沢萌子)を誘惑し、百万円だまし取り、着々と車や白バイ警官の衣装を用意していた。そして計画を見事に成功させた。葛木刑事(金子信雄)は、不良退職者のリストを地道に洗っていて、西原51fudyxvd2l__sl500_aa300_の名も上っていた。時効間近になり、西原は久住から100万円を返さなければ警察に訴えると脅される。仕方なく金を隠していた山梨の墓地に向う。そこには孝子がいた。

 1975年、東映。昭和43年12月10日に発生した三億円事件を土台にして、犯人像を作り上げた。原作は清水一行の「時効成立」。脚本は小野竜之助、監督は石井輝男。撮影は出先哲也。

 風邪薬を飲んでいたせいか、後半は爆睡した。金子信雄がいい味出していたが眠いものは眠い。それにしてもこういうギャンブル、女好き人間は計画性に乏しく、とても計画をやり遂げられないだろう。事件の亜流である後日談的、おとぎ話として見る方がいい。


吉典ちゃん事件

2010年11月21日 18時04分52秒 | 映画

101215_026 「一万三千人の容疑者」21日、蠍座

 明彦ちゃんという子供が誘拐されたとの情報に、下谷署は捜査本部を設置した。工務店を経営する自宅に、東北なまりの男が身代金50万円を要求してきた。指定場所に張りこんだが犯人は現れなかった。その夜、警視庁の堀塚部長刑事(芦田伸介)は、若い高井刑事(田畑隆)と一緒に自宅を訪ねた。母親の村山敏子(小山明子)はつらさを隠し、気丈に振る舞っていた。1週間後、例の男が50万円を要求してきた。だが、今度は犯人を捕まえられず、しかも50万円は消えてしまった。捜査陣の失態に世間の非難の声が渦巻いた。公開捜査に切り替え、1万3千人のブラックリストが作成され、身辺捜査が始まった。その結果、時計職人の小畑守(井川比佐志)に迫った。小畑は50万円が消えた翌日、情婦の千代(市川悦子)に20万円を渡していた。だが、クロと断定できる証拠は揃わなかった。捜査本部は縮小したが、堀塚は諦めなかった。そして彼の供述の矛盾を発見した。

 1966年、東映。1963年発生、65年に解決した「吉展ちゃん事件」の主任刑事、堀隆次の同名の捜査手記を原作に、長谷川公之が脚本。関川秀雄が監督。撮影は飯村雅彦。そのほか稲葉義男、織本順吉など。

 吉典ちゃん事件を題材に警視庁の刑事が奮闘する。芦田伸介の部長刑事、やはりこういう映画は眠くならない。


ある意味清々しいが

2010年11月20日 23時42分20秒 | 映画

「ふたたび」20日、札幌劇場337248_017

 貴島健三郎(財津一郎)は78歳になり、ハンセン病の療養所を半世紀ぶりに退院した。落ち着 T0009144a  き先は息子(陣内孝則)の家。孫の大学生大翔(ひろと、鈴木亮平)には、祖父が生きていたこと自体が初耳で、どう接するか家族共々戸惑っていた。だが、その健三郎が子ども頃から聴いてジャズの道を歩ませた原因の一つだった、ジャズバンド「COOL JAZZ QUINTETTE」のトランぺッターだったことを知り驚 き、次第に身近な存在になっていった。健三郎はある日、バンド仲間探しの旅に出ると言い出337248_022した。大翔は車で送り、ついにはその長い旅に付き合うことになった。

 財津一郎のほか、犬塚弘や藤村俊二、佐川満男などいずれも音楽に関係深い俳優が出演。渡辺貞夫までも友情出演する。塩屋俊監督。そのほか古手川祐子、MINJI。

 演奏シーンは確かに犬塚らトランペットやトローンボーンは運指や口の337248_013形からして厳しい。でも、そんな小さなことを感じさせない物語だと思う。いいじゃないか、ハンセン病の現実を考えれば、これが現実かどうかは問題ではない。子供の話や仕事や就学も含め、ほぼ同じような差別の歴史があった。それをこういうロードムービーで若い俳優とベテラン俳優がぶつかり合うのは見ていてとても清々しかった。

 MINJIの看護師と、健三郎と一緒にいたピアニストの二役は出過ぎず、抑制的で良かった。

 まあ、それでもハンセン病という、この事実の重さは否定できない。健三郎より一足先に退院した友人が釣りをしながら語るシーンで、「もう少し早く出られたら。勝負したかった」という旨の台詞を織本順吉に言わせる。これまた重い。

 なお音楽上の舞台が神戸。ジャズクラブは「SONE」。行ったことないけど、有名店だ。 監督の話だと、震災から立ち直った事実と主人公の再生をシンクロさせたいという意図があったという。T0009144


今を大事に

2010年11月20日 23時40分37秒 | 映画

「メッセージ そして、愛が残る」2337314_0010日、札幌劇場

 ニューヨークの法律事務所に勤めるエリート弁護士のネイサン(ロマン・デュリス)は、ある日幼い息子を突然死症候群で亡くしてしまう。彼はその事実に耐えられず、妻(エヴァンジェリン・リリー)を無言で責め、妻と娘(サラ・ウェイスグラス)を省みないで仕事に没頭し、ついに妻子は別居してしまう。そんな彼のもとに、セントルイス病院の医局長ジョセフ(ジョT0008374a  ン・マルコヴィッチ)が訪れる。人の死を予見できるというジョセフの不思議な力を見たネイサンは、自分にも死期が迫っていると悟る。限られた命を前に、彼は別れた妻との絆を取り戻そうと、ニューメキシコにいる家族のもとへ向かう。

 原作はフランス人作家ギヨーム・ミュッソのベストセラー小説。新鋭のジル・ブルドス監督。撮影監督は「ノルウェイの森」が待っているリー・ピンビン。音楽は「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のアレクサンドラ・デスプラ。独仏加作。337314_002

 最近の映画の中では、抜群に印象深い。人は失ったときに初めて、その失ったものの価値を知る。その間違いに早く気が付き、一瞬一瞬を生ききることが大事なのだが。

 ネイサンには少年時代の交通事故での臨死体験があるのだが、随分リアルな事故の描写にまず驚く。心筋ががんに冒された高校生の姿など、ターミナルケアの描写も胸に響く。静謐の中にとても深いメッセージがある映画だ。とにかく見るべし。


魚肉ソーセージ

2010年11月19日 19時25分55秒 | 映画

9ebace4c5a8fe77c87047b222fb31bc0 「フラレラ」18日、ユナイテッド・シネマ札幌

 デビュー15周年を迎えたBONNIE PINKが6人のクリエイターによってリレー式ショートムービーを共同制作した6つの話。主演は佐藤江梨子で、「フラれる」という体験を通じて彼女が成長する姿を各監督が描いた。出演者は鶴見辰吾、リリー・フランキー、ベンガル、日村勇紀(バナナマン)、八嶋智人。

 監督は竹内鉄郎、信藤三雄、柿本ケンサク、箭内道彦、森りょういち、中島哲也。

 1500円の特別料金だったが、真ん中で寝てしまった。八嶋(森、アニメ1f3c48d0fc6421e24a5ce664dd83a03b )、リリー・フランキー(箭内)の出ている2つだな。

 面白いと思ったのはインターネットによる書き込みの話。監督は中島。最初はきれい事で済ました書き込みとその返事。だが、ひとたび戦闘的になると、エスカレートする。その原因は匿名性だ。これはなかなかの作品。それにしてもよく出てくる魚肉ソーセージって何なんだ。1500円も出すんだから、魚肉ソーセージのプレゼントがあっても良かったのではないか。