年末に放映されたテレビのなかで、やはり戦争に関連ある番組に関心があって視聴した。その感想の一端をメモしておきたい。
●12/28の10ch(読売テレビ)18:30からのスクープで「お前は誰だ? 金正日が恐れる男=リ・ジュン」から。
ジャーナリスト石丸二郎氏との出会いが機縁となった脱北者の青年がジャーナリストになることを自覚し、再び北朝鮮に潜入する。祖国の実態を世界に知らせるために、石丸氏から与えられたビデオカメラで決死の取材を各地を廻って撮影した最近のビデオテープを編集・放映したもの。
配給制度の崩壊とともに飢餓寸前で栄養失調になった民衆の姿。集積場で拾い集めた落ちこぼれの肥料やゴミ捨て場の空ビンを売って食糧を買う人々。孤児となった子供たちがスリや万引をして生きている姿。起き上がる元気もなく横たわる下級兵士の近くで踊りまわる人々。そこには自由を渇望する姿がある。警察官に刃向かう若者の姿も映されている。
核実験後に決行した労働党幹部への取材で「強盛大国とは核保有国になることだ」という言葉が発せられる。夏のミサイル発射実験といい、軍事力を高めるために莫大な予算をかける金政権の現状は、明らかに民衆の犠牲において権力を維持・強化することが目的であり、それは戦前戦中の日本の姿でもあった。
北朝鮮で唯一人のジャーナリストリ・ジュンは、誰もが自由平等になり、家族が安心して暮らせる国になるまで、明日を信じて取材を続ける決意を固めているという。
改めて北朝鮮の実態を知るために、図書館で『北朝鮮・狂気の正体=金王朝の謀略と崩壊の行方』(深田祐介・萩原遼/扶桑社・2003刊)を借りて読むことにする。
●同じく10chで12/29、18:30からの「太田総理と秘書田中」では、前にも紹介した爆笑問題・太田光の共著「憲法九条を世界遺産に」がテーマとなっていた。政治家やタレントたちが議員となって総理の提案を議題に討論したあと投票で賛否を決める段取りになっているのだが、憲法九条改定には15対13で改定賛成が多かった。太田は口角泡を飛ばして憲法擁護の主張をしていた。
一つ意外だったのは、ゲストとして出演した硫黄島生き残りの高齢者が、硫黄島の激戦は地獄であったと言いながら軍備賛成の意見を述べたことであった。靖国神社へA級戦犯が合祀されていること、孫が軍隊に徴兵されることも賛成という。その理由を詳しく聞けなかったが、歴史観に問題があると感じた。歴史から学ばずに同じ歴史を繰り返してはならないと思う。
硫黄島生き残りの兵士が遺した「祖父の硫黄島戦闘体験記」
http://www5f.biglobe.ne.jp/~iwojima/index.html
にアクセスして、もっと詳しい情報を確認することにしたい。
●2ch(NHK)12/30の「ようこそ先輩・課外授業」で金子兜太(85才・俳人)がトラック島の激戦で生き残った体験を小6の生徒たちに語りながら、餓死寸前の日本兵たちの体が縮んでいって葉っぱのようになったこと、いのちが一番大事であること、この世の中のあらゆるものが生きていること、自然のすべてと抱き合って伝わってくるものを俳句に詠む体験学習を教えていたのが感動的であった。