この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#99マーガレット・サッチャー著「回顧録」Ⅱ(デニス・サッチャー卿)

2005年05月25日 | 歴史

この回顧録の中には、多くの写真が掲載されている。きっと一つ一つをサッチャー夫人も選んでのことであろう。夫君デニス・サッチャー氏と写っているこの写真は私が好きな写真の一つである。

この写真は、多くの写真の最後から2枚目の写真である。首相官邸でサッチャー首相がお別れのスピーチをしているところのようである。ここでも、夫君デニス・サッチャー氏(以下デニスと呼ぶ。)が彼女にきちんと付き従っている。デニス氏も感無量という表情をしている。

夫のデニスが大写しになっているこの写真には、これをを選んだサッチャー夫人の夫へのねぎらいと感謝の気持ちが表れているような気がするのである。

私はインターネットのアーカイブでデニスのことを探して読んでいる。今、2003年6月27日付けのIrish Examiner誌 のChris Mondcriff 記者の記事を読んでいる。

デニスはサッチャー夫人の11年間の首相の期間、彼女を本当によくサポートしたようである。

1975年の妻のマーガレット・サッチャーが英国保守党の党首になるに際して、すでに財をなしていたデニスは財界を去って妻を補佐するのに専念したようだ。どのような財界活動をしていたのかはわからないが、退職に際して、退職金の一部としてロールス・ロイスを贈られているというのであるからかなりの仕事をしていたのであろう。

しかし、その後はまさに妻の公的な活動に控え目な忠実なよきパートナーとして終始したようだ。
どこにでも彼は妻のそばにいたようだ。でもゴルフ好きの普通の英国男性でありつづけたようである。

マーガレットの演説会には必ずデニスが会場にいて、いつも「Hear!,hear!」と叫んでいたとのことである。

エリザベスが新聞記者の質問に対して?次のように言ったとのことである。
「He never falls asleep and always claps in the right places.」
(彼は決して居眠りをしないし、拍手すべきところではちゃんと拍手していたわよ。)
英国人独特のユーモアに感心する。

デニスはマーガレットの公的旅行には必ず同行し、外遊の際の外国要人との公的なパーティーにも必ずマーガレットと一緒に出たようである。ただ一つの例外として、その時のロシアでののゴルバチョフ大統領のライサ夫人主催のパーティーに出るのがいやでロシアへの妻の外遊に同行しなかった有名な話があるようである。ライザがbossyでdogmaticであるのがいやだったようである。当然男としてこういうことがあっても良いと微笑ましく感ずる。

外遊の時には、古い首相専用飛行機の後ろの方で記者の連中と酒を飲みながら駄弁るのも好きで記者達の評判もよかったようだ。

そして、大事なことについては、
“Better put that question to the GOC”
(それはGOCに聞いてくれた方がいいよ。)
と言って、記者を笑わせたようだ。
GOC とは「General Officer Commander」(最高司令官)のことだ。

笑わせたといえば、英国紳士のことだ。たくみなJokeを発していたようである。
新聞記者から
「奥さんとは別々の銀行口座(separate bank accounts)を持っているのか?と聞かれて、
“God yes, and separate beds”
「そうだよ。Bed も別々 だけどね。」
と言って笑わせたとのことである。

デニスは一昨年(2003年)の6月に妻マーガレットと二人の子供の見守る中、88歳の生涯を終えたとのことである。

新聞は彼のことを、「忠実なパートナー」とか「Back Seat Driver」という表現で彼の死を報じている。

世の中にはいろいろな夫婦がいるが、この夫婦も仲のよい夫婦だったようである。私はこの写真を微笑ましく見ている。

デニスはその功績で?Sirの称号を受けているので、デニス・サッチャー氏ではなくデニス・サッチャー卿と呼ぶべきであろう。

*画像はMargaret Thatcher著 「THE DOWNING STREET YEARS」より



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