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東京五輪:「EXPO'70」に見るロゴの変更事例

2015-08-18 23:22:28 | 東京五輪2020
(最終更新:8月19日 1:25)

「戦争法案」の国会審議が止まっている間、当ブログもどうしても佐野氏の方に話題が奪われがちである。(笑)

ベルギー側の提訴に“逆ギレ”して、頑なに佐野氏デザインの「五輪エンブレム」の保守に回るJOC(日本オリンピック委員会)だが、ここまで世論が高まる中、何故これほどに固執し、融通が利かないのか。
単純かつ明快な話し、それは中枢部の誰一人としてその責任を取りたがらないからである。
一方では、確固たる主導権を握り采配を揮(ふる)える人間が不在であるということが言える。結局のところそれぞれが保身に回り、それこそ既得権益やら利権やら、我が身大事さで波風を立てたくない腹がある。
エンブレムの変更責任は誰が取るのか。戦々恐々とし、ついては極度に及び腰だ。


今から45年前、大阪で万国博覧会が開かれたが、そのときのシンボルマーク。実は、間際で変更になった経緯がある。

「東京五輪エンブレムもまだ間に合う? 発表会見直前にひっくり返った大阪万博シンボルマーク」(ブログ「無職の分際で言いたい放題」)

半世紀前にあったシンボルマークを巡るドタバタ
>45年前の大阪万博のシンボルマーク決定には記者会見直前で決まっていたシンボルマークをボツにして再コンペするというドタバタがありました。

>今回の五輪エンブレム騒動の当初、佐野研二郎氏のデザインを擁護する形で「素人は黙ってろ」「デザイナーなら良さがわかるよ」的な評価をいくつか目にしました。こういう人達には石坂泰三氏の言葉を贈りたい。



《日本万国博覧会 シンボルマーク》
大阪万博の公式なシンボルマークは、日本の国花である桜をかたどったもので、デザインは大高猛。当初は西島伊三雄デザインの、鉄アレイ状の上に丸を描いた形で、東西世界の融合などを表しているとの説明だったが、シンボルマーク発表の記者会見の直前に万博協会会長の石坂泰三が「これでは日本が世界の上にあぐらをかいている」と激怒し、一蹴した(その日の会見は中止)。その後改めてデザインが行われ、桜をイメージしたマークとなった。「五つの花びらは五大州すなわち世界を、中央の丸は日本のシンボル日の丸を、周囲の白い部分は発展への余裕と伸びようとする意図を表している」と説明された。なお、日本館はこのシンボルマークを模って建設された。
Wikipediaより


左:当初のシンボルマーク 右:正式決定されたシンボルマーク

万博もまた国家規模の公共事業である。その、もう決まりかけていたシンボルマークを間際に思い切って変更したというのだ。
当時の石坂泰三万博協会会長はそれだけ主導権を発揮し、かつそれなりの気概があったということである。
まぁもっとも、当初のものは当時においてもそもそもが古めかしく(苦笑)、いずれ結果的に変更は大正解だ。


ことの顛末はこちらの記事に詳しい。
「大阪万博のあのシンボルマーク「桜」決定までのひと騒動「大阪万博1970 デザインプロジェクト」」(エキサイトレビュー 2015年4月29日)

>大阪万博のシンボルマークが決まるまでには、ひと騒動があったという。このときシンボルマークはグラフィックデザイナー15名と2団体を指名してのコンペで選定され、一旦は西島伊三雄のデザイン案に決定した。それは、上部に一つの円、下部には左右二つの円がくっついて配置されているというものだった。下の二つの円は、東西世界や対立する人間同士が手を取り合う様子を示し、そこから生まれる次世代の平和な世界を上部の円で表現したという。「人類の進歩と調和」という大阪万博のテーマを踏まえたものであり、また上部の円には、日本で開かれることの意義を示す日の丸という意味も込められていた。

>だが、これに日本万国博覧会協会の会長・石坂泰三から横槍が入る。石坂は東芝社長などを歴任し、さらに経団連会長を12年にわたって務め「財界総理」などと呼ばれた人物だ。石坂の言い分は「上の円が日の丸に見え、日本が威張っているとの批判を受けるかもしれない」「インテリだけがわかるようなものではだめで、大衆性がないといけない」というものだった。

>結局、石坂の強い反対から万博シンボルマークは再度コンペを行なって、あらためて決めることになった。このとき選ばれたのが、大高猛による桜の花をモチーフ(5つの花びらで五大陸を、中央の円で日の丸=日本を表現)とした例のマークだ。



このように、決してやってできないことではないのである。今、「東京五輪」において、それをやろうとする人間が居ないのが問題なのだ。
実に不甲斐なく、情けなく、まことに腹立たしい。

 * * * * *

さて、佐野研二郎氏は今日も引き続き新たな話題を提供してくれている。

佐野研二郎氏の妻 トートバッグ問題と五輪エンブレムは無関係と強調 東スポWeb 8月18日

東京五輪のエンブレムやサントリービールのキャンペーン用トートバッグのデザイン盗用疑惑の渦中にあるデザイナー・佐野研二郎氏(43)が18日、京都市内で講演会を行ったが、疑惑については口を閉ざした。

 出席者によると五輪エンブレムの審査委員を務めた永井一正氏らとの講演だったが、佐野氏は何も話すことはなかったという。

 また、佐野氏は無言だったが、代わりに妻の恵子氏が取材に対応した。

 サントリーのトートバッグでは30種類のうち8種類について第三者のデザインをトレースしたことを認め、取り下げた。しかし、この1件と五輪エンブレムの問題は無関係だと強調し、エンブレムを取り下げることは考えていないという。

 恵子氏は「佐野研二郎は応募した応募者であって、何ら自分で決定権がない。佐野研二郎が取り下げる立場なんですか? トートバッグとエンブレムの件と、どういうつながりがあるんですか?」と報道陣に逆質問。

 続けて「トートバッグの件については法的なことを待たずして取り下げた。それが誠意だと思って。それで『あなた、不祥事を起こしていますよね。エンブレムの資格あるんですか』と言われれば、それは結びつけ。トートバッグとエンブレム制作のプロセス上、何か関連があるんですか」とまくし立てた。

 さらに「普段の仕事で、佐野の確認なしに最終形として納品するということはないようにしてました。この件(トートバッグ)に関しては、それが漏れていた」とし、トートバッグ以外には問題がないことも明言。

「過去にさかのぼって調べるのは勇気のあること。ここで次、出てしまったら謝っても通用しない。大丈夫なものしか世に送り出していないという自負もあったが、こういうミス(トレース)が起きてしまった。もう出てくることはないと思います」と言い切った。

 また、同じく佐野氏がデザインした名古屋市の東山動植物園のシンボルマークが、中米コスタリカの国立博物館のマークに似ているとの指摘があった。

 恵子氏は「比較している、元の(デザインをした)方から『私のとあなたの似てますね』というような問い合わせはない。こちらとしても模倣したという認識は全くない」と“パクリ”ではないことを強調した。


旦那が旦那なら嫁も嫁? 昨今の事態も、佐野氏が置かれている状況も、よく呑み込めていないのか理解していないのか、まるで臆面の無い態度に、解って言っているのだとしたら猛々しいとしか言わざるを得ない。既にもう自棄になっているのだろうか。

相前後して、
「名古屋の東山動植物園マークも類似の指摘 佐野氏デザインで調査」(産経ニュース 8月18日)

>2020年東京五輪の公式エンブレム制作者、佐野研二郎氏(43)がデザインした東山動植物園(名古屋市)のシンボルマークが、中米コスタリカの国立博物館のマークに似ているとの指摘があり、同園がマークを提案した企業に事実関係の調査を依頼したことが18日、分かった。

>今月、植物の顔がコスタリカの国立博物館のマークと似ていると外部から指摘があった。博物館のマークは水色で、中心から広がった6本の線の先に小さな円が付き、全体が大きな円で囲まれている。回転させると同園の植物の顔にほぼ重なる。

>同園は両者が似ているかどうか判断できないとした上で「事実関係を早急に確認してもらいたい」としている。



左:コスタリカ国立博物館のロゴ 右:佐野氏デザインの東山動植物園ロゴ


上述、東スポの記事にもある通りだが、
「佐野研二郎氏「東山動植物園」ロゴマークの模倣否定」(スポーツ報知 8月18日)

>2020年東京五輪公式エンブレムの制作者佐野研二郎氏(43)がデザインした東山動植物園(名古屋市)のシンボルマークが、中米コスタリカの国立博物館のマークと類似していると指摘された問題で、佐野氏の事務所の広報担当者が18日、京都市内で共同通信などの取材に応じ、マークの模倣を否定した。


「広報担当者」とは佐野氏の奥さんのことだろう。
だが、口先で否定したところで、果たして真実はまだわからない。
で、一方で気になるのが、佐野氏出席による京都市内での講演会。
なるほど、ご本人、お元気そうで何よりではあるが(笑)、今、この渦中において何が行なわれたのか。

それがこれ。
「京都dddギャラリー」


↑クリックで拡大

■講演 1
日時:2015年8月18日(火) 14:00-16:00
出演:永井一正、木田安彦、山下裕二、佐野研二郎
会場:京都国立近代美術館 1F ホワイエ
   〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町
共催:京都国立近代美術館
入場無料、要予約、定員150名

世界最大規模の総合印刷会社である、大日本印刷㈱(DNP)主催によるものだ。
150人を前にして何の話をしたのか、あるいは何も喋らなかったのか、残念ながら私の手元にはまだその情報が無い。


そして今日更に、

「市が佐野氏デザインのロゴ調査 建設中の「おおたBITO」」(上毛新聞ニュース 8月18日)

>東武太田駅北口に建設中の「おおたBITO 太田市美術館・図書館」のロゴについて、2020年東京五輪公式エンブレムをデザインした佐野研二郎氏が担当していたことから、市はロゴに模倣などの問題がないか調査する。ロゴはアルファベットの「BITO」を使ってデザインされており、模倣などの可能性は低いが、「念のため」に調査する。調査は外部の弁理士ら専門家に委託する…

太田市HP ⇒「おおたBITO 太田市美術館・図書館施設概要について」

そして、半日もしないうちに、
「【多摩美大の誇り】盗用教授・佐野研二郎がデザインした太田市美術館・図書館ロゴの盗用元が判明」(8月18日)


佐野研二郎デザイン


Logo for Dot Textile design firm
All works c Josh Divine 2013.


改めてNet民のその機動力に驚くが、これもちょっと言い逃れができないレベルだろうか。


やれやれ、さてさて、叩けばまだまだ埃が出る状態ということか。まったく留まるところを知らない。
それにしても、予め決まっていたこととは言え、先の京都の講演会でしゃあしゃあと出てくるあたり、些かその神経を疑わざるを得ないが、ならば堂々と会見を開くなり、本人の口からきちんと説明して、態度をはっきりと示してはどうだろう。
物事、放置するのが一番の悪化の原因になる。大人なら解りそうなものである。

さて、一体いつがピリオドなのか。この調子なら、収まるどころか、すったもんだはこの先もまだまだ続きそうだ。




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