日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

本日の晩酌 - 山形正宗

2016-08-31 22:34:52 | 晩酌
四日間降り続いた雨が止み、台風一過の青空が広がっても、かつてのような残暑はもうありません。蝉の声はまばらに、かつ弱々しくなり、窓から差し込む西日は長くなって、帰り道では秋の虫が合唱しています。それらに続いて秋の到来を告げる風物詩が、九月を待たずに蔵出しされる山形正宗の「秋あがり」です。
白地に金文字のラベルと、「秋あがり」の帯を組み合わせた十年来不変の出で立ちに、今年は変化がありました。金文字はやや赤みのある色合いに変わって、「秋あがり」の帯がなくなり金文字と併記されるようになったのです。代わりに張られた裏ラベルには、それまでラベルに記されていた原料米、精米歩合とアルコール分が記載されます。

変わったのは見た目だけではありません。封を切った瞬間立ち上る香りは「風の森」を彷彿させました。他の酒を連想させるということは、個性が希薄になったということでもあり、中でも柑橘系の吟醸香がほとんど感じられなくなった点は特筆されます。これはこれで悪くはないものの、流行を追求するあまり、唯一無二の個性が失われてしまったというのが第一印象です。
とはいえ、第一印象だけではまだ何ともいえません。この酒だけは毎年一升瓶を押さえています。一日一合ずつ空けていき、この味わいがどのように変わっていくかを試してみるつもりです。

★山形正宗 純米吟醸秋あがり
水戸部酒造(山形県天童市)
原料米 山田錦
精米歩合 55%
アルコール分 16度
東京都港区 鈴木三河屋にて購入
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