日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 23:25:48 | B級グルメ
三軒回って腹も心も十分に満たされ、そろそろ日付も変わろうとしています。しかし、長崎で呑むのも二年ぶりということになれば、欲張りたくなるのが人情というものです。最後にもう一軒だけ立ち寄って締めくくります。トリを飾るのは一口餃子の「宝雲亭」です。
出すものはおでんと餃子で全く違い、当然ながら店の造りも異なるとはいえ、家庭的な雰囲気はどことなく「桃若」と共通するものが感じられます。快活な店主夫妻が接客をこなし、跡取りが黙々と餃子を包み、地元客が入れ替わり立ち替わりやってくるというのが、この店で繰り広げられる光景です。
散々飲み食いしたにもかかわらず、調子に乗って二人前を注文。数にすれば20個とはいえ、意外なほどに難なく完食しました。陳腐な言葉を借りるなら、餃子は別腹ということになりそうです。

宝雲亭
長崎市銅座町15-13
095-823-4042
1800PM-100AM(不定休)
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 22:42:50 | 居酒屋
「かわむら」のそうめんで一気に腹は満ちたものの、長崎へ来たならここへ寄らずには終われません。教祖も当地へ来る都度立ち寄るという一軒、思案橋横丁の「桃若」を訪ねます。
一口におでん屋といっても、おでんを中心に肴がいくつか選べる店もあれば、ほぼおでん一本という店もあり、この店は後者の部類に属します。そのおでんも、ここでなければいただけない珠玉の品かといえば、正直そこまでの逸品ではありません。酒は櫻正宗一本で、これまた特にどうということはありません。しかし、年季の入ったニス塗りのL字カウンターが味わい深く、店主夫妻と若主人の三人による軽妙洒脱な客あしらいも楽しいのです。
今回は縄のれんをくぐるやいなや、品数が少ないので、それでもよければと店主から告げられました。しかし、残った品を数えてもらうと、十分以上の種類があります。これなら何の不足もありません。まずはこの時期らしく里芋、それに蕗を選び、あとは若主人のすすめに従いはんぺんと銀杏を注文。辛子の代わりに柚子胡椒を添えるのが当店流です。

桃若
長崎市本石灰町3-1
095-823-3392
1730PM-2400PM(日曜定休)

櫻正宗
おでん四品
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 21:38:18 | 居酒屋
宿へ戻って一風呂浴び、機材を置いて再び夜の街へ繰り出します。二軒目に訪ねるのは「かわむら」です。
迷路のような小路に長屋がひしめく思案橋の呑み屋街は、全国広しといえどもどこにもない独特の情緒を持っています。そして、電車が通る目抜き通りにも、そのような古い長屋が軒を連ねている一角があります。その中ほどに位置するのが、「くじら」の懸垂幕を掲げたこの店です。

教祖による著作の中で、情報源として最も有用なのは、当然ながらその用途に特化した「居酒屋味酒覧」です。一方、読み物として書かれた著作の中で、情報源として最も参考になったものは何かと問われれば、私は「ひとり旅 ひとり酒」を選びます。季刊誌で五年間、全20回続いた連載を単行本にしたのがこの本で、「西の旅」という雑誌の表題からも分かる通り、西日本の都市を各回一つずつ取り上げ、そこに二晩滞在して、昼間の町歩き、食べ歩きから夜の酒場めぐりに至る一部始終を綴ったものです。「居酒屋味酒覧」「居酒屋百名山」などの代表作に登場する有名店も、初出はこの本だったということが少なからずあります。
加えてこの本には、他の著作には登場しない、しかし信者の誰もが知る有名店に遜色ない名店がいくつも登場します。自身過去に訪ねた中では、博多の「一富」と「浅草」などがそうでした。そして、これらと同様に長崎の回でひっそりと登場するのがこの「かわむら」なのです。

いかにも長屋の店らしく、間口の狭い店内はカウンター一本のみというささやかさです。上から歓声が聞こえてくることからして、二階には座敷があるのでしょう。若干安普請にも思えるものの、角刈りの快活な店主と女将に迎えられ、きれいに磨かれた厨房を一瞥すれば、この店は違うとすぐに分かるでしょう。もっとも、「居酒屋味酒覧」の掲載店と違い、県外からお客が訪ねてきそうな気配はなく、見るからに地元客向けの店といった雰囲気です。その点では、教祖のおすすめというより、むしろ「酒場放浪記」に出てきそうな店というのが第一印象です。
ホワイトボードに書かれた品書きは、店の看板でもある鯨に始まって、刺身、焼物、一品という順に並び、もう一つの看板である串揚げがこれに加わります。赤身、さえずり、ベーコンなどに加えて、「すえひろ」など聞き慣れない部位を含めて八種ほど揃うのが、いかにも鯨肉文化を持つ長崎らしく、これといった酒がないのもこれまた長崎ならではです。ただし、2500円もする高価な盛り合わせは当然ながら選択できず、だからといってこれらの中から一つに絞ることもできません。しばし思案の結果、「安楽子」ではありつけなかったヒラス、すなわちヒラマサの刺身を選びました。

突き出しがつけ揚げとおひたしの二品あり、これに刺身が加われば、二軒目としては必要十分ともいえます。しかし、ここでもう一つ試してみたいものがありました。教祖が「ひとり旅 ひとり酒」で紹介していた「地獄煮そうめん」です。島原の素麺を使い、鯨で出汁を取ったもので、高価な刺身と違い600円と価格も手頃。最後はこれをいただくことにします。
すまし汁を一口すするやいなや立ち上る風味は、まさに鯨のそれです。しかも、ただ出汁を使っているのではなく、鯨の様々な部位が使われています。あら汁と同じ要領で、細切れの部分を効率よく使っているのでしょうか。いずれにしてもこれは価格以上の満足感があります。この素麺をいただくだけでも、この店に再び足を運ぶ価値はありそうです。

★かわむら
長崎市本石灰町1-3
095-821-9100

三岳
突き出し二品
ヒラス
地獄煮そうめん
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 19:34:05 | 居酒屋
思案橋で電車を降り、宿には戻らず真っ先に居酒屋へ駆け込みます。一軒目に訪ねるのは「安楽子」です。
開店直後ならよいものの、土曜の七時半といえば呑み屋が最も混む時間帯です。満席で降られることもある程度覚悟の上で暖簾をくぐると、幸運にも先客が出て一つだけ席が空こうとするところでした。少しの待ち時間を経て首尾よく着席します。
先日新潟の「魚仙」を訪ねたときは、分かりやすくて覚えやすい品書きについて述べました。かような観点からすると、この店の品書きもこれまた単純にして明快です。品書きは玄関をくぐって右手にあるテーブル側の壁面に、黒板一枚と横一列に並んだ経木で書かれています。これが通常なら、黒板が日替わり、経木がいつでもあるものという組み合わせになるところ、そうでもないのがこの店の特徴です。黒板に書かれているのは刺身、鯨にねぎぬたなど、大半のお客が注文する人気の品で、何度か通ってもそう大きくは変わりません。
もう一つの特徴は、その品書きがテーブル側の壁面、つまりカウンターに腰掛けると背後にしかないことです。よってカウンターで呑む場合、いちいち後ろを向かなければ品書きが確認できません。もちろんそれでは面倒なので、席へ着く前に品書きをある程度頭に入れ、何と何を頼むかある程度組み立てを考えておく必要が出てきます。そのせいなのか、品数は多からず少なからず適度で、しかもそれぞれの名が直截です。実際のところ、常連客はいちいち後ろを向かず、ほとんど品書きも見ずに注文しており、暗黙の作法とでもいうべきものが出来上がっています。自身、この要領が何度か通ううちに少しずつ分かってきました。
長年かけて確立された店と常連客が作り出した独特の居心地こそ、教祖が説く居酒屋の愉しみの真骨頂であり、この店の品書きと、店主夫妻と跡取り夫妻による家庭的な雰囲気はその好例でしょう。教祖をして「長崎の実家」と言わしめたのもうなずける名店です。

安楽子
長崎市浜町7-20
095-824-4970
1630PM-2130PM(LO)日祝日定休

お酒×2
あじタタキ
ねぎぬた
天ぷら盛り合わせ
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 18:57:43 | 九州
一時間半滞在して切り上げます。連休の割には適度な人出だったのが幸いでした。人出が少ないのは、それだけ寒いということでもあります。登った時点の気温が5度、しかし体感温度は冬の東北と比べても大差なく、特に手先が冷えました。風もないのにこれだけ寒いのですから、風が吹いたら居ても立ってもいられなかったのではないでしょうか。北部九州は寒いと改めて実感します。

この後は再び路面電車に揺られて市街に戻ります。去年は日中のみの滞在で終わったため、長崎で呑むのは一昨年の聖夜以来実に二年ぶりです。時間の許す限り、体力の続く限りはしごすることになるでしょう。
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 18:13:44 | 九州
なんだかんだでせわしなく撮影を続けて一時間が経過しました。既に市街は完全に暗く、紛れもない夜景となったのに対して、西の空はまだわずかに明かりが残っています。冬至の前後にもかかわらずこの時間まで明るいのですから、夏至の頃ならどうなるのでしょうか。その頃の日の入りが七時半ということは、完全に暗くなるのは九時近いのかもしれません。どんな眺めになるのかと仮想させられます。
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 17:12:13 | 九州
路面電車で来た道を引き返し、ロープウェーに乗り継いで稲佐山の山頂にやってきました。しかしここで誤算が。日没にはまだ大分早いのです。この時期の都内ならば四時半までには日が沈み、五時にもなれば真っ暗だというのに、これでは暗くなるまであと一時間はかかるでしょう。改めて日の入りを調べると、東京の16時31分に対して、長崎は47分も遅い17時18分となっています。二年前に五島を訪ねたときは、曇り空だというのに六時近くまで明るくて驚いたものでした。やはり、西日本も長崎まで来ると、相当日の入りが遅くなるようです。
これで夕日がきれいなら最高なのですが、残念ながら雲が多く、夕景としては今ひとつです。暗くなるまで少々手持ちぶさたになるかもしれません。
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 15:48:28 | 九州
只今思案橋近くの宿に入り、荷物を置いて一息つきました。この後は呑み屋を後回しにして、ロープウェーで稲佐山に登ろうかと思っています。昼と夜にはそれぞれ二度登ったことがあるのに対し、黄昏時の眺めは未だお目にかかったことがないからです。今から登れば、日没の手前から次第に暗くなる一番よい時間帯に重なるため、これが絶好の機会と思い立ちました。呑み屋は一刻を争うわけではないので、今回しか実行できない方を優先します。
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 15:03:33 | 九州
長崎に着きました。今更ながら空が晴れてきました。しかし遠景はかすんで雲も多く、この時期の関東によくある冬晴れとは趣が異なります。これが太平洋側と東シナ海沿岸の違いなのかもしれません。
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 14:02:44 | 九州
「白いかもめ」で長崎へ向かいます。相も変わらず、佐賀の駅前は県庁所在地とは思えないほど長閑でした。現地へ着くのは三時前といささか早いため、一本遅らせ佐賀に腰を据えるにもやぶさかではなかったものの、あいにく晴天が長続きせず、時折小雨が落ちてくる状況だったため、早々に切り上げて先を目指します。
路面電車で市街に入り、宿に荷物を預けてひとしきり散策すれば、「安楽子」が開く四時半になります。もちろんこれだけ早く始めると胃袋と体力が持たないため、電車の一日乗車券を買って合間に乗車をはさみ、腹ごなしをしながら二、三軒はしごすることになるかと思います。天候が回復すれば、稲佐山から夜景を見るのも一興でしょう。
ちなみに、終点の一つ手前の浦上駅で降りるのにはわけがあります。浦上まで乗ると乗車距離が100km以内で済むのに対し、長崎まで乗ると100.3kmとなり、わずか0.3kmの差で900円の特急料金が1200円に跳ね上がるからです。どのみち市街へ行くには電車に乗り継ぐ必要があるため、それなら浦上と長崎のどちらで降りようが大差ないという理由もあります。

★佐賀1333/かもめ23(2023M)/1445浦上
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2013-12-21 13:19:03 | 酒屋
年に一度のお楽しみ、駅前の「しめなわ」で酒を買います。
思うに、滋賀県と佐賀県は少し似ています。字面と響きはもちろんのこと、周囲の県に比べて存在感がやや希薄なところもよく似ているのです。それに加えて、関東にはなかなか出回らない、少量生産の地酒が多いという点で共通しています。駅前にそれらを扱うよい酒屋があるということも。あまりに見所が少なく、手持ちぶさたになりがちな佐賀市ですが、この酒屋だけは不動の立ち寄り場所として定着した感があります。

★しめなわ
佐賀市駅前中央1-10-36
0952-26-9577
平日 800AM-2030PM
日祝日 900AM-1800PM
元日休業
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 12:38:28 | 九州
佐賀に着きました。福岡よりも一足早く雨が上がったようで、路面は既に乾き、時折日差しも注いできます。傘を差しながらの活動は当然ながら興ざめするため、何にしても助かりました。
先月訪ねた山口など、半ば強引に立ち寄っている県庁所在地というのがいくつかあります。かような観点からすると佐賀もかなりのものです。駅前の酒屋という確固たる立ち寄り場所があるとはいえ、それ以外の場所に寄ったという記憶が近年ほとんどありません。今回もおそらく筋書き通りの展開となるでしょう。長崎行きの列車が車で一時間、記念撮影を済ませて酒とお茶を買ったら、駅周辺を当てもなく散策して終わりということになりそうです。
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2013-12-21 12:15:50 | 九州
普通列車で佐賀へ向かいます。博多からの813系に続いて乗車するのは817系電車です。三つあるドアの間を埋める横長の大きな一枚窓、天然木の板に革張りの枕とクッションを奢った転換の腰掛けが秀逸。特急列車はもちろんのこと、ローカル列車一つとっても、九州の洒落心は際立っています。

★鳥栖1153/2849M/1223佐賀
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 11:49:34 | B級グルメ
鳥栖に着きました。築百年を超す立派な駅舎を定点観測していきたいのはやまやまながら、この雨と曇り空ではどうしようもありません。ホームでうどんだけいただくことにします。
国鉄時代そのままといってもよい寂れた駅とはいえ、三本並んだホームのそれぞれにうどんのスタンドが置かれ、列車とお客が引きも切らずに出入りする様子は、さすが九州屈指の要衝といった感があります。かしわうどんの味わいも、小倉、博多に負けず劣らず秀逸です。

中央軒
鳥栖駅5・6番ホーム
かしわうどん320円
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九州沖縄縦断ツアー

2013-12-21 11:12:25 | 九州
博多に着きました。岡山で一旦晴れた空が広島では曇り空に変わって、山口で再び雨が降り出し、九州に上陸したところで日が差してきました。しかし晴れ間は一瞬で終わり、博多の街では雷鳴とともにみぞれとあられが降っています。晴れたり曇ったり、さらには雨が降ったり雪が降ったり雷が鳴ったりと、めまぐるしく移り変わる今日の空模様です。
本日の主題は佐賀と長崎にあるため、往路の博多は完全な素通りです。列車を乗り継ぎ鹿児島本線を下ります。先月は鹿児島への往路でやはり博多を素通りし、復路も二時間少々の滞在時間しかできずに不完全燃焼で終わりました。今回はそのときの借りを返すべく、聖夜をここで過ごす予定です。三日後に再びお会いしましょう…

★博多1105/4121M/1135鳥栖
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