日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 23:14:26 | 甲信越
本日の全行程終了です。酔い覚ましに松本城の濠端を歩きます。盆地の風は生暖かく、お世辞にも心地よいとはいえないものの、茂みからは秋の虫の声が聞こえてきます。先日旅した会津では、耳をそばだてれば聞こえるといった程度だったのが、今夜はそこかしこから聞こえており、行きがけに通って来た女鳥羽川の河原にいたっては虫の大合唱といった感がありました。わずか二週で季節は大分歩みを進めたようです。
空が晴れて星が出てきました。明日も天気がよさそうです…
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 21:27:36 | 居酒屋
女鳥羽川の畔を歩き、呑み屋街まで移動してきました。
お盆の活動ということで懸念したのは、混雑でもなければ割高な料金でもなく、呑み屋の選択肢がなさそうだということです。しかし、そんな中でもとっておきの一軒が松本にはあります。地元で知られた老舗「しづか」です。
よゝぎ」がある呑み屋長屋の左隣にある箱形の建物は、遠目にはごく普通の木造家屋のようにも見えながら、格子窓を奢った一階の店構えは実に立派なものです。その店構えに加え、店先の品書きもちとお高いものばかりで、何度も通りかかってはその都度敬遠してきたのが真相でした。しかし、信頼できる筋から評判だけは聞いており、いつか立ち寄る機会をうかがっていたのです。それが今回、「山女や」にも「よゝぎ」にもお盆休みで振られるという事態に至ったため、またとない機会と思い乗り込みました。

窓越しに何度か眺めていたとはいえ、いざ店内に入ると店構えに違わぬ立派な造りです。まず目を引くのが飴色に光った立派な梁と柱で、中央に二本通った大黒柱を見るに、ちょっとやそっとの地震ではびくともしなさそうに見えます。天然木をふんだんに奢った調度品も同じ色合いで統一され、天井からはやはり同色の木組みと半紙で造ったランプシェードがいくつも下がって、しかも二つとして同じものがないという凝りようです。唯一風合いを異にするのが分厚い白木のカウンターで、内側には焼台とおでん舟と湯煎の燗付け器が並びます。向かって左手の焼台を守るのは白衣白帽の店主、おでん舟の前に立つのは若主人、接客する割烹着の二人は女将に若女将でしょう。カウンターの奥にある厨房では大勢の料理人がきびきび立ち回っており、ステンレスの什器は当然ながら鏡のように磨かれています。
ここまで造り込まれた店ならば、肴についても期待を裏切ることがあろうはずもなく、特に焼鳥のタレの味わい深さと野沢菜の瑞々しさには刮目させられました。燗酒は銘柄ごとに誂えられた染付の名入り徳利で供され、木曽塗の箸を始め食器の一つ一つが小粋です。唯一懸念された予算についても、高価な馬刺しなどに手を出さなければ、きわめて常識的な範囲で収まることが分かりました。店の造りのよさと仕事の丁寧さを考えれば、むしろ良心的といってもよいのではないでしょうか。

一言でいうなら上等な居酒屋であり、やや背筋をただしてカウンターに向かいたくなるようなほどよい緊張感がこの店にはあります。純然たる居酒屋としてみた場合、もう少しくだけた雰囲気を指向したくなるのは事実で、かような観点からも松本では「山女や」が一番という考えは変わりません。しかし、この店もまた、店内の造りと人々の立ち振る舞いを眺めるだけで酒が呑める名店の一つではあります。たとえば焼鳥と野沢菜で軽く一杯引っかけるだけでも、この店に再び立ち寄る価値は十分にありそうです。

しづか
松本市大手4-10-8
0263-32-0547
1200PM-2300PM(日祝日定休)

善哉・真澄
お通し(切り干し)
せせり
おでん二品
牛すじ煮
野沢菜
わさび漬け
ざるそば
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 20:21:22 | 温泉
さて、この後は例のごとく一風呂浴びて酒場へ繰り出すわけなのですが、今回は趣向を変えて温泉に宿をとりました。温泉といっても浅間温泉ではなく、新浅間温泉改め横田温泉です。
夜に酒場で呑むことを考えると、宿は必然的に中心街の近くで選ぶことになり、別府などごく少数の例外を除けば、温泉宿に泊まるという選択は考えられません。ところが、この温泉は呑み屋街まで辛うじて徒歩圏内にあります。距離にすればざっと2km弱で、目安としては会津若松の駅から呑み屋街まで歩くようなものと思えばよいでしょう。鄙びた温泉に宿をとり、女鳥羽川に沿って呑み屋街との間を行き来できるとすれば、これは面白そうだと思い立った次第です。
直接の決め手になったのは、素泊まりで五千円を切る安宿があったからでした。しかし、和室でくつろぎ、温泉に好きなだけ浸かれることを思えばこれで十分です。何の変哲もない市街地に、商人宿然とした旅館が四軒ほど散らばるという地味な佇まいもたまりません。それを含めて松本の夜を楽しみたいと思います。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 20:12:51 | 甲信越
小淵沢から岡谷まで高速に乗り、そこから20号線と県道を経由して松本に着きました。ここまで約290kmの走行距離となっています。気温が終始30度以下という好条件に恵まれ、撮影中心で運転時間も短かめだったとはいえ、今日一日エアコンなしで走り通したのですから、人間やればどうにかなるものだというのが実感です。もっとも、松本市街の気温は依然として27度あり、生暖かい風が吹いてきます。やはり高原と盆地では勝手が違います。明日は暑さとの闘いも厳しさを増すでしょう。
幸いにして、地元のディーラーが営業していると分かったため、明日は朝一番で乗り込みエアコンの不具合を診てもらうことにしました。もちろん、その場で直せる故障でなければ、わざわざディーラーに駆け込んでも無駄足に終わるわけです。しかし、昼にカリーをいただくというおなじみの展開を踏まえ、開店までの時間稼ぎと割り切っています。首尾よく直ってくれればよいのですが。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 18:32:49 | 甲信越
夕日が山の向こうに落ちたところで、朝方訪ねた築堤に戻ってきました。夕空に浮かぶ列車を狙ってのことです。日の入りが六時半頃なのに対して、列車が通過するまでにはさらに20分前後の時間があります。茜色の空は次第に色褪せつつあり、一筋流れる雲だけが残照で光っています。次第に短くなり始めた秋の日が、それまで持ちこたえてくれるでしょうか。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 17:34:02 | 甲信越
名水に続いては名駅舎に立ち寄ります。小淵沢の二つ隣の甲斐大泉駅です。やや現代風に改装されてはいるものの、三角形のファサードを左に置いた小さな木造駅舎と前に並んだ白樺の木が、いかにも高原の駅らしい風情に満ちて秀逸です。日が傾くにつれて気温は23度まで下がり、吹く風がいっそう涼やかに感じられてきました。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 16:53:16 | 甲信越
延々三時間半滞在したところで撮影を切り上げ、お待ちかねの三分一湧水に立ち寄ります。大滝湧水に比べて観光地化されているところが玉に瑕ながら、鬱蒼とした白樺林の中から滔々と清水が湧き出る様子は、まさに名水百選の面目躍如です。
ちなみに、撮影が忙しいということは、とりもなおさず飲み食いする時間がないということでもあり、今日は出がけにとったカップラーメンとバナナ以外は水しか口にしていません。今更他に飲み食いしても腹具合が中途半端にならざるを得ないため、夜まで茶腹ならぬ水腹で乗りきることになりそうです。とはいえ、その水がいずれ劣らぬ名水なのですから、下手なものを飲み食いするよりはるかにましではないでしょうか。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 14:06:43 | 甲信越
息を吹き返したところで再び列車撮影です。今度は八ヶ岳を背後に望むお立ち台にやってきました。毎時一本やってくる特急列車はもちろんのこと、去就が取りざたされる115系もまだ健在です。とはいえ、篠ノ井線で115系が完膚無きまでに淘汰されてしまったことを考えると、中央東線の115系も決して安泰とはいえないのでしょう。数年ぶりの撮影機会が巡ってきたことに感謝します。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 12:03:21 | 甲信越
本日は水分も高めの進行となります。名水百選の一つ、大滝湧水に立ち寄ります。
小淵沢の町外れに建つ小さな神社の脇から滔々と湧き出るのがこの水で、まず掌にすくって顔を洗い、それから水筒に汲んで喉を潤せば、冷たい水が身体の芯まで染み入ります。鬱蒼とした杉木立に吹く微風もたまりません。
半径10km圏内は、この湧水とともに「八ヶ岳南麓高原湧水群」の双璧をなす三分一湧水を始めとして、湧水が何ヶ所も点在する名水の宝庫です。20度台の後半という気温も申し分なく、今日は時間の許す限り訪ね歩くことになるでしょう。
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2013-08-17 09:50:40 | 甲信越
本日は鉄分高めの進行となります。あまりに名高い小淵沢の築堤にやってきました。正面に鎮座する甲斐駒ヶ岳は雲に隠れて判然とはしないものの、代わりに白い大きな雲がもくもく浮かぶ様子も悪くはありません。この空を背景にして、小さな気動車がカーブを切りつつ高度を上げる様子は、往年の名曲に唄われた高原列車の世界そのものです。日差しを受ければ汗が流れる一方、木陰で受ける風は実に涼やか。稲穂が微風に揺れ、そこをトンボが飛び交う様子に、夏から秋への移り変わりがそこはかとなく感じられます。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 08:16:08 | 甲信越
気を取り直して先へ進みます。田圃では稲穂が顔を出し、次第に頭を垂れようとしています。あと一月もすれば、この眺めが黄金色の絨毯に変わるのでしょう。「実るほど」の諺をそのまま形にしたかのような光景です。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 07:50:44 | 甲信越
ところで、天候よりもはるかに深刻な問題が一つあります。エアコンの調子が悪いということですorz
エアコンが効かないということ自体は出発直後に気付きました。しかし、宿を押さえた今になって中止するのもためらわれたため、何とかなるとたかをくくって、そのまま走ってきた次第です。昨年は水回り、今年はオイル周りと立て続けに高額な修理が発生したところで、今度は電装品にも不具合が出てしまいました。今年の一年点検から出庫したとき、次はエアコンだとディーラーで言われたのが見事に的中したことになります。しかも間が悪いのは、最寄りのディーラーへ駆け込もうにも、時期が時期だけにどこへ行っても休業中だということです。よりによって最悪の時期に不具合が出てしまいましたorz
故障したとはいっても生暖かい風だけは出てくるため、これまでのところは窓を開けて走ることでどうにかなってはいます。しかし、これから日が差して気温が上がったとすれば、一体どうなってしまうのでしょうか。外はともかく、車中では終始暑さとの闘いになりそうです…
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 07:41:23 | 甲信越
時折流れがよどむ場面はありながらも、おおむね順調に走って須玉で下りました。23度という気温は狙い通りだとしても、空は一様に雲で覆われ、その向こうから薄日が差してくるといった程度で、八ヶ岳の山容も判然としません。終日晴れの予報は変わらないものの、晴れてもすっきりしないところはまだ夏の空といった感があります。
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色づく秋の信濃路へ 2013

2013-08-17 05:17:58 | 甲信越
おはようございます。今回はどうにか想定内の時間に起床しました。念のため道路状況を再度確認してから出発します。都内の空は既に明るくなってはいるものの、日差しがビルの影から顔を出すのは大分先のことになりそうです。本日の日の出は5時1分、夏至の頃に比べると36分も遅くなっています。日の入りは18時26分で、最も遅い六月下旬に比べると35分繰り上がりました。昼の長さに関していえば、最も長い初夏の頃に比べて一時間以上短くなったわけで、そんなことにも秋の気配がありありと感じられてきます。
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