全行程終了です。給油を済ませて帰路につきます。帰着までの移動距離は約550km, 平均時速100kmなら五時間半ということにはなるものの、距離が長くなればなるほどこのような単純計算は成り立たなくなります。連続運転には限度があり、ましてや疲労が蓄積した復路においては、どれだけ休憩すれば走り通せるかが未知数だからです。二日目の仙台から盛岡、三日目の盛岡から弘前、そして今日の弘前から盛岡と東北道を快走して距離を稼いできたとはいえ、これらはいずれも100kmから200kmの移動でした。弘前からの移動では、往路になかった疲労感が迫ってくるのを自覚しており、復路の長距離移動ではこの疲労が吹き出しそうな予感がしています。仙台からの復路と違い、ほぼノンストップで走破することはまず不可能で、実際の走行時間に対して少なからぬ割合の休憩時間を見込まなければなりません。無停車で走り通して二時台、それに休憩時間を加えれば、いつ着くのかは全くの未知数です。とりあえず、仙台を過ぎればそこから先は通い慣れた道だけに一安心、郡山を過ぎて白河の関が見えてくれば更に一安心、宇都宮を過ぎればようやく目処が立つといったところでしょうか。何にしても先の見える地点まで早くたどり着きたいものです。
東北道を快走して二日ぶりに盛岡へ戻りました。さほど汗をかいていないこと、そして何より時間の切迫度合いを考え、温泉はパスして腹ごしらえと給油だけで済ませることにします。その二つならわざわざ高速を下りずともできることで、実際のところ前者についてはパーキングエリアにあった半田屋で済ませることも考えはしたものの、長旅の最後が半田屋というのもいささか侘しく、時間が押すのを承知の上で拡大指向をとりました。大トリを飾るのはもちろん「盛楼閣」です。いつものテーブル席に陣取れば、窓の外では最終一本前のはやてとこまちが併結作業の後発車して行きました。この分だとこちらの出発は一時間後に出る最終の新幹線とほぼ同時、結果としては昨年並みの時刻になりそうです。
★盛楼閣
盛岡市盛岡駅前通15-5 ワールドインGENプラザ2F
019-654-8752
1100AM-200AM
★盛楼閣
盛岡市盛岡駅前通15-5 ワールドインGENプラザ2F
019-654-8752
1100AM-200AM
辺りは次第に暗くなり、いよいよ時間が切迫してきました。このまま暗くなるのを見届けるだけの余裕はさすがにないため、この後は鹿角八幡平から東北道に乗ります。盛岡で一旦下りて腹ごしらえと給油を済ませ、一風呂浴びて帰れれば理想的です。ただ、帰着時刻から逆算すると全てをこなす余裕はなさそうです…
通算八日間、東北六県を股にかけた花見の旅は、秋田内陸の鹿角にて終焉を迎えることになりました。最後を飾るのは米代川の桜並木です。桜並木といっても、これまでの道中で見てきたよう壮麗豪華な桜並木などではなく、住宅が建ち並んだ鹿角花輪の駅裏で、堤に沿ってところどころに桜が植えられているというささやかなものです。しかし、続いてもたかが10本に満たない桜並木とはいえ絵柄はなかなか見事で、右へ向かって緩やかにカーブする米代川の彼方には、雪をかぶった八幡平が望めます。桜も散り際ながら遠目にはかなりの花が残っており、小坂の桜と比べてもそれほどの差はありません。惜しむらくは、着くと同時に夕日が山影に隠れてしまったことで、あと10分も早ければ夕日に染まる桜で締めくくれたのではないでしょうか。しかし、最後の最後で好天に恵まれ、日没まで花見ができたのですからこれで十分です。最後を飾るにふさわしい印象的な光景でした。
延々二時間滞在してようやく終了です。予想外の長時間滞在となったのは、偏にここの桜が見事だったからという理由によります。川沿いの桜並木は序章に過ぎず、かつての駅から鉱山事務所へ向かって広い通りが線路沿いに延び、線路をはさんだ反対側には芝の広がる児童公園が、その奥手には野球場と陸上のトラックが広がって、そのいずれもが見事な桜の木で囲まれているのです。しかもただ囲まれているのではなく、一本一本の木がどれも立派で、舞い落ちた花びらは芝生や路面を雪のように白く染めており、それでもまだかなりの花が咲き残って、午後の日差しを浴びながらはらはらと落ちてきます。思わず足を止めてしばし鑑賞したくなるほど印象的な光景で、もしかすると満開の時よりこちらの方が絵になるのではないでしょうか。もともとこの場所が目当てで小坂を訪ねたわけではなく、帰りの経路上で花見ができそうな場所という理由だけで立ち寄ったつもりが、これほどの桜が観られるとはまさに僥倖以外の何物でもありません。天候に泣かされ続けた後半戦の鬱憤も一気に吹き飛ぶ見事な桜です。
唯一悩ましいのはこの後の行動をどうするかで、結論としてはこのまま時間の許す限り津軽街道沿いを移動しつつ花見ができる場所を探し、日が暮れ次第最寄りのICから東北道に乗りたいと思います。今すぐ東北道に乗れば、日没までに小岩井へ着くことも辛うじて可能ではあるものの、正直なところ小岩井の桜並木がここの桜に勝っているとは思わず、一本桜を訪ねるにしても、ただ一本の桜のために、残り少ない持ち時間の少なからぬ割合を移動に注ぎ込むのはもったいないと判断しました。この分だと、鹿角八幡平を過ぎるか過ぎないかのところで日が暮れるのでしょう。最後の移動は想定以上の修羅場になりそうです。明日を半日休みにしなければ、今年の復路も完全に破綻するところでした(冷汗)
唯一悩ましいのはこの後の行動をどうするかで、結論としてはこのまま時間の許す限り津軽街道沿いを移動しつつ花見ができる場所を探し、日が暮れ次第最寄りのICから東北道に乗りたいと思います。今すぐ東北道に乗れば、日没までに小岩井へ着くことも辛うじて可能ではあるものの、正直なところ小岩井の桜並木がここの桜に勝っているとは思わず、一本桜を訪ねるにしても、ただ一本の桜のために、残り少ない持ち時間の少なからぬ割合を移動に注ぎ込むのはもったいないと判断しました。この分だと、鹿角八幡平を過ぎるか過ぎないかのところで日が暮れるのでしょう。最後の移動は想定以上の修羅場になりそうです。明日を半日休みにしなければ、今年の復路も完全に破綻するところでした(冷汗)
ICから山を下りて小坂の町に入りました。町内の桜の名所といわれる中央公園を訪ねます。かつての小坂駅のほど近く、川沿いの開けた場所に適度な広さの公園があり、もう散ったとばかり思っていたソメイヨシノが花吹雪を散らしています。花吹雪といっても、おそらく昨日か一昨日まで満開だったのではないかと見え、散り際を好む向きにはある意味一番いい時期です。天候も前半以来の晴天に戻り、最後の最後でようやく花見日和が訪れました。この状況なら自ずと滞在が延びると予想され、小岩井で締めくくるというプランは微妙になりつつあります。しかし、代わりにこの桜が観られるならば何の不足もありません。とりあえず時間の許す限りこの場所で桜を観賞してから先へ進みます。
小坂で東北道を下りました。ICを出るやいなや、目の前には見事な山桜の並木が続き、午後の日差しを浴びて輝いていました。枝垂桜も見頃を迎えようとしている一方で、エゾヤマザクラは一足先に散っており、この分だとソメイヨシノはもう散っているのでしょう。しかし、ソメイヨシノだけが桜というわけではなし、東北六県で花見をするという目標が今年も達成できて一安心です。この後は時間の許す限り津軽街道に沿って八幡平方面へ移動し、鹿角八幡平か安代で再び東北道に乗って、時間が余れば滝沢で高速を下りて小岩井をもう一度訪ねたいと思っています。
弘前の最後はこれも毎度おなじみ富田の清水で締めくくります。結局午前一杯を消費してしまったとはいえ、去年などはこの時間に大館から角館へ向かおうとしていたことを思えば、東北道で一気に距離を稼げる今回の方がはるかに余裕はあります。とりあえずは秋田との県境を越えて小坂まで移動する予定です。
正午も近くなったところで毎度おなじみ最勝院を訪ねます。ソメイヨシノも、山門の前に立つエドヒガンの大木も葉桜に変わり、枝垂桜も少しずつ花を散らす中、白い八重桜が見頃を迎えています。
弘前市街を出る前に少し早めのお昼をいただきます。訪ねるのは地元では知られた名店「田沢食堂」です。手前に厨房とテーブル五卓、奥手に畳の小上がりを配した間口以上に広い店内は、10時台から少なからぬ先客で埋まっており、繁盛ぶりは一目瞭然です。麺類丼物ご飯物を中心にした品書きは総じて500円以下と良心価格。目当ての中華そばは細い縮れ麺に巻きチャーシュー、メンマに白ネギという構成で、シンプルながらも見た目に美しい一品です。そばつゆの風味をかすかに感じるやや濃い色のスープが味わい深く、この逸品が牛丼顔負けの350円、ご飯物と合わせてもたかが数百円なのですから、この繁盛ぶりも宜なるかなといった感があります。自分もチャーハンと合わせて腹ごしらえは万全、やがて始まる時間との戦いに備えます。
★田沢食堂
弘前市茂森町97
0172-33-2969
1000AM-1830PM(土曜祝日 -1600PM)日曜定休
中華そば+チャーハン780円
★田沢食堂
弘前市茂森町97
0172-33-2969
1000AM-1830PM(土曜祝日 -1600PM)日曜定休
中華そば+チャーハン780円
一時間少々滞在して弘前公園を後にします。改めて眺めると、一昨日着いたときと今日とではさほど眺めが違いません。この数日の涼しさが、散り際の早さに今更ながら歯止めをかけたということなのでしょう。最後にもう一度この桜が見られたのは幸いでした。今度こそ正真正銘の最後です。また来年…
僥倖です。切り上げようとしたところで雨が上がって晴れてきました。晴れたといっても薄日に過ぎず、今からもう一周しようなどという拡大指向はないものの、無情の雨で終わるのと晴天で終わるのとでは当然ながら気分が違います。大型連休から一夜明けた弘前公園に見物客の姿はなく、散歩する人々が時折行き交うだけというのどかさです。時間にはまだ多少の余裕があるので、しばらく濠端で小鳥のさえずりを聞きながら名残を惜しむことにします。
宿を出て弘前公園に立ち寄ります。立ち寄るといっても、この空模様では今さら機材を担いで一周するまでもなく、別れの挨拶代わりに西濠を一周するだけです。雪見に花見と、年に何度か津軽を訪ねる中でも、最後の花見を終えて弘前を出るときには、列車で来たときとは比較にならない去りがたさを感じます。何日もかけてたどり着いたことから来る思い入れが半分、これで花見も仕舞いかという感慨が半分といったところでしょうか。その気になれば小一時間はしみじみ名残を惜しんでいられそうなところ、今年も残念ながら時間が来てしまいました。見事な日本晴れで締めくくった昨年の再現はならず、見頃を過ぎて天候も終始冴えなかったという点で、ともすれば今年は不発だったと思えなくもないものの、当の本人は意外なほどに満足しています。次は日本晴れの空の下で再会したいものです。また来年…
活動を再開します。残念ながら昨夜の星空は長続きせず、弘前市内の空はどんよりと曇っています。路面が濡れており雨も降ったようです。行く先の天気予報は晴れたり曇ったりの繰り返しということになっており、昨日のめまぐるしい天気の変化からして、今日も予報はあてにならないでしょう。運よく日が差してくれればありがたいといったところでしょうか。まずは別れの挨拶代わりに弘前公園へ立ち寄り、日中は一昨日行き損なった八幡平の周辺で残った桜を探し、残り時間が出るようなら最後に小岩井をもう一度訪ねて締めくくるというのが今日の大まかな予定です。
さて、今回の活動で私は禁じ手を一つ犯しています。「最終日の移動距離を500km前後に詰める」という原則を守らなかったことです。これは。最終日に500kmを大きく超える移動距離を残すと例外なく帰着時間が破綻するという、マイカーでの長旅を繰り返した末に導かれた経験則です。これには理由があり、連続運転で300kmを超えると加速度的に疲れてくるというのが直接の理由です。そして、最後の連続運転を300km以内に抑える上で、最終日の前日までに少なくとも到達しなればならない場所というのが、逆算すると500kmということになるのです。東北からの帰りでいうなら、今朝盛岡を出発して、適度に活動しながら日没までに仙台へ着けば、そこから一風呂浴びて腹ごしらえして東北道に乗っても、大きく破綻しない程度の時間にたどり着けるということになります。ところが、弘前からの移動距離は盛岡よりさらに長い650km以上です。たかが100km少々の違いは数字以上に大きく、一昨年、昨年と続いた東北一周では、やはり最終日の午前に弘前を出て、その日のうちに北東北を出ることができず、連日の疲労で移動のペースも大きく落ちて、いずれも明け方の帰着となってしまいました。
もっとも、過去二回については、弘前近辺で延々名残を惜しんで昼近くまで滞在してしまったことに加え、無謀にも角館などを通って帰ろうとしたために、時間も距離も大幅に伸びてしまったという理由があってのことでした。今回は終始東北道の沿線を移動するため、切迫してきた時点ですぐ高速に乗れるという安心感はあります。昨晩宿のベッドで熟睡できたという点でも違います。それに加え、明日も半日休みをとって昼過ぎに出社すればよいということになっており、たとえ早朝帰着になっても午前一杯休養できるという点でも有利です。流れ上盛岡が最終到達地点になる可能性は高いものの、過去二回ほどの切迫した展開にはならないのではないかと予想しています。この安心感が油断につながる可能性は十分にありますが…
さて、今回の活動で私は禁じ手を一つ犯しています。「最終日の移動距離を500km前後に詰める」という原則を守らなかったことです。これは。最終日に500kmを大きく超える移動距離を残すと例外なく帰着時間が破綻するという、マイカーでの長旅を繰り返した末に導かれた経験則です。これには理由があり、連続運転で300kmを超えると加速度的に疲れてくるというのが直接の理由です。そして、最後の連続運転を300km以内に抑える上で、最終日の前日までに少なくとも到達しなればならない場所というのが、逆算すると500kmということになるのです。東北からの帰りでいうなら、今朝盛岡を出発して、適度に活動しながら日没までに仙台へ着けば、そこから一風呂浴びて腹ごしらえして東北道に乗っても、大きく破綻しない程度の時間にたどり着けるということになります。ところが、弘前からの移動距離は盛岡よりさらに長い650km以上です。たかが100km少々の違いは数字以上に大きく、一昨年、昨年と続いた東北一周では、やはり最終日の午前に弘前を出て、その日のうちに北東北を出ることができず、連日の疲労で移動のペースも大きく落ちて、いずれも明け方の帰着となってしまいました。
もっとも、過去二回については、弘前近辺で延々名残を惜しんで昼近くまで滞在してしまったことに加え、無謀にも角館などを通って帰ろうとしたために、時間も距離も大幅に伸びてしまったという理由があってのことでした。今回は終始東北道の沿線を移動するため、切迫してきた時点ですぐ高速に乗れるという安心感はあります。昨晩宿のベッドで熟睡できたという点でも違います。それに加え、明日も半日休みをとって昼過ぎに出社すればよいということになっており、たとえ早朝帰着になっても午前一杯休養できるという点でも有利です。流れ上盛岡が最終到達地点になる可能性は高いものの、過去二回ほどの切迫した展開にはならないのではないかと予想しています。この安心感が油断につながる可能性は十分にありますが…