日本でもヒットしてると思いますが、中国でもヒットしてます『アバター(阿凡達)』を観てきました。実は一昨日、次のような新聞記事を読売新聞のサイトで目にしたため、あわてて今日の朝に行ってきました。
--------------------
中国で「アバター」上映縮小、「孔子」に切り替え
【北京=関泰晴】中国の国際問題専門紙「環球時報」(英語版)は21日、世界的に大ヒット中の米SF映画「アバター」の上映規模が中国で大幅縮小され、22日以降は国産映画「孔子」に切り替えられる、と報じた。
共産党が文化宣伝に利用する思想家・孔子を描く愛国的な国策映画を優先しようと、中国当局の意向が働いたとみられる。(以下略)
--------------------
アバターの特徴は凄まじい3D立体映像です。これは絶対に映画館のスクリーンで観たいと思っていました。それが上映縮小とは……! 公開が早々と終わる可能性もあるので、今日の朝一番に行ってきました。
訪れたのは「蘇州科技文化芸術中心」。通称、蘇州の鳥の巣です。市街地にある古い映画館と違い、比較的新しい施設でして、劇場やシネコンなどが入っており、蘇州園区の芸術鑑賞センターのような機能を持ってます。
中のホールはこんな感じです。ピカピカですごくきれいです。天井が高い(掃除をするときや照明の電球が切れた時はどうやってるんだろうか)! チケット売り場のゴタゴタ(横入りしてくる人、チケットの争奪戦状態等々)がなければ、いいのに。
今日もゴタゴタがありました。今日は朝一の9時20分上映開始の回を観に行きました。チケット売り場に行く前に整理券が配られたのですが、売り場窓口が開いてからゴチャゴチャになり、整理券の意味がまったくありませんでした。今日は朝一で行ったのに、すでに「当日券がない」という状態でした。売り場付近で行列をなしている客が暴発状態となり、騒然とした雰囲気になりました。どんなことになるんやろう、と好奇心が湧いてきたのですが、なぜか急きょ100席分のチケットができ、窓口で売られ始めました。しかし、行列の前の方のおっちゃんが係員と大声で言い争いを始め(何を言い争ってたんやろうか)流れが遅れ、私がチケットを買えたのが9時30分。
急いで「IMAX」の表示のある入口へ。この「蘇州科技文化芸術中心」にはIMAXシアターが入っているため、大変ありがたいです。私の自宅から「蘇州科技文化芸術中心」まで、バスで10分ほどです。こんな近い距離のところにIMAXがあるなんて、なかなか幸せなことです。
劇場の中ではすでに大勢の客席が埋まっており、前の方の席しか空いていませんでした。中国語が充分に聞き取れないため推測になるのですが、おそらく100席のチケットが急きょ売られ始めたのは、この前方の席ではないかと思われました。大画面+飛び出す3D映像ですので、スクリーンに近すぎる席では見づらいため、本来は使わずにいた席を、急きょ客席として空けたのだと思います。
ちょっと見づらい席になったのですが、おかげで『アバター(中国語では阿凡達)』を観ることができました。物語は単純明快でして、特に感動するようなものではありませんでした。音声は英語、字幕は中国語でしたが、映像を見ているだけで物語は充分に分かりました。ハリウッド映画の大作って、こんなにも単純化しているんだなあ。
『アバター』は映像を楽しむ作品だと思いました。3Dの立体映画を映画館のスクリーンで観るのは本当に久しぶりです。
生まれて初めて観た立体映画は、子供のころに観た『オバケのQ太郎 とびだせ!バケバケ大作戦』(1986年)でした。これには度肝を抜かれたのを覚えています。Q太郎が望遠鏡で何かを見ているシーンがあったのですが、その望遠鏡がスクリーンから飛び出して見え、私の目の前にあるように見えるのです。思わず手を伸ばして掴んでみようとしました(当然、掴めませんが)。一緒に観に来た祖父も大興奮でいて、一緒に掴もうとしていました(笑)。
そんなオバQから24年が過ぎました。立体映画の進化をみせつけられた気分です。ジャングルの木々の中を走る映像、飛行機の中から外を眺める映像、崖の上から覗き込む映像、滝つぼを落下して水中を泳ぐ映像、空を飛びまわる映像、空中をふわふわと飛んでいるクラゲのような発行生物の映像等々。いずれも立体映画向きのシーンがふんだんに盛り込まれており、観る者を飽きさせません。今回の『アバター』でこんなにも立体映画をやり切ってしまったら、後発の立体映画はこれを超えることができるんだろうか、と心配になります。
そんな素晴らしい映像でしたが、ものすごい衝撃を受けることはありませんでした。1993年の『ジュラシック・パーク』や1994年の『マスク』のCG・実写映画の進化の凄さ、1999年の『マトリックス』の撮影技術の斬新さと比べると、『アバター』はそれほどの衝撃を受けませんでした。それは『アバター』の映像は、基本的にはありものの組み合わせだったからだと思います。
しかし、けなしたいわけではありません。ものすごく楽しめる映像でした。これまで、記憶に残っているだけで『オバケのQ太郎 とびだせ!バケバケ大作戦』『オバケのQ太郎 進め! 1/100大作戦』『ザ・ユニバース』『ザ・ユニバース2』『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』という立体映画を観てきました。これらと比べると、群を抜いて楽しめる立体映画でした。ぜひ映画館の大スクリーンで楽しんでほしい作品でした。
ちなみにIMAX版の『アバター』のチケットは150元(約2000円)でした。一昨日、ガソリンスタンドの店員さんと話す機会があったのですが、月給について聞いたところ、1000元ということでした。つまり日給が33元(約400円)です。寒い中、一生懸命ガソリンを入れてくれているのに……。そのことを考えると、映画を観るということが、とても高級な娯楽であることを痛感しました。冷静に考えると、店員さんの5日分の日給のお金を使い、映画を観に行った自分に、引いてしまいます。
映画館の中にあった『アバター』のポスターです。阿凡達という当て字が面白いです。発音は「a fan da」ですね。
近くにあった『孔子』のポスターです。共産党お墨付きの作品です。
顔の部分がくり抜かれている孔子の立て看板です。ホールにはお客さんがたくさんいるのに、大人の人が顔を出して記念撮影していました。中に入っている人がめっちゃ笑顔です。ポスターの前で記念撮影している人もいました。恥ずかしくて日本人なら少し躊躇してしまうことも、中国の人はやってしまいます。チケット売り場のゴタゴタは嫌いですが、このように恥ずかしがらずに記念撮影できるところは、素直に「うらやましいなあ」と思います。こんな記念撮影なんか、恥ずかしいからと言って遠慮してると、絶対に損だと思います。
「科技文化芸術中心」の中には巨大なツリーがありました。クリスマスを新年を一度に祝うようなツリーです。飾り付け、ツリーの形、立てている場所が中途半端でして、いなたい感じでした。こんなツリーがない方が、ホールの中が高級に見えるのに。
『アバター』を見終えてから外に出て30分ほど東へ歩き、久光百貨店へ行きました。地下にあるうどん屋でわかめうどんを食べました。う~ん、香川で讃岐うどんを食べたい! その後、日本人向けスーパー(しんせん館)でふりかけを購入。
外に出ると大きな赤い正月飾りが目に入りました。チャイナレッドですね。
「シンニェン・クワイラー!!」