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苦難の時にこそ、われわれは隣人に対して寛大であらねばならない。そうしていれば世界はわれわれにとって寛大なものになるはず。

血液型性格分類研究に関する1930年代の新聞記事

2009年01月14日 | 日記
 いわゆる血液型による性格分類診断を信じている人の割合は96.7%である、という記事を目にしました。ちょっと衝撃ですが、信じる、信じないは個人の自由ですので結構なことであると思います。
 血液型性格分類に関する古い新聞記事を読みたいと思い、いつもお世話になっている「新聞記事文庫」で検索してみました。すると3件の記事がヒットしました。60年以上前の新聞記事ですので、このブログの最後で全文引用しちゃいます。
 非常に興味深い記事でした。私が血液型による性格分類がいまいち好きになれない理由は、日本では職業差別に性格分類が利用された、という過去があるためです(現代でも行なわれているのでしょうか)。現在では、もっぱら恋愛占いなどの分野で血液型診断は活躍していますが、もともとはある職業にどの血液型の人が適しているのか、という観点から日本で広がりをみせたと聞いております。
 「新聞記事文庫」では1930年代の血液型研究の一部をのぞき見ることができました。血液型に加え、骨相の研究も行なわれていたようであります。

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神戸又新日報 1934.10.10(昭和9)

災害はA型の者B型は最も良好

血液型と骨相が物語る

工場課の研究完成

災害にあったり怪我をしたりするのはもののはずみじゃないか、運が悪かったんだ、とそういう運命論者に向って科学者達がとんでもないことをいいだした、人間には災害型という特別なタイプがあって主として災害にあうのはこの連中だという、ではどんなのを災害型というのか、兵庫県工場課ではこの点に着目し、関口課長が熱心に提唱して神戸に所在する多数大工場の賛同と協力を得て本年春以来鋭意研究中であったがこの程ついにこの貴重な研究が完成された、工場の災害、機械文明による惨害はつねに識者間に問題とされ、災害予防に腐心していた際とてこの研究の完成により相当程度まで災害を避けられるとすれば誠に有益なことなので全国ではその成行に注目している
第三回全国産業安全大会が今回福岡に開かれるので本県から発表すべき特別研究題目として‘災害型の研究’について本年五月二十二日以来開口県工場課長はじめ神戸市内の各工場技術専門家が集まって研究会を組織し五回ほど会合して研究の発表審議を行っていたが九月漸く凡ての発表が出揃って研究会も終結することとなった砂野氏が川崎製板工場で昭和六年から八年までの三年間の災害者数についてしらべたところによると平均人員四二〇〇人の内三年間一度も怪我をせずにすんだ者は僅かに七一三人でほかは凡で一回以上の負傷をし□いたわけだ、十六回以上負傷した者が一五人、十五回までが九一人十回までが四一三人、四、五回の者が六〇五人ということになっている、然しこれ等の負傷した原因は千差万別であり、また一口に災害型といっても各方面からの見方があるので左のように分担して各々の研究、統計をとった

骨相方面の研究―神戸製鋼所天野栄吉氏
教育程度の方面から―三菱神戸造船所、久場守恒氏
血液型と災害の関係―住友尼崎工場、白井勇氏
心理学的方面より―川崎造船所、砂野仁氏

その研究発表の中で面白そうな話を拾い上げると血液型ではA型の者が一番災害にあい易くO型、AB型がそれにつぎB型の者は最も成績が良好ということになった、天野氏の骨相による災害型の判定法は、昔ながらのいわゆる特殊技術を要するが、しかし大体正確に認定されるものだそうだ
つまりこれから工場で職工を採用するときはまずB型血液者を選び、次に天眼鏡で骨相をしらべられることとなる、また久場氏の研空によると教育程度及び智能が高い程災害にあうことは少ないと発表されているのは当然なことであろう
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大阪毎日新聞 1934.7.15(昭和9)

工場災害調査に科学的な研究

血液型、骨相、心理、栄養などからいわゆる職工の災害型を分類

工場のベルト、車輪、ハンマーの気の毒な犠牲となって廃疾者となる工場災害は増加するばかりであるがこの災害発生の原因とみられるもののうちにあるいは共通性があり科学的にこれを調査したら職工のうちにもいわゆる災害型と目せられるものが分類せられるものではないかと神戸製鋼所、尼崎住友伸銅所等では工場安全の立場から早くより機械の犠牲となって怪我した職工中から血液型、骨相等を標準に研究中であったが最近その研究がやゝ科学的に証明されるとの見込みを得たのでこんど県工場課および県工業会が指導役となり前記二工場のほか川崎造船、三菱造船、台湾製糖、鐘紡兵庫の四工場についても実際的に研究を進めることとなりその分類も血液型骨相のほか心理栄養方面からもこの災害型を調査することとなったが、その結果は早くも各方面から注目されている
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大阪朝日新聞 1931.6.23(昭和6)

血液型によって職工採用は危険

浅田博士の新提唱に対し暉峻博士らが反駁

最近血液型の研究が進むに従って血液の遺伝並に人間の気質性格などが血液型と関係があるということが喧しく叫ばれてきたが、過般大阪において長崎医大の浅田一博士によって提唱された血液型により商工業従業員の採否を決定するという方法は果然各関係方面に異常なセンセイションを起し重要問題として注目されているが同問題に関し社会問題の立場よりして倉敷労働科学研究所では、これを重大視し理論並に実際的にも重大問題で一歩まちがえば社会的不幸を招くというところより暉峻博士、平松同所員らは研究を進めていたが実際問題として大阪某金属工場職工千五百名につき血液型の検査を行ったところ
その分布状態は大阪市において従来報告されている市民の血液型分布状態や近畿地方の分布状態とほとんど似通っており、金属工であるからとて特別な型ではなく、また職工の出生地別に見たところ、ある一定の種類の血液型を有するものが多くその工場へ集ってもいない、なお勤続年限とか、直接生産労働者と従属的仕事に従事するものとが比較の結果全然特色が見られない、また一部学界で主張する各職業群集団の感情型、意思二つ型などについても決して特異な団体的気質を表していないことが明らかとなり研究結論として血液型を持って気質を判定し、それによって従業員の採否決定をするのは頗る危険なことであることが明らかとなった個人に適用は理論的誤謬暉峻博士語る血液型には四種即ちO型、A型、B型、AB型があり従来の研究において各血液型に気質の変りがあるといわれているが、この説明は不十分で目下研究の途上にあるもので肉体精神の関係についての証明は困難である、その上人間には努力により自己の性格を抑制することも出来得る、ただ一滴の血液型により順応性旺盛を考究せず、採否を決定するは危険も甚だしい、従来の血液型とは気質の研究集団的統計的な研究によるもので研究方法の結果を個人の場合に適用するのは理論的誤診にして血液型についてはなお十分学理的研究を必要とするものである(倉敷電話)
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