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苦難の時にこそ、われわれは隣人に対して寛大であらねばならない。そうしていれば世界はわれわれにとって寛大なものになるはず。

板尾日記

2006年09月15日 | 
板尾創路、リトルモア、東京、2006

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可笑しくて、優しくて、心ざわめく365日。
板尾創路が1日も欠かす事なく
大学ノートに綴った日記を完全初公開。

独特の発想力と芸風で、“お笑い芸人”という
枠を突き抜けた異質な存在、板尾創路。
最近では漫才、コントだけではなく、
俳優としても活躍しているが、
その一方で、ミステリアスで、
謎のベールに包まれた存在でもある。
そんな彼がなんと、2005年1月1日から12月31日までの一年間、
一日もおこたらずに、日記をつけていたのだ。
仕事、プライベート、日々起きた事、ふと思った事・・・・・・。
大学ノートに綴られた、ありのままの365日。
日記というかたちで垣間見る、
天才芸人の頭の中身は一体!?
板尾ワールドをのぞき見したい方必携です!
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 ちょっと長くなりましたが、上記は版元のリトルモアのページに掲載されていた紹介文です。
 私はお笑い芸人の中でも、板尾さんがかなり好きです。もっともっともっと人気が出てもおかしくない芸人さんだと思います。そんな彼の日記が出版されていることを知ったのは先週のことでした。早速購入して読んでみました。
 非常に面白かったです。深夜に一気に読んでしまい、寝不足になりそうです。言葉やセンテンスは非常に短く、文体は淡々としており、大きなテンションの抑揚が出ていないのですが、味がある文章です。最大の特徴は、行間を読ませる日記であることです。私もこんな文章を書いてみたいと思いました。行間を読ませる文章とは、例えば次のようなものです。

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 10月16日
 (前略)ロレックスのダイバーウォッチが、メンテナンスから帰って来たので時計屋に取りに行った。この時計は、26年間吸っていたタバコを、止めた記念に4年前に買った。俺の禁煙している時間を刻んでいることになる。
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 10月25日
 本日は完全に休み。14時頃まで寝た。夜に吉祥寺へ嫁の買物に付き合って、晩飯は串カツを食べた。帰りは、わざと電車で、各駅に乗って帰って来た。
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 他にも、魅力的な日記がたくさんありました。シンプル・イズ・ベストとは、本当に難しいです。語数が少ない魅力的な文章はシンプル・イズ・ベストであると思います。そんな文章を、肩の力を入れずに書けるところが凄いです。言葉のプロの仕事振りを見たような気持ちです。
 5月22日の日記に、「短歌を考えるのが難しい。五・七・五・七・七の五句体が俺には合わないみたいな気がする。長すぎるのか?」と書かれていました。五・七・五・七・七が長すぎるなんて初めて目にしました。シンプル・イズ・ベストを目指すのには、五・七・五・七・七も必要ないということなのでしょうか。面白いです。
 魅力的な文体だけではなく、中身も面白いです。板尾さんの眼のつけどころを知ることが出来ます。笑える箇所もありますし、しんみりする箇所もあります。板尾ファンにはおすすめです。


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