球形ダイスの目

90%の空想と10%の事実

読書メモ:白ゆき姫殺人事件

2022-11-03 | 趣味(旅行・娯楽・読書・食)
結構私の周りで読んでいる人が多く人気の高い湊かなえさんの作品の一つ。
これも映画化されているらしい。

○どんな話?
ある化粧品会社のOLが惨殺されている、というところから話は始まる。
で、ある週刊誌の記者が関係者に話を聞いて回り、インタビューの結果を
殺されたOLとの関係性毎にまとめ、最後に散々犯人扱いされた人物の独白が出た後にに、全く別の真犯人が逮捕されたニュースを示すというもの。
文章の本編は8割位で終わり、残り2割位が解決編の代わりに
この事件を取り巻く架空のSNSや週刊誌の記事が出てきて
真犯人が真犯人たる根拠が示されることになる。

○どうだった?
正直、かなり読んでいて辛かった。(過去にもこういう感想を書いたことがある気がする)
誤解を恐れずに言えば、話が通じないため現実の世界だったら関わらないことに決めるようなタイプの言葉遣いの人間が相当数いて、それらの証言をいちいち聞かされる気分になったから。特に一人目と二人目の喋りがキツい。

巻末の解説では、"話を盛りたくなる心理とそのありそうさ加減が絶妙"というところで評価されていたが、同じ文章を読んで自分が思ったことは
"何と下品な喋りばかりする奴らなんだ、中身の無いことばかり言っているし、さっさとこいつの章終わらねーかなー" ということであった。
解説の人の我慢強さに脱帽。
エンタメ的ではあるのだろうが、含蓄のない言葉がほぼ全編を占めているため
読んでいて残るものがないなぁという感想にならざるを得ない。

もう一点。一方向の会話文のみを積み重ねて話を作っているからということがあるのだろうが、
多くの人間が出てきている割にそれぞれの人間の個性(人間味といったほうが良いかもしれない)が全く感じられず、
記号みたいな登場人物ばかりに感じられた。
唯二、美姫と夕子は個性が感じられたか。やり取りが描写もされていたし。
この二人の部分は読んでいて身が入った。

自分は誰が犯人だったのかということはあまり関心を寄せずに読んでいたので
真犯人の名前が明かされたときも、"あ、そうなの?"くらいに読んで
その後のSNSの部分に目を通した。
で、そこで出てくる言葉の下品さにまたゲンナリ。
現実世界のSNSで散々汚い言葉を読ませられているのに
創作の世界にまで持ってこないでくれよと思った。


ということで、エンタメはエンタメと割り切れて
会話文中心の小難しくない文章が好き、という方におすすめです。

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