菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

瞳は心のドア  『瞳の奥の秘密』

2010年09月11日 05時59分47秒 | 映画(公開映画)
 
で、ロードショーでは、どうでしょう? 第170回。



「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『瞳の奥の秘密』







2010年の米アカデミー外国語映画賞に輝いたサスペンス。
25年前の未解決殺人事件を題材に小説を書き始めた孤独な主人公が、葬られた事件の真相と改めて対峙していくなかで、次第に封印していたはずの愛も甦らせていく。
小説の実写化で、共同脚本に原作者が入って、実に見事に映画のストーリーとして組みたてている。
主人公が小説を書こうとしているだけあって、ある言葉のネタは、ひざを打つ。
実際には、アルゼンチンの当時の政治状況などが、色濃く反映されているのだが、そこをうまく状況描写にとどめて、25年の重さに変えている。


事件に、政治に、翻弄される愛のメロドラマが潤すようにしみわたっていく。



時間をうまく並べた構成と編集だけでなく、思い出としての映像がすばらしい。

なにより、スタジアムでの捕り物劇は、数万人の観客の中から、犯人発見し、追跡し、追いめていくまでを1カットで見せ、息をのませる。

監督は『ロー&オーダー』などの人気TVドラマの演出もし、ハリウッドでも活躍するアルゼンチンの俊英フアン・ホセ・カンパネラ。

出演のリカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミルは、25年前と現在を特殊メイクで演じており、その違和感のなさが素晴らしい。

そこにあるのは、目の力。
実際に目の前にしたときに、記憶を越えて、人は一気に熱を上げる。
その狂気とエネルギーが、時に熱く、時に凍って、刺さり、離れ、鑑賞を体験に変えていく。


特に、顔以外を中心にとらえたときの構図は、力強い。
表情を見せる俳優、撮るという撮影、観る観客の力を信じているのが伝わってくる映画。


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